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二十八話 買い物

 最低でも銀貨50枚相当の剣なんて買っても連戦すれば鈍るし。それなら解体用ナイフで仕留めるかそれが出来ない相手は殴り潰すしかない。リーチ的に持って走り回ってたのもあっていいなと思ってた槍なんかは剣よりも銀貨10枚分安かったが、ダンジョンがどんなところか見てないから、洞窟内で槍を振り回せるとは思わないし長すぎても困る。

 刃こぼれしない剣が欲しいなんて贅沢すぎることを思うが。もしかしたら砥石とか持ってダンジョンに潜るのは普通のことなのかもしれない?


 私がダンジョンにわかすぎるから実際どんな雰囲気なのか確かめてみてから武器は選ぶのだろうと思うと、それなら命大事にってことで防具をやはり優先すべきと思う。


 防具屋は盾マークの建物と思ってはいると、ピカピカの金属鎧をこれ見よがしに置いてる店は値段が馬鹿高いということが分かった。

 そもそもサイズ的に着れないし。値段は金貨を行くって、あの店本当に売る気あるのかと思ってしまう。


 そんな中、建物のサイズが地味というかこじんまりしてる店を訪ねると、革の防具とかを扱ってるお店だった。


「いらっしゃい」


 適当に声をかけられて椅子でだらけてるおじさんを横目に見つつ。どんなものがあるかなぁと思って見ると安いには安い。

 革製ということではあるが、それでもブーツが銀貨10枚等良心的な値段だろう。安い素材でも使ってるのかな?


「すいません」

「値札より値段は下げない。それでも喋り続けるなら聞くが?」

「値段はすごく良いのですが。ここって金属製の物は扱ってないんですか?」

「それなら他行けよ」


 なんとも雑な扱い…これは冷やかしと思われてるから仕方ないのだと思うが、実際冷やかしを連続で店を跨いでやってきたから文句はない。


「そこにあるブーツなんですけど。こう、脛のところとつま先と、あと踵の部分を金属にしてもらうことできませんか?」

「あ?まぁ、そうしたいなら出来ないことは無いが、お前とあのブーツじゃサイズがそもそも合わないだろ」

「けど、今まで見た中でサイズが一番合いそうなのがあれくらいだったので」

「銀貨30枚で良いならお前の要望のブーツ作ってやるが、金持ってるか?」


 30枚かぁ。残金の半分を散財する形になる。とはいえ私の要望とサイズまで合わせてくれるオーダーメイドってなるならむしろ安いのではないだろうか?

 どうせなら三倍の値段になるわけだし、服とかそういうのもらえないかな。いや革製の鎧とかになるとさっき見た値段だと銀貨20枚、そこから私のサイズにオーダーメイドされたら銀貨60枚なわけだしそこまでまけてくれるとは思えない。


「靴下みたいなのありませんか?それもサービスでって言ったら怒ります?」

「布の端切れくらいならやるよ、それを巻けばいいだろ」


 なるほど。布を包帯みたいに巻けばいいのか、それならたしかに靴下の代わりになる気がする。


「それじゃあお願いしたいです。あともう一つおすすめの安い服屋ないですか?」

「おっほー!お前すげぇな。こんなガキが銀貨30枚も持ってんのかよたまんねぇな。服屋ならここから6か?7軒隣の所が安いぞ。それとお前のブーツだが四日くれ、あと足見せろ。小さいんだろうから怠いが仕上げてやるよ」


 ちょっと引くくらいテンション高いなこのおっさん。ただ真面目にやってくれそうだし、人柄は置いといて良いお店だろう。実際に銀貨30枚を支払うと丁寧に数えられてにやにやして手招きされた。

 カウンター裏に案内されて足のサイズを確かめられり。長さを測られたりしてたら「ちっせぇな」とか「こんなサイズの金属詰めろってむしろ安かったか?」とか言われたので事実本当はもっと高かったのかもしれない。

