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四十三話 提案

 オーガを後ろから殴り飛ばしたとはいえ、止めは刺せてないのだ。


「レヴィさん!私じゃ首を斬れるとは思えないです。今のうちに止めを刺してくれませんか?」

「貴方も見たはずよ、人間なら簡単に切断できる龍の飛瀑を受けて再生し続けてみせるその姿を。リアが止めを刺しなさい」

「そう言われても…」


 私がそんなことできるとは思えない。が、それでもレヴィさんがそう言うならそうしなければいけないだろう。

 ふくらはぎに突き立てた剣は曲剣だったのに突き刺すように投げたからか、実際はそんなに深く突き刺さっておらずただの足止めくらいにしかなってなかったので簡単に抜いて気絶してるであろうオーガに向けて首を斬るように振りかぶる。


 ただ骨のあたりで剣が止まり切断には至らない。これ以上はと考えたが曲剣の使い方として逆刃に添えて力を込めるべきと思い斬り込んだ曲剣の逆刃に向かって踏みつけるように足で首をどうにか切断しようとしているとオーガが腕を動かし始めてまた動き出すと思い焦って後頭部を殴りつける。


 それと同時に剣を拳でも叩きつけて『斬れろ』『潰れろ』と込めてひたすらに殴り続けてようやく首の骨を叩ききれたのかグリっとした感触と共に肉を斬れる感覚を拳越しに感じて生首がごろりと転がる。


「はぁぁぁぁ……」

「すごいわね。本当に魔人化したオーガを倒すなんて」

「レヴィさんがやれって言ったんじゃないですか…私より魔導の方が良かったと思うんですけど」

「アハァ…期待はしていたわよ?それになんとかなったのだからいいじゃない」


 毎度階層ボスに関しては私がなんとかしてたからいつもの事と思えばいつもの事だけど、レヴィさんに頼りきるというのもそれはレヴィさんに無理を押し付けていたわけだし。

 今回で言えば道中のゴブリンやオーガから危機を何度も救われているからいつもより軽傷で済んだから良い方だろう。


「ありがとうございます。レヴィさんがいなかったらきっと死んでました」

「アハァ…きっと私がいなくてもなんとかしてたわよ」


 そんなことはない。ウェアウルフとの戦闘を思い返しても奇跡としか思えないが、それでも今回はレヴィさんがいなかったらそもそも冒険者たちをまとめ上げるところから何も出来なかったのだから


「そういえばレッド君達…他の冒険者の人達は大丈夫でしょうか?」

「数が数だから無事とはいかないかもしれないわ。それでも実際戦闘はまっすぐ着て決着を済ませたから落ち着いたら2階層に戻るところに集まるんじゃないかしら?」


 そう言われてみればそうかもと思い。2階層に向かおうとしたら服を掴まれてどうしたのだろうと見てみればレヴィさんが呆れたように私を見てくる。


「せっかく倒したのに魔石も回収しないでどこにいくのかしら?」

「あ…忘れてました。いつも気絶した後はレッド君達がやってくれてましたから」

「解体は…赤いのに任せるとして、この荷物は赤いのを呼んでくるといいわ。私はここで待ってるから」


 実際解体に関しては自信がないのでお言葉に甘えてここまで来た道を走って戻るとレッド君達がこちらに来てくれていて早々と出会ったことで解体をお願いしたいと頼んだらここでも呆れたように見られて。


「まぁ…いいけど、それ持って帰ったらレヴィさんが言ってた変異種ってバレるんじゃねえの?」


 それも言われてみればたしかにと思ってどうしたらいいんだろうとレヴィさんの所に戻ってどうしようと聞いてみれば「組合に提出してその後は知らんぷりすればいいのよ」と投げやりなことを言われてレッド君が頭を抱えていたけど大丈夫なのだろうか。


「リアは何を聞かれてもゴブリンリーダーがいたと言えばいいわ。それはついでに倒したと言えばリーダーは本当にいたんだと勝手に組合も誤魔化してくれるわよ。事態が事態なだけに組合も問題を起こす原因を作りたくないだろうし気にすることないわ」


 そういうものらしい。レッド君は不安そうにしてるがフレイさんが私が今回無事だったことが嬉しいのか抱き着かれて「良かったよー!」と言ってくれて嬉しいのだけどすごく体が痛いです。


 さすがに持ち帰るにしては目立つだろうということでオーガは布で包んで私とレッド君フレイさんの三人で分担して持って、2階層に上がるための所にいれば他の冒険者がちらほらと戻ってきた。

