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三十九話 魔と国の片鱗

 話をより聞こうと思っていたけど、続きは二人きりでと言われて話は一旦止まった。

 兄妹二人は王都以外守ってくれないと聞いて残念じゃないのか気になったけど、元々守られてる自覚がそんなにないから気にしてないらしい。


 国が民を守らないというより、王族が民を守らない?ただ貴族は守ってくれるのだろうか?と私は気になって仕方ない。

 時間的にも解散の流れになってきてレヴィさんはどうするんだろう?と思って聞いてみると。


「リアと同じ宿に泊まるわ。代金も私が持ってあげる」

「そこまでしてもらわなくても…空いてる部屋があるか聞いてみますね」

「同じ部屋でいいわよ」


 なんと。別に一緒の部屋でもいいけどあの部屋ベッド一つしかないんだけどなと思ってるとフレイさんが私とレヴィさん二人のやりとりを聞いていたのかジトっと見てくる。


「私も二人に混ざりたいなー。新しい仲間と親睦会したいなー」


 なんなら呟きも聞こえてきてどうしたものかとレヴィさんを思わず見てしまうけどレヴィさんは特に聞いてないふりをしてるのか笑顔のまま無視してる。仕方ないので直接聞こう。


「レヴィさんはフレイさんのことどう思います?」

「好きにすればいいわ。ただ、リアが泊まってるところはそんなに広いのかしら?それにリアが聞きたいこと聞けなくなってもいいなら私は気にしないわ」

「というわけなのでフレイさんはレッド君と泊ってください。魔導のこと聞けたらベッド三つあるところ無いかウィルスさんに聞いておくんで」


 決して魔導のことを優先したとかではないのだ。きっと女子会みたいなことをフレイさんはしたかったのだろうけどこれは強くなるためだから仕方ないので今回は諦めて欲しい。

 フレイさんが拗ねながらも、私がウィルスさんに聞くと言ったのを聞いたところで「待ってるからね!」とレッド君と宿に戻っていった。


 私達二人になってなんて話せばいいのか分からないまま無言で宿に戻るとウィルスさんが私とレヴィさんを見て一瞬悩んでる素振りを見せて。


「一緒の部屋でよろしいのですか?」

「あー、ベッド二つあるところありますか?あと今度三つあるところも借りたいんですけど」

「三つはないですね、二つあるところならありますが。ただそれも四日以降に空室になるかどうかですが。知人の綺麗な宿が空室か聞きましょうか?」

「その必要はないわ。ベッドも一つでいいからリア行きましょ」


 私達のやりとりに割り込むように金貨をカウンターに置いて私の手を引っ張っていく。

 貴族とはそんなお金があり余ってるものなのかとびっくりしたけど、それ以上にベッド一つはさすがに恥ずかしいと思いながらウィルスさんに会釈だけして。レヴィさんはどの部屋か分からないだろうから私が案内する。


「いいんですか?私みたいに小汚い者と一緒なんてとかそういう感じは無いんです?」

「アハァ…そんなことを思っていたら最初から断ってるでしょ?」


 私としては気にしなくていいと言われたから貴族なことは気にしないけど、むしろ気安く接してくれるのはありがたいとはいえ距離感近いなぁと思う。


 部屋に着いてもどうしたものかと思ってるとベッドに座ってゆったりしてるレヴィを見て、私ももう少し気楽にいくべきかなと思ってベッドに、隣に座る。


「それで色々聞きたいんですけど」

「私も一つだけ聞いていいかしら?」

「一つですか?私に答えれることならいいですけどなんでしょう?」

「どうしてダンジョンに潜ってるのかしら?」

「それは話すと長くなると言いますか、私がここに来るまでのことを話す感じになるかもですけど」

「それでいいわ」


 私は過去色んな人に助けられてその人達みたいに強くなりたいことと追いつきたいことを話すとその答えに満足したのか一言だけ。


「なるほどねえ」


 と吐息を漏らすように言葉を漏らす。

 もういいのかな?なんて思いながら私は早速魔導について聞いてみる。


「それで強くなるには魔導とか色々聞きたいと思ったんですけど、教えてもらえるんですか?」

「なにが知りたいのか聞いてくれたらそれに答えるわ」

「まず魔導ってなんですか?」

「これを見てくれるかしら?」


 そう言ってレヴィさんが取り出したのは石だ。魔石かな?

