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五十二話 三人で買い物

 クリフさんとのやりとりについて言及されながらも買い物に出かけるとそれを忘れたかのように三人で買い物を楽しんだ。


 基本行くところは服が売ってあるお店だが、アクセサリーなんかレヴィさんは興味ないのかなと聞いてみると。


「イヤリングくらいなら作ってもいいかもしれないわ」


 あくまで自分で作るらしい。ただそれも恐らく魔石のイヤリングだと思うとなんとなくアクセサリーとしてオシャレになるのかは疑問だ。


 服に関してはフレイさんは南通りをあまり来たことが無かったのかお店に入って色々見てみると西通りの古着屋とは違ってほつれがある方が少ないくらいに上品な素材だったりするお店などもあって。最初こそ緊張してたけどレヴィさんがあまりにも堂々としてるので私達も気軽でいられた。


「レヴィちゃんはなにか良い服あったー?」

「作って見たくはなるけど、欲しいというのはあまりないわね。買っても用に縫わなきゃいけないと思うとそれもまた…」


 そう言いつつもちゃんと服を見て、楽しんでるのは女の子だからなのだろうか。

 私もオシャレで着るならどんなのだろうなと思って見るが何とも言えない気分になりつつスカートを見ると、あまりミニスカートの文化がないのかそう言うのは置いてない。


「リアはスカートが好きなのかしら?」

「リアラちゃんなら似合うと思うよー」


 私がスカートばかり見ていたから勘違いされてしまったのでミニスカートについてどう説明したものか。


「太ももくらいの短いスカートはないんだなと思いまして」

「そんなの履いたら痴女じゃない」

「いえ、機能性として動きやすいですしワンピースを着るようなものと思ってくれたら」

「王都では流行ってるかもしれないけれど、今貴方が着てるワンピースにしたって気づいてないかもしれないけれど裾のほうを厚めにしてめくれないようにされてあるわ」


 そう言われて裾と腕の生地をつまんでみればたしかにぶ厚さが違った。


「ミニスカートも全体的にぶ厚くすればいいんじゃないんですかね?」

「アハァ…めくれないにしてもこの都市くらい人口がいれば治安も心配だけれど流行と言うのは大事よ。それを着て悪い意味で目立てば襲ってくださいって言ってるようなものなのだから」


 たしかに悪い意味と言われて想像してみて全身金属鎧が歩いていたら目立つか。なんて思いながら納得する。

 都市で実際にミニスカートを履いてる人もいないし。古着屋にもなかったし。


 ただワンピースが許されてミニスカートが許されないのはどういう判断なのだろう?


 私がまだ疑問に思ってるのを見てレヴィさんは普通のスカートを一着見せてくる。


「これを見なさい。例えばプリーツがあるのが分かるかしら?」


 プリーツってなんだと思い指さしてくれたところを見るとスカートの折り目みたいなところを指してくれる。


「ミニスカートというのを作ればプリーツを維持するのが大変だとは思わないかしら?」

「アイロンてこの世界にあるんですか?」

「王族は作ってるかもしれないわね。ただ私には分からない代物だわ。こういうスカートは使っていくうちに皺になっちゃうしそれを直そうとおもったら大変よ」


 そう言ってハラハラと上手くめくらないプリーツを触っていたが、このスカートのプリーツが私が思ってるものと違って縫ってプリーツを再現してることに気づく。


 なんというか努力の結晶が詰まってるプリーツスカートだった。


「多分貴方が思ってる物と違うのがわかるかしら?リアの文化は一応王都でやろうとしてるとは思うのだけれどそれを民に浸透させて受け入れさせるには難しいのよ。もしかしたら王族たちはリアの言ってるスカートを着てるかもしれないわよ?」

「ミニスカートだと素材の節約にもなるかもですよ?」

「言ってる意味は分かるけれどそれなら民は夏ならともかく冬を考えたら長い方が便利よ」


 実用的ではないのは確かにそう思う。オシャレアイテムなわけだし。

 ただ実用的で言ったら全員ズボンにならないだろうかとも思うが、そしたら素材も多く使ってしまうか。


 文明開化というのはどういう仕組みで作られてきたんだっけと思い出しながらレヴィさんが私にスカートを合わせていて「これじゃないわね」と呟きながらさりげに私の昨日の着せ替え祭りみたいなことを繰り返していた。

 さすがに買おうと思ってるわけではないから試着はしないが。


「みてみてーリアラちゃん!」


 フレイさんがまるでレヴィさんのような肩出しの服を持ってきて自分にあてがって見せてくれる。


「可愛いし似合ってますね」

「ほんと!?買おうかなー」


 それを見てふとレヴィさんを見れば肩が出ている服を着ているわけで。さっき痴女とか言ってたけどその服装は痴女じゃないのか?と考える。


「レヴィさんて肩を出してるけど痴女ですか?」

「アハァ…やり返してるつもりかしら?昨日も少し見せたけれど腕の内側にも魔石を収納できるようにしているから短縮するために肩を出してるだけよ…それに可愛いと思ったわ」

