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四十一話 アーライナ魔窟3階層一

 色んな真実を知って翌日。

 私はレヴィさんが朝食を食べたいと言ってきたのでウィルスさんにご飯を作ってもらって食べていたらレッド君達が迎えに来てくれて食べ終わった後にダンジョンに向かう。


「二人はどんな話したのー?」

「ちょっと説明しにくいですね…」

「アハァ…リアが貴族に興味を示してたくらいよ」

「え?リアラちゃん貴族になりたいの?それって国家冒険者ってこと?」

「いえ、むしろ貴族にはなりたくないなって言うのを強く思いました」


 そんな雑談を交えながらダンジョンに着くと軽い打ち合わせみたいなものを始める。


「まず1階層は基本的に道中のスライム以外は最低限無視だ。2階層は俺とリアラで押さえて進んで3階層まで真っすぐに進んでから問題の3階層だけど、これに関しては3階層からは洞窟とは違って広いフロアだからレヴィさんもそこから戦闘に参加してもらいたいと思ってる」

「アハァ…頼られるのは嬉しいけれど、危険じゃない限り私は手を出さないわ。魔導はそこまで便利なものではないと思っておいて」

「じゃあ、恐らく来るかもしれないリアラの言う階層ボスが相手の時にできれば備えておいてもらって、それまでは俺とリアラで基本は戦っていくって感じだな」


 多分だけど、レヴィさんの言う魔導が便利じゃないというのは魔石を改造したようなやつを消費して使うから使用限度があって雑魚敵に使うにはコスパが合わないみたいなことなのだろう。

 魔石自体は簡単に手に入ってもそれを加工するってなったらレヴィさんしか出来ないしどれくらいで仕上がるのかも分からないからレッド君が言ったように基本戦闘は私達で行って進んでいくしかないだろう。


 段取りを決めてダンジョンに入るとレヴィさんが「あら?」と不思議そうに壁や床を触って何かを確認したりして何をしてるんだろうとみてるとクスクス笑いながら何でもないと言ってそのまま進んだ。


 1階層は私が手を出せる相手でもないからフレイさんが槍を使ってスライムを駆除しながら進み。

 2階層も3階層に向かうため寄り道もせずに真っすぐに行くとコボルトの戦闘は最小限に3回程度しかなかった。


「手慣れているのね」

「三人でずっと2階層までを活動してましたから。ただ3階層は初めてなのでそこからは分からないです」


 3階層の階段を降りると、今まで洞窟だった風景とは違って自然が生い茂ってるダンジョンになった。

 明るく、それでいて周りを見れば別の冒険者が休んでいたりと見えたり。壁の方はどこまで続いてるのか分からないくらいには広く、上を見上げれば空ではなくダンジョンだと示すように岩が見える違和感


「なんというか、今までと全然違うんですね」

「俺も来るのは初めてだから感覚が違うけど、外で戦ってると思って行動したほうがいいかもな」


 そう言ってレッド君が買ってくれていたのだろう地図を一緒に見ると地図としては歩きやすい道と歩きにくい道などと、ゴブリンが主に生息してるところを大雑把に書かれた内容で4階層に行くなら真っすぐ行くことも出来そうだ。


「これはどうしますか?先に階層ボス倒しに向かいます?」

「それでもいいけど、レヴィさんの意見が聞きたいな。この森で魔導を使うってのはできるのか?」

「そうね。できるけれど、周りに冒険者がうろついていたら巻き添えを食らうことを考えたら人がいないことを先に確認してもらえれば、もしくは巻き込んでもいいのなら使えるわ」


 実際に戦闘となってレヴィさんに力を借りる事態になったらどっちかというと広い場所だと周りの被害状況を考えなければいけないとなるとそれは大変だ。

 もっと細かな魔導があればいいのだろうけど私との模擬戦で時間がかかると言っていたから出来ないことはないのだろうけど、魔導を使わなければいけない緊急事態に周りをいちいち配慮できるかと思うと悩む。