 ただ私が知ってる魔石とは違って何か模様のようなものがびっしりと刻まれている。


「魔導の媒体みたいなものでしょうか?」

「やっぱり分かるのね。ただこれは媒体であると同時に鍵みたいなものよ」

「鍵というともう一個開けるための箱の役割をするものがあるんですか?」


 そう聞くとレヴィさんは自分の胸を指さす。


「魔力でしょうか?」

「いいえ、体そのものが箱なのよ」


 ちょっといきなり分からなくなった。

 疑問に思うよりどんどん教えてもらえるそうだから素直に聞いて行こう。


「魔石を体に取り込む?とかですか」

「この魔石みたいな模様が私の体に刻まれてると言ったら分かるかしら?」

「魔法陣みたいな感じでしょうか?あ、魔導陣って言った方が正しいのですかね」

「アハァ…さすがにいじわるしすぎかしらね。見た方が早いわ」


 レヴィさんが言いながら急に服を脱ぎだした。

 さっきの話の流れだと体に刻まれてる魔導陣を見せてくれるのかなと思ったけど。それでも急に脱がれるとさすがにびっくりするしドキドキもする。


 ただ思っていたものとは違って、その体は綺麗なもので。下着で隠されてる?と思ってると下着もずらして見せてくれて、そこには何も刻まれていなかった。


 私が確認したのを見て服を着なおしていってこちらを見てくる。


「内臓に刻まれてるってことですか?」

「リアはよく考えているのね。内臓も見せた方が良かったかしら?」

「見せられても困ります…というか死んじゃいます」


 しかしそうではないとなるとなんだろう、骨とかそういうところになってしまうが。


「魔力を放出してるのも関係してるんですか?」

「微妙な知識を集めてきっと勘違いしてるのね。アハァ…リアは魔導を何だと思ってるのかしら?」

「私が今まで見たのは爆発を起こす魔導とレヴィさんが見せてくれた水を発射する魔導ですね。レヴィさんがやっていたのが無から有を生み出してましたけど。私は魔力を燃料に事象を引き起こすのを魔導?と思ってます」


 私が今出せる解答を纏めたものだけど。レヴィさんの話だと魔力というのが魔石だとして、それと体を指してるというとイメージ?イメージを魔石に伝えるということか?


「うーん…それも面白い考え方ね。出来るならすごいと思うわ。ただそれを伝える方法がないんじゃないかしら?」

「伝えると言うと魔力にお願いするとか」

「基本的に魔導はそんな便利なものではないわ。リアは神経を知ってるかしら?」

「神経ですか、一応知ってますけどそこまで詳しくはないです」

「神経を無理やり拡張して刻み込むと言ったら分かるかしら?」


 医学にそんな詳しくないからあんまり分からない。たださっき体を示してたのは神経のことを指していたのだろうか。

 どうしてわざわざそんなことをしてるのかが分からないのだけど。


「すいません、すごく分からないので教えてもらってもいいですか?」

「魔導と言うのは魔力を使いはするのだけれど、その燃料にするって考えは合ってるわ。事象を引き起こすことはできないとされていて、基本は召喚という形になるわ」


 分かる単語だけ拾うと、魔導とは召喚というざっくりしたものだろうか。


「アハァ…他人から見たら事象を引き起こして見えるでしょうね。その実はただ召喚してるだけなのよ」

「それってレヴィさんはどうしてできるんですか?レヴィさんというか貴族はですか」

「壮絶な痛みに耐えて神経に刻むのよ。そしてその後も大変ね。刻んだ後は自分に刻まれた模様を魔石や魔力を含んでるものを使って召喚するために必要な位置、座標を指定して魔石等構造をそれに合わせてから使用すれば記憶から引きずり出すのよ」