 ただ値段の変更はされなかったし、ぶつぶつ言われただけで、ついでに長い布を用意してくれて足に巻いてくれた。

 良い人だなぁと思って、ただ金にがめついだけなのだろう。


「四日後。そうだな、夕方以降に来い。深夜でも来てくれりゃドアを思いっきりたたけば起きるかは知らんが構わん。それでも起きなかったら起こすな。次の日に来い」

「はい、四日後ですね。私もお財布がとても痛いのでできれば丈夫に作って欲しいです。オーク蹴っても壊れないくらいの」

「馬鹿言え。もっと稼いで来い、まぁ早々は壊れないだろ…」


 作業するらしく。手で追い払うように扱われて、大人しくお店を出て。6か7軒隣って右と左どっち?と悩んで、まぁ結局冷やかしするだろうし適当でいっかとお店を探す。


 服屋とは言っても中古着だったり、リサイクル品を仕上げてるだけっぽく。新品を仕立ててるところは南通りにあるのかもしれない。

 防具屋から7軒離れた位置にあるところが実際一番安かったので、そこで当たりはずれの多い服を探すことにした。


「欲しい服ないの?」


 お店の人に話しかけられたのかと思ったけど、横を見てみると他の客がいたのかと驚いたけど。それ以上に私と同年代くらいな女の子に話しかけられたことに驚いた。


「ないというか、どれを買うべきなのか?悩んでたといいますか」

「どんな服を探してるの?」

「丈夫で綺麗で、着心地が良いのとかですかね。あとは下着ってどれを買うべきかなとか」


 伝えると、とてとてと足音を立ててお店の中を走って「んー」と悩ましそうに唸っていたからもしかしたら一緒に探してくれてるのかもしれない。


 私も探してるが結構ほつれていたりする商品が多いのでこだわりすぎるのは良くないかなと諦めかけたら、お店の人とさっきの女の子がやりとりしてるのが見えた。


「ミーミ、これは自分の服でしょ」

「あの子に似合いそうなの」


 このお店の子だったのか。というか自分の服持ってこようとしてたのか。さすがにそれは申し訳なさすぎる。

 そんなちゃんとした服を買いたいわけではないのだ。


「えと、私は服を見つけたので。下着の方を良かったら選んでくれませんか?」

「えー、もう見つけたの?見せて!」


 実際決まってないし、見せてと言われても困るのだけど。仕方ないので丈夫ではないけど、見た目が良さそうだった白いワンピースを手に取って見せると「おー!」と喜んでいた。

 お店のおばさんはこちらに申し訳なさそうにしていたからもしかしたら多少値段さげてもらえるかなと淡い期待もするが、元が中古品なので銅貨20枚と割安だからさすがにやりすぎか。

 まとめ買いするから少しくらい値引いてもらうくらいがいいかもしれない。


 私が白いワンピースを選んだことで満足したのか、ミーミちゃんは下着を探し始めた。


「ごめんなさいね、同じくらいの歳の子がきっと嬉しくて」

「いえいえ。私もまさかお店で同年代の子と会うとは思いませんでしたので」

「しっかりしてるのね?行商で立ち寄ったのかしら?」

「私は冒険者です。名前はリアラって言います」


 冒険者にあまり良いものを感じてないのか、心配されてるのか微妙な顔をされたが、私が逆の立場でも自分の子供と同じくらいに見える子が冒険者だったら同じ顔をしていたかもしれない。

 見た目だけ違うだけで中身はそうではないから安心してとは言えないし、中身の年齢を伝えても困惑させるだけだろうし。


「服を適当に3着、下着も3着買うのでお安くなったりしませんか?」

「そうね?そうね!少し迷惑かけたし銀貨1枚と銅貨10枚でどうかしら?」


 銅貨10枚まけてもらった。宿一泊分儲けれるのは助かる。収入の見込みが無い上に散財したばかりなので。

 服の方は白いワンピースとは別に黒いワンピースを二枚選んで、下着はなんか花柄のワンポイントがある下着をミーミちゃんに選ばれた。

 そんな可愛らしいものを選ばれると思ってなかったのだが、まぁ下着にはこだわってないからいいかな。


「あ、それと私の合うサイズのズボンてないですか?」

「ズボン?短いのでもいいかしら?」

「それでもいいです。なんか落ち着かないので」


 すると、おばさんもカウンターから出て探してくれて、短パンを3着持ってきてくれた。そんな短いのかと思ったが、わざわざ黒色を探してくれたので私の好みに合わせようとしてくれたのかもしれない。