「そうなるとフレイに使えそうかどうか周りを確認してもらってからになるか?」

「てことは戦闘に参加しないのー?私が参戦しないならゴブリンが数体現れたら苦戦しない?」

「アハァ…リアが本気でやれば苦戦しないんじゃないのかしら?」


 そこまで期待されてもゴブリンと言えば固かったイメージあるから苦手意識があるから苦戦しそうな気がするけどどうだろう…


「私は一応ごり押しするつもりではいますけど、ゴブリンが数体現れたら面倒なことに変わりないと思います」

「じゃあやっぱり周り確認する時間ないしそのときは思いっきり魔導を使ってもらった方がいいんじゃないかなー?」

「そこまで悩まなくても危険になったら適当な魔導を放つからのんびり行けばいいんじゃないかしら?」


 レヴィさんが気楽に歩いて行くとレッド君が顔をしかめながらレヴィさんよりも前に小走りで追いついて進む。

 被害が出ないことが一番だけど戦闘が始まったら周りとかよりも自分の命を守らなければいけないからレヴィさんの言う通りレヴィさんの判断で魔導を使ってもらった方がいいのだろう。

 少なくともこの中で戦闘経験が一番豊富そうなのはレヴィさんだ。二人からしたら貴族が何故かダンジョンに来たくらいの認識だろうけど。


 ダンジョンの中で森という表現が正しいのかは分からないが、森を進んでいくとレッド君が前に言ったゴブリンがある程度の装備をしてるというのを目の当たりにする。


 ゴブリン3体と錆びた剣に、盾持ちもいてボロボロの革鎧など。先手をどう打つかをレッド君を見ながら判断しようと思ったけど…レヴィさんに先日言われたことを思い出すと、私が先手を打って戦闘をリードして行けた方がいいのかもと思う。


「レッド君、私が行きますのでどれから倒した方がいいですか?」

「盾を持ってるやつがいるからそいつに不意打ち出来たらいい、あとはフレイの援護を待ちつつ持久戦でいいと思う」

「わかりました」


 出来る限りの全速力で言霊を乗せて首を斬り飛ばすために真ん中を歩いてる盾持ちゴブリンに向かい『加速せよ』と踏み込む。


 不意打ち自体は成功したが首に斬り込んだ状態で私の存在に気付いたゴブリンが二人で私に襲い掛かろうとするためそれを避けてレッド君達の合流を待つという一時的に人数不利な孤立状態だ。

 もう少しタイミングを考えたらよかったと思って反省しつつ。ゴブリンの振ってくる錆びた剣を弾き飛ばしてその隙に片方の胴体に拳を打ち込む。

 ほぼ戦闘も終わってると言ってもいいくらいに二人が辿り着いて二匹の止めを刺して終わる。


「アハァ…別に盾を持った奴でなくとも複数戦をしかけるなら端の斬りやすいやつを倒せばいいと思うわ」

「そうですか?」

「結局リアが3体とやりあったのだから、連携を取りたいなら人数有利にできればそれでいいと思うわ。ゴブリンの持ってるものは粗悪品だもの、赤い男が剣を叩きつけたら壊れる程度の物ならそれでいいんじゃないかしら?」


 それを聞くと先に言ってくれと言わないばかりにレッド君が落ち込んでいるので出来れば先に言って欲しい。いや、聞かなかった私達が悪いのだけど。


 その後ゴブリン2体を見つけ、どうしたものかレヴィさんに聞きたくなったけど何でも聞けばいいわけでもないだろうと思い。人数自体は有利なわけだし先ほどと同じように不意打ちを仕掛けて1体になったところを三人で仕留める。


「本当に粗悪品な物を持ってますけど、ゴブリンの持ってるものが銅貨5から10枚程度で売れるんですよね?」

「あぁ、ただ今回は階層ボスだろう?選別して荷物を増やすよりそっちが優先だろう」

「いえ、本当にこれが売れるのかな?と疑問に思いまして」


 鉄ではなく銅だろうか?切れ味は悪そうで、単純に斬るというより削ったうえで細菌でもなすりつけるための武器なんじゃないかと疑うものだ。

 ゴブリンが着込んでる革鎧なんかもサイズ的に言えば私には合うだろうけど着たいと思えないし。


「無いよりはマシなんじゃねえかな?こういうのもレヴィさんの方が詳しかったりしないか?」

「金属の屑でも寄せ集めれば何かの材料になるだろうし私は扱わないから分からないけれど無いよりはマシって言葉で合ってると思うわよ」


 錆を綺麗に取る方法がこの世界でも確立してたとしてもなんとも手間暇かかりそうなリサイクルだろう。これもなにかしらの魔導で綺麗に除去できたら便利なんだろうけど、召喚と言ってたし錆びだけ召喚して綺麗な状態に戻せたりはしないのだろうか。