 私がやってる言霊とは違って話が壮大になってきた。


「えと。それじゃあ私に無理と言ってたのは神経に刻まれてないから…ということですか?」


 もう私の頭がパンクして分かりきってないことを分かったのかクスクスと笑いながら首を振る。


「別に後から刻めばいいもの。ただリアの場合はすでに別のものが刻まれてるから無理なのよ。魔導を扱うためのものが刻まれていれば仕えていたでしょうけれどね」

「なにが刻まれてるか分かるんですか?というか私ってそんなことなってたんですか」

「リアは魔導を調べていたのでしょう?それなら貴方の方が詳しいんじゃないかしら?見せてくれると嬉しいわ」


 色々丁寧に教えてもらってばかりだったので、私のことを見てもらったら他の観点で教えてもらえるかもしれないと思い出来ることを素直に伝える。自分でも分かってないので抽象的にはなるが。


「私は言霊とか呪詛みたいな感じを思って使ってますけど。こう、『拳を速く』したり。あとは『風よ吹け』と言って殴ると風がちょっと吹いたりですかね?」


 実際に実践して目の前で拳を振って見せ、風もそよ風くらいしか吹かないのでレヴィさんに風を吹かせてあげたりしてみると何とも言えない顔をされた。


「アハァ…面白いことしてるわね。憶測くらいなら考えれるけれど、下手に伝えて貴方の可能性を潰す方が駄目な気もするわ」

「強くなれるならむしろ教えて欲しいのですけど」


 レヴィさんは背伸びしながらベッドに倒れ込んで「んー」と唸りながら悩んでいる。

 そんなに私が変なものが刻まれているのだろうか。今まで特に不便もないから便利な身体くらいにしか思ってなかったけれど。


 なんちゃって魔導と思っていた私の魔導も魔導ではなく別の何からしいし、なんなら謎現象を起こせるという意味不明な存在になった。


「リアは自分のことをどう思ってるのかしら?」

「え?なんか願ったことが身体に反映される便利な、丈夫な?感じだと思ってます」

「アハァ…じゃあ願い続けた方がいいわ。その方が安全だし、無意識に扱えているのだから」


 色々教えてもらったけど、私のことに関しては教えてもらえなかった。

 まぁ、専門家であるレヴィさんがそう言うのだからそうなのかもしれない。


 質問ばかりになるのも申し訳ないので雑談でも挟んだほうがいいかなとか思ってるとレヴィさんが国のことを話しだしてくれる。


「この国がどう動いてるのかリアは気にしていたわね…西の街が襲われたのでしょ?それなら見ての通りとしか言えないわ」

「領主が対応できないと被害が出ても何も出来ない…でしょうか?」

「王族に関しては私が言えることはないのだけれど。領土が広いのに対して貴族が少ないのよ」

「国家冒険者みたいな制度もあるんですよね?」

「アハァ…あってないようなものよそんなの。貴族は偉い者なんて意識は民にあるようだけれど実際はお金を持って魔導を扱えるというだけの、そこらへんにいる人と変わらないわ」


 自虐的に言うが、レヴィさんがそう言うならそうなのだろう。

 それでも魔導を使えるのはすごいと思う。専門的な知識も持ち合わせているしそこら辺にいる人はそんなに詳しくないだろう。


「お金を持ってると言うと税収とかですか?」

「そこまで民が裕福に見えるかしら?」

「じゃあ物税とかですか?」

「それも同じことが言えるわよ。税なんて搾り取ればこの国の民は生きていけないでしょうね」


 それじゃあ税は無いのか。それなら王族とか貴族ってなんなんだろう?私が想像してたのとは違ってかなり苦労人だったりするのだろうか。


「アハァ…税を取ってる領主もいるのかもしれないわ。それでもそのお金があったらリアは何に使うと思う?物税と言っても食料を集めてリアは何に使うのかしら?」

「それは兵士のお給金とか、食料も戦争とか兵士や自分たちが食べるんじゃないでしょうか?」

「お金に関しては作ればいいわ。食料に関してもスライムラディッシュを作ればいいわ、それが出来なくても野生の獣を狩ればいいのよ。戦争なんてこの国が本気を出したら大陸は統一できるくらいには強いわ」