 みんながちゃんと無事に帰れるか残ろうかなと思っていたけど他の冒険者が。


「階段が開いてるし、戻ってきたらそれぞれ勝手に帰るだろうから帰ろうぜ」


 そう言ってその人達は帰って行ったので私達も少し悩んだけど。もうすでに帰った人もいたかもしれないし全員を待つより後で組合で死亡者や行方不明者を聞いてみれば分かるだろうということでダンジョンから帰ることになった。


 帰る途中でオーガの魔石をレヴィさんが欲しいと言ってきて、私は使い道もないしお金も困ってはいないのでレヴィさんに譲ることにして他の部位に関しては討伐証明くらいにしかならないと思っていたがオーガの皮を剥いで防具に使えると説明されたときにはえぐいなと思った。


 仮にも亜人として存在するオーガの魔人化したからとその皮を使った防具を着てれば余計に亜人たちの反感を買うのではと思ったけれどレッド君達は普通に会話していたからこれが人間至上主義に染まるということなのかと恐々としてナップサックに包んだオーガの部位が重たくなったような気がしてならない。




 解体場まで持っていくと受付の方で値段を決めてくれと言われてしまいフェルンさんは今日はいるかな?と思いながら行ってみれば、私達よりも早く帰った冒険者から何か聞いたのか私達の姿をみると受付業務より先に私たちの所に来てくれた。


「次は一体どんな変異種だったんですか?」

「あー、ゴブリンリーダーを倒したときについでになんかいたので倒しちゃいました?」


 レヴィさんに言われた通りあくまでゴブリンリーダーが今回の事件だと説明したけど「そういうことにしますので」と念を押されて内容を聞かれたのでオーガが相手だったことを話すとまたもや魔石を欲しがられたけどそれはレヴィさんに譲ると言うとあっさりと引き下がられた。

 それとは別に私が変異種の遭遇率が異常なことを組合の方でも認めてくれて次の階層に挑む際には今回の件みたいに閉じ込められるかもしれないというのは組合としても困ると言われ私達が新しい階層に挑む際にはあまり強くない冒険者を巻き込まないように対処したいから少しの間は挑むのは待って欲しいとも頼まれた。


 別に挑むのを待つことはいいのだけどそれまではゴブリンでは旨みも無いしコボルト生活に戻るかなと思ったらそれまでの負担を組合が四人に対してしてくれると言ってくれた。


「私はいらないわ。その私の分を三人に分けてくれないかしら」

「よろしいのですか?レヴィさんがそういう方だとは知っていますが他の三人と行動を共にするなら滞在費はかかるかと思いますが?」

「その分リアが私の代わりに色々してくれるから問題ないわ」


 私としてはそれなら四人で分ければいいのではと思ったけど、もしかしたらレヴィさんなりにレッド君達に対しての優しさだったりするのかもしれないと思うと嬉しい。


「それに三人に少し私から話があるわ。私から依頼するようなものだからその分も含めてそのようにして頂戴」


 そんな素振りは無かったと思ったけど話とはなんだろう?と思いつつもフェルンさんが用意してくれたのは一人金貨5枚という破格の金額をくれた。

 ただ情報料込みでの値段で、オーガの素材に関しては私に金貨5枚プラスでもらえて一気にお金持ちになってしまったのでレッド君達にもオーガの素材費を渡そうかと思ったけど断られつつレヴィさんにどうしようと思ったけどそのレヴィさんは魔石をもらったからいらないと言われたので使い道に困るお金を持て余してしまう。


 これなら装備を整えたりするべきなのだろうけどどういう装備がいいかなと悩んでいたらレヴィさんが現代料理店に行こうと言い出したので私達三人はついて行き。私はいつもの牛丼を頼んで兄妹はピザを、レヴィさんは紅茶を頼んでそれぞれが食事を楽しむ。