 できれば私にも普通の魔導が使えたらと贅沢なことを考えてしまう。


「何考えてるのかわかんねえけどリアラはこの先に出会う変異種を想定して気を付けろよ?」

「そうですね。何が来るか分からないですもんね。そういえばレヴィさんはゴブリンの変異種って何が来るかわかったりします?想像でもいいですけど」

「アハァ…難しいわね。ゴブリンの上位種なら想像がつくけど変異種ならそもそもゴブリンとは限らないんじゃないかしら?」


 専門的なことを言われそうな気がしたので口を挟むべきか悩んだけど大人しく聞くことにする。


「そもそも常に魔物と勘違いされてるけどゴブリンは亜人よ、だから亜人としての上位種が来ることを考えたらどうかしら?オーガとかその辺なら考えられるわ」

「オーガですか。たしかにゴブリンて小鬼って言われてたりしますもんね」


 亜人としての上位種ということはオーガというのは亜人として普通に生きてるのかもしれないウェアウルフもいたのだからコボルトも犬の魔獣が変異したものと思ったけどウェアウルフの下位互換としている存在ということになるのかもしれない。


「あー、私はみんなの話についていけないからレッド代わりに頑張ってねー」

「俺もオーガとか話に出ても見たこと無いしな…わかんねえよ」


 東の国にオーガが普通に闊歩してるのか気になるところではあるけど今回はそれが魔人化したものなわけだから相当強いかもしれない。

 そう思って私達が地図を見ながらフロアの真ん中付近に着いた頃、異変が起きた。


―カァァァァン―カァァァァァン―


 鐘の鳴り響くような甲高い音がおそらくフロア全域に広がるように鳴り、全員で思わず耳を塞いでしまう。

 一体何が起きたのか目だけで周りを確認するも特に何か変わった様子はない。


「あー、聞こえるか?」

「まだちょっと耳鳴りがして聞こえづらいです」


 フレイさんもレヴィさんもまだ耳を抑えて痛がってるので聞こえてないのかもしれない。


「一応確認なんですけど、こんな鐘が鳴り響くなんて話聞いたことありますか?」

「あったら地図になんか書いてあるだろ」


 ゴブリンが多いところなどを大雑把では書いてあるわけだし、たしかにこういう事態が起きるかもと一言くらい書いてあってもいいだろう。

 そうだとしたら私の嫌な予感として変異種の存在なわけだけど、それが来るのかもと身構えているが特に何も来ない。


 鐘の音から復活したのか二人も会話に混ざってどうしたものか考える。


「さっきの音は警報的なやつじゃないかなー?」

「思うのだけれど、変異種を想定してたとして、それ以外が来たらどうするつもりなのかしら?」

「それ以外ってなんでしょう?」

「例えば下の階層から来るとかかしら?」


 下の階層に関しては知らないので思わずレッド君を見ると、地図を探してみんなに見えるように真ん中に広げて見せてくれる。


「下の階層っていうと4階層だよな?そこはグランダが住んでるところだな」

「なんか聞き覚えはあるんですけどグランダってどんな魔物ですか?」

「二本の足をした鳥のような植物のような魔物だな。頭が綿毛で出来てる魔物だ」


 頭が綿毛というと胴体に脳があるのかもしれないが、それらが来るのだろうか?