 お金って作っていいのか。まぁ大陸共通の貨幣と言ってたしどこかで作っていたんだろうけど。

 それにしたってなんというかおざなりな言い方をしてやろうと思ったらできると言われたけど、それをしてないのに理由がある?ということかな。


「なんというか…困る要素がない?ってことですか?現状維持が良いみたいな」

「困ると言えば魔物くらいでしょうね。この国が人間至上主義なのは知ってるかしら?」

「はい。亜人が嫌いで魔物と同じような扱いとかなんですよね」

「なんで亜人が嫌いかをリアは考えたことがあるかしら?」

「え…見た目とか、能力が人間より優れてるから…?」

「見た目もあるわね。ただ、人間より優れてるなんてどうやって判断したのかしら?」


 私の勝手なイメージだ。エルフは森の民みたいな感じで弓の名手を想像して。ドワーフは鍛冶が得意だったり。

 でもそれが人間が劣ってるかと聞かれたら熟練度の違いでそんな大差はない気がする?

 いや、実際にどうなのかイメージしてるものでもしかしたらと思うものもあるので聞いてみる。


「寿命とかですか?」

「アハァ…寿命が長いとなんで優れてるのかしら?」

「それは…その方が技術力が上がるからでしょうか?」

「寿命が長いからと言って生涯を技術力向上に努力してる長命種がいるとは思えないわ。いえ、否定するのは良くないわね。仮にいたとしてその長命種がどうしてわざわざ人間を相手に優れようとするのかしら?」

「もうギブアップしたいです…人間至上主義を掲げられたら反抗したいと思う人もいるんじゃないでしょうか?」

「考えることは大事よ。まぁでもそうね、まずこの国は戦争をそこまでやる気はないわ。人間至上主義なのは亜人がいることで文明が衰退するからよ。理由はそれこそリアが話してた長命種だから考えが発展しないのよ…それでも東にいる亜人を滅ぼさないのは生まれてくる亜人が古い考えではなく新しい考えを持っていると期待も兼ねてるのかしらね」


 それなら国全土に真実をそのまま伝えてもいいんじゃないだろうか。

 みんながみんなレヴィさんみたいに頭がいいわけではないだろうけど分かる人は分かるだろうしそしたら――


「アハァ……もし領土が広いだけのこの国が、国民が実際は平和なのだと思ったらもっと自由に動くでしょうね。そして思うのよ、力で実質大陸を支配しているのは王族貴族なのだと。だから形だけでも必要悪はいるし、そうやって公言しておかなければ商業ギルドが民を率いて一気に反乱かしら?」

「それは私に言ってもいいんですか?言いふらすかもしれないですし。ただその話を聞いて思いましたけど必要悪なら魔物がいるんじゃないんですか?」

「言ったでしょう?見た目の問題もあるって。獣人は狩られることになるしそれに魔物が自然発生するとはいえ獣を全部狩ったら食料にこまるし、魔人に関してもリアは見分け方わかるのかしら?」


 分からない。魔石があると凶暴になるとか、魔力を放出できない体質のようなものでゴブリンは魔人として魔物として討伐対象だけど、実際に人間の魔人を見たことは無いにしても、ただ暴れてるだけの人なのか魔石のせいで魔人なのかが見た目では判断がつかないと思う。


「リアはどうして教えてくれるのか気にしてるみたいだけれど、商業ギルドだってそんなこと上層部は知ってるわ。今更知ってる人間が一人増えたところでどうしようもないもの」


 ということは北の聖教会も知ってるということだろう。戦争と言う名の表面上だけは争ってるというままごとを。

 では東にいるという亜人の国はどうなのだろうか?人間が憎いと思うんじゃないだろうか。


「亜人たちは人間を嫌いなんでしょうか?」

「アハァ…古い考えを教えて人間を恨み戦争を仕掛けてくれればこっちの国としては喜んで戦争を追い返すでしょうね。そして向こうも勝手に復讐心を燃やして老人の蔓延った私怨に生まれた子供を巻き添えにしていくわ」


 そんな終わらない意味のない戦争をし続けて一体どうしたいのだろう。それこそもういっそ滅ぼした方がいいのではないかとも思う。生殺しの状態を続けていてもそれこそ文明は発展しない気がする。


「リアはもっと良くなるんじゃと思うのでしょうけど、この国はこの国で王族が腐ってるから無理よ」

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