「食べたところで話しがあるのだけれど、組合の話では数日ダンジョンに挑むのを待つように言われたけれどどうするのかしら?」

「俺としては今回みたいなことはたしかに冒険者が全体で困惑するだろうししばらくは2階層でまた過ごそうと思ってたけど?」

「私も概ねレッド君の言う通りにすると思います。ただ装備の見直しと言うか防具を新調できるか頼もうかとも思ってました」

「私もー特にすることないし、ただ休日をもっと増やしてゆっくりしたいかなー。お金も増えたしさ」


 各々が言いたいことを言うとそれを聞いてレヴィさんも笑顔を絶やすことはなく頷いてくれてそのうえでレッド君の方を見ながら言葉を発する。


「どれくらいの期間次の階層に挑めないかは分からないわ。ただそれまでに私から強い戦力がもう少しでこの都市に来るからそれを待ってダンジョンに挑みたいと思ってるのよ」

「そうなんですか?そんな話は聞いてなかったです」

「それはそうよ、今言ったもの。とはいっても元々リア達と会うまではその人を待ってからダンジョンに行くことを予定してたからどちらかと言えば私にとってはそっちが本命かしら?」


 そうなると5人で挑むことになるのだろうか?と思っていたらレヴィさんはまたレッド君達の方を見て話しだす。


「リアはいいわ。ただ赤い二人は6階層まで進んだらそこで一時的に解散してほしいのよ」

「いいぜ」

「待ってください!解散て…レッド君もなんで即答なんですか?急にそんな話になると思ってなかったです」

「落ち着けよリアラ。レヴィさんの言うことは当然だと思うぞ?正直今回に限っては何の役にも立たなかったし。一時的に解散てことはレヴィさんの言ってた探し物ってやつが見つかったらリアラは戻ってくるんだろ?」


 そういうもの?なのか。ただ人数はいて困るものではないと思って、いやそれだとレッド君達がただただ危険に晒されて危ないだけなのか。

 それなら私が強くなるという目的で挑めてレッド君達と一旦別れてもその後に用事が終わったら再度パーティの組みなおしという方法で解決?


「赤い男の言う通りだけれど、別にリアはそこの二人の所に戻らなくてもいいのよ。オークやミノタウロスに関してはある程度二人が生活できる程度には狩りに手伝ってあげるしリアが不安がることもないようにするつもりでいるわ」

「それでもレヴィさんの探し物ってどれくらいかかるか分からないんですよね?」

「いいえ。ここに合流する予定だった人がそれを見つけることが出来るのよ」


 そんな便利なことができる人がいるのか。ただそうなると想像してたよりもっと早くレヴィさんと別れることになるのかとも思ってしまう。


 私が感傷的になりすぎてるだけでレッド君達はそういうものと割り切っているのか、生活も保障してくれると言って安心してるのか特に異論はないようで口を挟んでは来ない。


「もっとダンジョンに挑むと思っていたけれど、組合からお預けされているんじゃきっと6階層に挑むのも相当後になるでしょう?それなら今のうちに話しておいた方がいいと思ったの」

「話してくれて嬉しいですけど、レッド君達は本当にそれでいいんですか?」

「元々目的が違うしな…リアラがどれくらい強さを求めてるか俺には分からないが俺たちは俺たちでまたパーティ募集しながらも前回とは違って資金がある分余裕を持って生活できるから大丈夫なんだよな」


 私達のやり取りを見ていたフレイさんがテーブルに乗り上げるかのような勢いで前に乗り出してきた。


「私は!リアラちゃんの言ってる通りみんなで進めたらいいんじゃないかなーって思うよ?レッドはなんのために冒険者を目指したの?それにレヴィさんは私達のことを足手まといと言ってないし一緒に行きたいって言ったらいいんだよね?」

「アハァ…そうね一度たりとも足手まといなんて言ってないし弱いとも言ってないわ。ただ心配はしてるのよ?特に貴方ね。戦闘はしても積極的ではないしリアみたいに強くなりたいのかしら?」

「リアラちゃんみたいに明確な何かが私にあるとは思えないけど、ここまで一緒にいたんだから最後まで一緒にいたいって思うのは変かなー?」


 足手まといと言ってないだけで思ってはいるのではとも思ったがそれよりもフレイさんがここまで言ってくれることが耳に残る。

 そう聞くと思わず心に来るものがあって、ここまで思ってくれていたんだなと温かい気持ちがじんわりと募る。


「それなら貴方は死ぬかもしれないことに付き合うよりも自分を鍛える意味で分かれた方がいいのではないかしら?そうね…それこそゴブリン、3階層を一人でも行ける程度の」

「待ってくれ二人とも落ち着け。落ち着いてくれ、フレイも興奮せずに聞いてほしいんだけど。そのここに来てる奴が来たら探し物はすぐ終わるんだろ?それならフレイはその後でも良くないか?」