 この3着も割り引いてもらうのも気が引けたので追加で銅貨60枚分を支払う。


「着て行かないの?」


 ミーミちゃんは私がワンピース着ていくのを期待していたのか、悲しそうな顔をしてくる。

 なんだろうか、本人的には純粋に疑問を抱いてるのかもしれないけど私的にはお店の人に選んでもらったりするのとか色々恥ずかしい。


「リアラちゃんが良かったらお店の中で着替えて行ってほしいわ」

「あ、はい」


 私は色んなお店の裏側に招かれるのが普通なのかという疑問も抱きつつ一応好意に甘える。

 お店と住居が一体型になってるようで中に入ると作業場と生活も兼ねてるようなところで着替えようと思ったのだが、ミーミちゃんがずっと付いてきて私を見てくるのだ。

 何か言って見られないようにしようかとも思ったけど、一応同姓なので気にしない方がいいだろうと思って脱ぐと「おー!」と言われ余計に恥ずかしいからさっさと白いワンピースを着て下着なども着替えてズボンを履いて完成。


「ズボンいらなくない?」

「私はこの方が落ち着くんです」


 なんとも言えない気分になりつつナップサックに服などを詰めてお店に戻るとおばさんも「よく似合ってる!可愛いわ!」など褒められる。


 まさか服を買うだけのつもりだったのがこんなに疲れるとも思わなくて、二人に感謝して帰ろうとすると服の裾をミーミちゃんに掴まれていてどうしようかなと困った。


「ミーミ、あまり迷惑かけないの」

「だって…」


 そんな懐かれること何もしてないんだけどな。


「同じくらいの歳の子ってこの辺りに住んでいないんですか?」

「住んでるけど、リアラちゃんが可愛いからこの子甘えたがってるだけだと思うわ、友達だっているのよ」


 さすがにこうなるとは思わなかったのでどうしたものかと考える。

 別に何かこれ以上用事があるわけではない。ただ今の時間は夕方近いから宿に戻る頃には暗くなるだろうし、そしたら食事が冷めてしまうだろう。別にいいのだが。

 明日の昼過ぎにはポーション屋に寄って、四日後にブーツが完成するとは言っても夕方以降らしいから、明後日とかに遊ぶとか言えばいいだろうか?


「明後日に遊びに来るのでミーミちゃん、その時一緒に遊びませんか?」

「え!いいの?」

「明後日ならちょうど暇なのです」


 正確に言えば三日後も暇だけど、ダンジョンまでの道のりを確かめたいし雰囲気だけでも確かめたいので三日後にそれをすれば良いだろう。


「おかあさん!明後日遊びに行ってもいい?」

「リアラちゃんにご迷惑かけないようにね?リアラちゃんも無理して付き合わなくても大丈夫ですからね?」

「やったー!」


 明後日一体何をして遊ぶつもりなのかは知らないが、約束すると服を離してもらえたので頭を撫でておいた。

 それから「あさってあさってー!」とはしゃいでるミーミちゃんを置いておばさんにお辞儀をして店を出る。


 しかし都市がいくら広いとはいえ一日お店巡りをしているとそれだけで一日が終わるとは都会とは怖い。

 今までろくな買い物をしてこなかったせいというのもあるかもしれないけど、私は今日だけで結構疲れた気がする。

 真っすぐ帰ってく途中で、着替えたからカラスの行水みたいに頭から水を被るのも気が引けて。頭だけ水を被って、少しもらった端切れを水で濡らして、馬屋に着いたら体を拭こうと思い戻ると。

 月も出ていたこともあって、これから料理を運んでくれてる様子の紳士さんに出会った。


「すっかり見違えましたね。似合ってますよ」

「ありがとうございます」


 あまりそう言われるのも慣れないもので、トレイを持ってるしこのまま受け取って。紳士さんには戻ってもらって出来立ての食事を藁をクッションに座って頂く。

 昨日とそんなに変わらないメニューだが、明日は試しにリットーゲッカを頼んでみようかな、場所によって作り方が変わっていろんな味が楽しめるのだろうし、安宿で提供してたくらいだから材料も安く手に入るだろうしそんな我儘でもないはず?