「可愛いです。ミニスカートも可愛いと思いますよ、例えば見てくださいフレイさんを。足がスラっとしてますし着ているところを想像したら似合ってると思いませんか?」

「ま、まぁそうね…」

「そういうことです」

「アハァ…痴女って思ったことは謝るわ。リアは知らないのでしょうし言うつもりはなかったけれどそう言うお店で流行ってることも言っておくわ。私がそう印象を抱いたのはそういうお店が先に思い浮かんだからよ」


 そういうお店と言われて一瞬なんのことだろうと思ったがもしかして、そういうお店とはやらしいお店のことかと妙に納得してしまった。

 たしかに着ている人達がそういうお店の人が多いなら痴女と思ってしまう人もいるだろう。


「ちなみにこの都市にもあるんですか?そういうお店」

「あるわ…興味持つのね。あまり良いところではないからおすすめしないわよ?」

「行きませんよ。ただ今まで見たことなかったのでどこにあるのかは気になりました」

「大抵は路地裏にあるわ。南ならそれなりの価格でしょうし西にもあるんじゃないかしら?」


 実際にあるとなるとどういう運営でやってるのか気になるところではある。

 個人でやってるのか働いてやってるのか。そもそもいくらくらいが相場なのだろう?商売層なんかも気になる。


 ただ考えすぎてると私がレヴィさんにそろそろ本当に変な目で見られてしまうかもしれないから考えないようにしようと服をまた見始める。


 フレイさんは服を買うつもりみたいでレヴィさんも自分で作った方がと言ってたけど服を買おうとしてたから私もついでに買うかと思って黒いワンピースを手に取るとフレイさんがこちらに迫ってきた。


「また黒いの選ぼうとしてるー!」

「え?よくないですか?」

「リアラちゃんいつも黒いんだもん。レヴィちゃん!リアラちゃんの服選ぼー?」


 私は二人が選んだものを買うことになった。ちなみにそれは淡いピンク色のワンピースで女の子してる服だったので、これを着ることはないだろうと決めて買い物を済ませる。


 その後はまた適当にぶらつきながらいつもの現代料理店に行き牛丼を食べる。


「リアラちゃん明日はその買った服でクリフさんと出かけたらー?」

「なに言ってるの赤いの。黒でいいわ黒で」

「せっかく買ったんだしダンジョンで汚れる前に綺麗な時に使った方がいいでしょー?」

「リアに着て欲しい気持ちはあるけれどあいつの前で着る意味はわからないわ」


 二人のやりとりを聞きながら今日は平和だなと思い牛丼をおかわりしつつ、明日のことを思う。


 あのクリフさんがわざわざ出向いてきて二人でとか言ってるのだからそれなりに理由があるかもしれない。彼は反乱に一役買ってるしレヴィさんじゃないけれどオシャレして会うと言うのはむしろ逆効果になりそう。


「レヴィちゃん…私は思うんだよー、きっとリアラちゃんはこのままいくと一生この服を着ないでいるつもりだって!」

「っ!そ、そうね。白い服があるのにやたら黒い服を着回して使ってるのを見ると実際そうだと思うわ…」

「じゃあせめて私たちは見納めするつもりで明日を迎えよー」

「見納め…そうね。それもいいかもしれないわ」


 あれ?なんか丸め込まれてる?フレイさんが説得を成功するなんて思ってなかったから油断してたけどレヴィさんがなんか納得し始めてる。


「え?黒いワンピースで良くないですか?」

「赤いのの言うことに一理あると思ったわ。私のためにも着て行っていいわよ」

「そういうことだよー」


 一理もないだろうと思うが。それに着るって言っても寝間着くらいに使えばいいんじゃないかなと思ったけど…まぁ、二人が言ってるのを無碍にすると面倒そうなのでやめておいた。




