言いたいことは、沢山あるのに
「お久しぶりです。フローラ殿。」
「は!はい…お久しぶり…です」
まともに目が合わせられない。声も裏返ってしまった…。
緊張して…ルイス様の顔が見れない。
そんなことより…
(ルイス様…私の事、名前で呼んでくれた…!)
「フローラ殿は大きくなりましたね…。」
「おいおいおい〜!フローラとルイスがあったのは2週間前だろ?」
ニコはルイスの背中をバンバン押しながら笑う。
「っははは、そうだな」
「すぐフローラが身長でかくなる訳ないだろ〜!」
「……でも、少し髪が伸びましたね。フローラ殿は長い方がお似合いです。」
「えっ……」
また髪が伸びたから切ろうと思ったけど…やっぱりやめよう。
フローラは、ルイスにそう言われて心の中できめていた。
「?フローラ顔が赤いぜ〜!もしかして、ルイスの風邪がうつったのか?」
「え!!!風邪なんて引いてないよお兄ちゃん!!!!」
「でもすげぇ赤い…。」
「赤くないもん!」
フローラは叫んでしまった…。
「……ご、ごめんなさい…!私帰ります…!!!」
フローラは泣きながらルイスの部屋から逃げるように出ていった。
「おい待てよフローラ!ごめんルイス、早く良くなれよ!」
「あ、あぁ……またな…」
ドタバタと急ぐニコの背中に向けて、ルイスは小さく手を振る。
掃除中のメイドとフローラがぶつかる音と…
ニコが「ごめんなさい!」と叫びながらメイドをスレスレに避けていく声が聞こえた。