春
春が嫌いだ
凛とした背筋が伸びるような
冬の寒さはもうなくて
あの眠くなる暖かさが
入学を
卒業を
出会いを
別れを
思い出させる
生物たちは眠りから覚めて
活動を始めるのに
わたしは?
わたしは
あの別れから一年
いまだに実感できていないよ
春はひたすら忙しくて
余計自分のことで精一杯
大事なこと
忘れたくなかったこと
忘れていたんだって
嫌でも気付かされる
ずっと寒ければ良い
寒くて凍えて
身体と口がうまく動かないのを
寒さのせいにしてしまえるから
怖くて震えているのを
誤魔化して隠せるから
わたしは本当に
何にもできないんだ