 食事を終えた後はいつも通り宿に帰り各々で過ごす。


「レヴィさん、魔石って私でも加工できるんですか?」

「できなくはないけれど…そういえばリアに返すの忘れていたわ」


 そう言って取り出したのはグランダとミノタウロスの魔石。


「どうしたんですかこれ?」

「きっとリアに必要なものだから一旦預かっていたけれど返すわ」

「魔石加工して使うんじゃないんですか?」

「オークので十分だわ。今回リアは戦闘をしなかったから実際リアの目的とはかけ離れていたのでしょ?その代わりみたいなものよ」


 また食べればいいのだろうかと思うが一週間近く眠ってしまうかもしれないと思ったら少しずつ食べた方がいいだろう。

 せっかくもらったのだしあとで少し食べようと思ってレヴィさんと一緒になって魔石を弄る。


「私も手伝った方がいいかなー?」

「結構力がいるんで危ないですよ?角とかで傷付くかもしれません」

「そっかー」


 適当に砕いてレヴィさんに見せる。


「どれくらいならいいと思いますか?」

「一つまみくらいにしておきなさい」


 フレイさんの目の前で食べるとは言わないように気を付けながら聞いてみれば一つまみなら問題ないらしい。


 私はフレイさんが見てないうちに水で飲みこんで、今日のクリフさんを思い出しながら『追いつきたい』と呟きながら目を瞑って集中する。


 たしか以前食べた時は途中から視界がおかしくなっていたが今回は時間が経っても特におかしいことは無かったから効果が出たのかは分からないけど問題はなかったのだろう。


 レヴィさんもちらちらと私を確認しているようで私が親指を立てるとクスクスと笑われたので問題ないことが伝わり、戦闘しなかった分どうしようかなと思っていたりする。


「ちょっと馬屋の方に行って風起こして来ていいですか?」

「そこの窓でもいいんじゃないかしら?」

「失敗とか怖いですけど?」

「前に見た時はちゃんと拳先から出てたから大丈夫よ。それにいざとなったら断絶させるわ」


 サラッと怖いことを言いながら、そういうならと思って窓を開けて後ろからフレイさんが興味津々に見てきていたからせっかくならなんか格好よく見せてあげようと思って技名でも考えてみる。


 特になにも思い浮かばなくてどうしたものかと思ったので格好いいのは諦めた。


「レヴィさんの力を借りて『風よ吹け』」

「なんで私なのよ」


 そう言って拳を外に突き出せば風が吹いて行く。明らかに以前よりも風量を増してるそれがビュオオという風音を立てていくものだからフレイさんが前に部屋を荒らしたのはこれかと納得しながら喜んでくれる。


「すごい!私もやりたいー!」

「コツはレヴィさんに力をもらうイメージです」

「嘘をつくのはやめなさい」


 すぐにネタ晴らしされるので冗談はほどほどにして。ただフレイさんが「もう一回!」というので調子に乗って何度も風を起こしていたらさすがに疲れてきて汗が滲む。


「リアラちゃん大丈夫!?」

「大丈夫ですよ…」

「リアの場合はそういうのは向いてないでしょうね。自分に向かって発動するならともかく外に出すのはかなり無理してるわ」


 解説してくれるのは嬉しいけど、私に他に出来そうなこととか教えて欲しい。

 この風もダメージを与えるというよりただ扇風機の代わりかちょっとした邪魔くらいしか出来ない。


「なんか使い道あると思います?」

「アハァ…私に言われても…前にも言ったけれどリアは作り変えてるようなものなのだから見本とかがあればいいんじゃないかしら?もしくはそうね…あ、先に言うけど試さないでほしいのだけど風そのものになるとかだと貴方の体に作用するんじゃないかしら?」


 そんなことしたら私の体が爆散するんじゃないだろうか?

 作り変えると言うのがいまいちよく分かってないのだけど、見たものを真似る能力なのは分かる。


 ただ想像してもクリフさんになれないし、レヴィさんみたいに高圧水を射出することはできないだろう。お互いにそれぞれ魔導が関係してるなら私とは理論が違うわけだし。


 ある程度疲れたのでこれで眠れると思って、今日は先に二人よりも眠ることにした。


 二人が話し合っているのを聞きながら、誰かの声を聞きながら眠ると言うのは良いものだと思いながら。




 朝起きると二人は起きていて、寝過ごしてしまったかと思ったらそうでもなかった。


「レヴィさんはともかくフレイさんが起きてるのは珍しいですね」

「リアラちゃんの可愛い姿見たかったからねー」


 そんなに楽しみにしてたのかとも呆れたが、ここで着なかったら文句言われそうなので淡いピンクワンピースを着て見せると二人とも「可愛い」と褒めてくれる。


「私的にはレヴィさんの服装の方が好きです。ロマンがあります。ふぁんたじぃ」

「言ってることは分からないけれど褒めてくれてるのは嬉しいわ。一着くらいならあげるわよ」

「いいなー」


 私と比較的そんなに体格差が無いからできることだからフレイさんが羨ましがっている。

 できればフレイさんには時間とかあれば作ってもらいたいものだが魔石の加工で忙しいだろうから頼むにも頼めない。


「リアラちゃん髪梳いてあげるよー道具とかないから指でだけど」

「あいつのためにそこまでしなくてもいいわ。それに多少髪がぼさついて文句を言うやつでもないわ」


 どちらかといえばフレイさんが私の髪を触りたかったようで指で撫でるようにしてくれるのが妙に心地よかったりする。

 そんなことをしてたらクリフさんが来てドアを開けて私を確認すると


「とても可愛いね。良く似合ってるよ」


 なんてキザな発言をするので聞いてるこっちがセリフに恥ずかしく感じてしまう。

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