「だってリアラちゃんは…その、強くなりたいって思ってるのは色んなことがあったからで…」


 きっと私が過去の話をしたからフレイさんはその気持ちを汲んでくれているのだろう。

 レッド君に話していなかったんだなって思うように濁してるところを見ると簡単に私の過去を話していいのかも悩んでくれているのかもしれない。


 そしてレヴィさんはすでに私から話を聞いてるからなのか納得したようにフレイさんを見ている。


「赤い男は私の提案を受け入れて、赤い女は私の提案を受け入れれない…なら簡単な話よ?赤い女だけ私達と一緒に来ればいいのよ。そうすれば丸く収まるわ」

「それこそ待ってくれ、フレイは今はリアラと離れるのが嫌ってだけで――」

「私ついて行くよ。リアラちゃんやレヴィさんの役に立てると思えないけどそれで一緒に行けるなら行きたい」


 レッド君が意外と言わないばかりにフレイさんの方を見て動きを止めた後に何か口を出そうとしたところでレヴィさんが口を挟んできた。


「赤い男はその子の主張を聞いてあげるべきよ。目的が違うのでしょう?それならみんなの目的通りに動きましょう?」

「それは…妹が危ない目に合ってるのを俺が黙って行かせるわけにもいかないし」

「なら貴方にはっきりと言うわ。足手まといよ。赤い女は自分の意思で動いているのに貴方は他人の意思でうろうろしてて…仮に貴方が死んでも赤い女は冷静でいてくれると思ったわ。貴方はきっと冷静でいられなくなるでしょうし、それは足手まといになるわ」

「さっきは足手まといって思ってないって…」


 レヴィさんが言ってることはきっと真実なのかもしれない、正論なのかもしれない。ただそれを言われて家族を危険な場所に送れるかは別だろう。

 私もどう話していいのか分からないままだったけど、お兄ちゃんがレヴィさんに散々な言われようをされてもフレイさんは私と一緒に来てくれると言って以降むしろレヴィさんがレッド君に何か言うたびにうんうんと頷いて賛成してる。


「さすがに一人にしてさよならとは言わないわ。お金なら6階層までの取り分を貴方が多くもらえばいいのよ?」

「そういう問題じゃなくて」

「一人立ちなさいな。貴方の妹は一人で進もうとしてるのだから」

「レッド、レヴィさんも言ってたしレッドも言ってたでしょ?ずっとお別れじゃないんだからサクっと戻ってきちゃうよー」


 そこまで言われてレッド君も納得したのか「分かった」と言って私としては後半気まずくて何も言えてないけど無事?に話し合いが終わって、明日以降はどうしようという話になった。


 フレイさんが私の体調の心配をしてくれてレヴィさんも魔石を加工したいと言い出したので明日はお休み…と、なるかと思ったけどレヴィさんの話では魔石の加工が3日以上かかると言い出したのでそれまでは休もうかと話し合った。


 レッド君が宿に戻ろうとしたところでフレイさんから再度待ったという流れが出て。


「リアラちゃん!私も一緒の宿に泊まるって話どうなったのかなー?」


 そういえばそんな話をしていたなと思い出して二日後以降ならもしかしたら部屋が空くかもしれないと告げると今日は大人しく帰って行った。


 二人になった後はレヴィさんと一緒に宿に帰るのだけど、さっきの料理店でなにも食べていなかったと思いそのことを聞いてみると。


「宿できっと夕食を用意してくれてると思うからそのとき食べるわ」

「あ…忘れてました」


 そういえばレヴィさんが前払いで金貨1枚をポンと渡していたのだったからきっとウィルスさんが今日も夕食を部屋に運んでくれていると思い帰ると、テーブルの上に布で埃避けされてる食事がありそれを二人で食べた。


 冷めてしまった料理だけど十分に美味しく食べれて、レヴィさんも美味しそうに食べていたので今日のダンジョンについての談笑をしながら食べた後に食器を片付けて部屋に戻るとレヴィさんは魔石を加工してるのか魔石を道具を使ってカリカリと削っていた。


「なんというか地味ですね」

「魔導なんてそんなものよ。そういえば今日のことで一つ話し忘れていたのだけれど」

「使ってるときは凄いのになんか色々物寂しいですね。なんでしょう?」


 集中しながらも話しかける余裕があるなんて職人としても貴族は働けるんじゃと思いながらも続きを促すと。


「リア、貴方はきっと魔石を食べれば強くなるわ」

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