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想い人である。
フローラは、ルイスの部屋のドアの前で悩んでいた。
彼に会うか、会わないでそのまま帰るか……
(次いつ会えるかわからないし……でも、風邪気味でゆっくり休みたいルイス様とお話してさらに体調が悪化したら……)
フローラは、ルイスの事が好きなのである。
そう、彼女は恋をしているのだ。
しかし、九つも年齢が違う上にただの市民と王子、身分すら違う。
だが兄は彼と毎日のように話しているので、距離が縮まるチャンスは数えきれないほどある……
近いようで程遠い恋なのだ。
「次はいつ、ルイス様に話せるのかな……」
フローラはドアの前でうずくまりそうになった瞬間、反対側の重いドアが大きな音とともに開かれた。
「おーいフローラ!!!お前もこっちにこいよ!ルイスがフローラと話したいってさ!」
兄であるニコの声が城内に響き渡る。
近くにいるのに。
「……ほんと……?」
フローラの顔が輝いた。
と、同時に激しい緊張が押し寄せて、顔が赤くなってゆく。