「アハァ…だとしたら私の言ったことはスルーしていいわ。グランダは魔物としては弱いもの、グランダの変異種と考えても鳥の魔物が来るくらいかしら?」

「それって上空を飛ばれたら私達きつくないですか?」

「そしたら私が魔導を放って仕留めれるからむしろその方が嬉しいわね」


 それもそうか、今まで上空を意識したことはないけどレヴィさんがいる限りは遠距離攻撃があるのだし大丈夫だろう。

 それならいつも通りゴブリンの変異種と考えたらいいと思ってると、こちらに走ってくるものがいた。


「お前ら!今すぐ逃げろ!」


 それが冒険者だと気づいて、向こうも私たちを確認して言うだけ言ってそのまま走って行った。


「なにがどういうわけか分からないが言う通り逃げよう」

「あの人追えばいいですかね?」


 私達は走るが、レヴィさんが想像以上に遅かった。


「レヴィさん大丈夫ですか?」

「はぁ…できればゆっくり進みたいわ…運動は苦手なのよ」


 手でも繋ごうと思ったけど、レッド君がレヴィさんを担いで走り始めた。

 私もそうすればよかったかなと思ったけど、人を担いで走ったこともないし今はそれがベストだろう。


 しばらく逃げた冒険者を追うように何かから逃げているとざわざわと結構な人数のざわめきが聞こえはじめる。

 何事だろうと先を見れば2階層に戻るための階段が塞がっていた。


「なんだよこれ!」「どうなってるんだ?」「ゴブリンが急に逃げて行ったんだけど」「あのうるさい音は誰が出したんだよ」


 そんな喧騒の中私達はどうしようと思ったけど、さっき逃げろと言っていた冒険者を見つけて彼に状況を聞いてみるべきだろう。


「すいません、先ほどは逃げろと教えてくれた人ですよね?」

「あ、あぁ…だけど悪い、もう逃げれないみたいだ…」

「状況が分からないんです。何があったか教えてくれませんか?」


 彼は地面に座り込み頭を下げて階段が無くなったことに絶望するように吐露し始める。


「ゴブリンが…大量のゴブリンが軍勢みたいに…俺のパーティも飲み込まれちまった…」


 その話を始めると周りも少しずつその話を聞き始めて状況を確認していく


 彼、というよりも彼らはいつも通り5階層のオークを狩りに出向いてたらしく。道中のゴブリンを倒しつつ進んでいたらゴブリンたちが何故か彼らを無視してどこかに走って行き、唐突に鐘の音がしたという。

 その後は耳が痛かったけど全員で4階層に降りる階段を目指していたら大量のゴブリンが連携を取りながら襲ってきて、耳鳴りが回復してなかった仲間は反撃をしてそのまま飲み込まれて生存は見込めないという。


 彼はとにかく逃げようと思って2階層まで必死に走る途中に私達と出会って今に至るという。


 レヴィさんは今の状況でも笑顔で私の方を見てきていて、レッド君とフレイさんは申し訳なさそうな顔をしている。きっと私も変な顔をしてることだろう。

 恐らくというかほぼ確実に私のせいでゴブリンが連携を取ってきたのだと思う。


「レッド君…多分これはあれですよね、変異種ではなく今回はこのフロアのゴブリンが襲うかもとかいう」

「俺はよくわかんねえけどよ、ゴブリンてのは連携はとるがそんな規模で集まるものなのか?それもダンジョンのゴブリンだろ?野生ならともかくゴブリンがそんな風になるとは思えないんだが」

「アハァ…ちょっといいかしら?」


 私が今回の事件を招いたと考えていて憂鬱になりつつレッド君と話していたらいつも通りのレヴィさんが吐息を漏らしながら皆に聞こえるように話し始める。


「ゴブリンには変異種とは違って上位種なのだけれど、その中にゴブリン全体を指揮する者がたまに出てくるわ。呼び方はゴブリンリーダーだったり、ゴブリンジェネラルだったり…ゴブリンキングでもいいわ。そんな存在がたまーに現れて、それを倒せば他のゴブリンは指揮が無くなって散らばると思うわ」


 つまり今回は変異種ではなく上位種が現れたということだろうか?しかしそれを言ってどうしたのかと思ったらみんなはそういうことかと納得し始める。


「つまり、あんたの言うそのリーダーを倒せばいいのか?」

「アハァ…閉じ込められた以上は一蓮托生。みんなで挑むしかないんじゃないかしら?」


 ここに集まってるのは18名、私達を合わせて21名の冒険者がいる。また前回のような戦闘なのか。

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