 今日も食べ終わったトレイを受付に戻しに行って、四日後までダンジョンへ行かないわけだし、ダンジョンに潜るといっても初日は様子見で終わるだろうから五日後も泊まることを考えたら先に泊まることを言っておいた方がよいかなと聞いてみることにした。


「すいません。五日分泊めてもらうことってできますか?」

「もちろんできますよ、全部馬屋でよろしいので?」

「はい、それ以上泊まるかはダンジョンに潜る予定なので分からないんですけど」

「初日に籠手を着けておいででしたからもしやと思いましたが、冒険者だったのですね。しかしダンジョンに潜るのは五日後なのですか?」

「えと、装備とか色々買ってたら仕上がるのが四日後らしくて」

「なるほど。それでしたら、実際に宿に泊まって頂く日が五日後以降と覚えておきます」

「あ、がんばります?」


 そんな儲かるものなの?と思ったがどうなのだろう。ダンジョン未経験の私からしたらこの宿に泊まるの食事含めたら銅貨90枚と考えたらだいぶきついのだけど。

 それとも馬屋に泊めてくれていたのは、いつか宿に泊まってもらうための布石みたいな感じだったのだろうか?だとしたら商売上手なのかもしれない。本来なら断るところを先を見込んで…見込むかぁ?初日なんてただの小汚い小娘だったのに。

 あれだ、商売人ジョークかもしれない。ただ、他の宿屋に泊まるという考えがこれであまり考えることが失礼かなと思ってしまうから実際商売上手というやつなのだろう。


 とりあえず五日分の馬屋と食事代を支払いつつリットーゲッカについても聞いてみる。


「リットーゲッカですか?確かに当店でも作れますが、この都市ではあまり好まれないので提供はしてませんでしたがよろしいのですか?」

「はい、明日だけでもいいんです。色んなもの食べてみたいなって思ってて」

「畏まりました」


 場所によって味の好き嫌いがあるのは仕方ないことだ。私も関西と関東で味が違うとかそういうのも知ってるし、ただどうせなら気になるから食べてみたくなるというものだ。

 それに好まれないからあえて頼んで食べてみるというのは裏メニューみたいな感じがしてちょっと優越感があったりもする。


 今日一日を思い返して、浪費分稼げるのか疑問ではある。ダンジョンにどんな魔物が住んでるかにもよるがゴブリンが1階層だとしても宿に泊まるには馬屋生活を続行するとしても20匹を倒さなくちゃいけない。

 それにゴブリンじゃないとしたら倒すのにそれこそ時間がかかるだろうし真面目に誰かとパーティを組むことを考えるが、私が相手のパーティと不釣り合いの現状をどうにか打破しないとこんな小娘誰も混ぜてくれないだろうし。


 むしろ受付にパーティ募集の依頼でもしてみる?報酬とかは無くても掲示板に張り出しは依頼書と同じで組合に銅貨1枚で貼り出してくれるだろうし。

 それで来てくれた人と組んで…とも思ったが実績も何もない私と組みたがるってことは相手も初心者なわけでその命を預かる立場と言うのを想像したらあまりに責任が重すぎて気が引ける。


 たまに馬が嘶き馬屋だったことを思い返すと、なんか手軽に仲間できないかな。馬でもいいからなんて雑に考えてしまう。

 さすがに馬は値段が高いか。いや、そもそも馬ってダンジョンに入れるのだろうか?


 考えが飛躍しすぎてしまってる…仮に仲間が欲しいと思っても私と同じような悩みを抱えてるとなると決め手に欠けるとか、そんなのだろうか?


「もう考えたくない…腕立てしよ…」

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