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第二回小説家になろうラジオ大賞 投稿作品

必殺技談義

作者: 衣谷強

なろうラジオ大賞2第七弾。今回のテーマは「必殺技」で書かせてもらいました。

初心に戻って甘々です。地の文なしの会話形式ですが、コントだと思って読んだら塩舐めたくなるかも知れません。ご注意ください。

なお台詞は男女交互で、先攻は男です。お読み間違えの無いようお気をつけください。

「なぁ」

「ん?」

「必殺技ってどう思うよ」

「何急に」

「いや、必殺技って、言う程必殺じゃないなって思って」

「あぁ、必ず殺すって意味じゃないって事?」

「そう」

「ま、確かにね。ちょっと強い攻撃位の意味になってるね」

「で、必ず殺すって言うとどんな技だろうって考えてみたんだけど」

「例えば?」

「首を刎ねる」

「まぁ大抵は死ぬけど、それ技かな? ヒーローがやったら子ども泣きそう」

「電撃はどうだろ」

「骨見えて髪爆発のパターン多くない?」

「氷結、とか」

「封印止まりで後々打開されるオチね」

「謎のエネルギー波」

「必殺じゃない必殺技の代表じゃん」

「難しいな」

「この話の着地点どこよ?」

「いや、殺し文句ってあるじゃん?」

「また話飛んだね。告白とかそう言う殺し文句?」

「そうそれ。そう言うのにも必殺とかあるのかなって」

「必ず落とせる言葉って事?」

「例えば、月が綺麗ですね、とか」

「漱石先生のあれね。悪くはないけど、知らない人はスルーじゃない?」

「僕は死にません!」

「いやあれ実際やったら高確率で死ぬよね。何なら異世界転生のオマケまで付くよね」

「俺の人生半分やるから、お前の人生全部くれ!」

「等価交換どうした」

「君が僕を一生幸せにする」

「他力本願の極み」

「毎朝僕の味噌汁を作ってくれてありがとう」

「母の日かな?」

「やっぱシンプルに『君が好き』とかが良いのか?」

「今までのに比べたら格段に」

「そっか」

「だからこの話の着地点どこよ?」

「良いじゃんか。飲み会の帰り道、ふらふらと意味のない話したってさ」

「ま、悪くは無いけどね」

「……なぁ」

「うん?」

「えっと、その……」

「……」

「……お、お前が好」

「何ここまで全部告白の前振り?」

「う」

「必殺技のくだりから全部?」

「……」

「あっはっはっは! らしくない話だなと思ったらそう言う事!? 面白ーい!」

「悪かったな……」

「茶化してごめーん! で、何て?」

「……お前が好きだ」

「おぉ、言った。やるじゃん」

「一緒に馬鹿な話できるのも、同い年なのに年上ぶって世話焼いてくるのも、辛くても笑って乗り越えようとするところも、全部、好きだ」

「……」

「なぁ、俺と付き合って」

「待って」

「……嫌なのか」

「漱石先生で、もっかい言って」

「は?」

「言って」

「……月が、綺麗ですね……」

「んふー。成程殺し文句だわ」

「何だよ。まだいじり足りないのかよ」

「知らないんだ。漱石先生への返し」

「返し? 何だそれ」

「『死んでも良いわ』」

読了ありがとうございました。

なお「死んでも良いわ」は「月が綺麗ですね」の返しとして有名ですが、前者は二葉亭四迷先生の、後者はご存知夏目漱石先生の、それぞれ別の愛の言葉の翻訳なので、特段セットという訳では無いんですよね。

ちょっと小説家っぽい事書いてみましたけど、ただただ言ってみたいし言われてみたい言葉を使ってみただけでした。

それではまた次回作でお会いしましょう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 『死んでも良いわ』を知らなかったので調べてみたのですが……彼が照れてぴゃあと鳴きそうですね。 むふー、と言ったとき、とても可愛い顔をしていそうなところ。 そして幸せそうな二人に私は砂糖…
[一言] 思わず顔がにやけてしまうような甘々と ラストの返しまでの綺麗な流れ、素敵でした。 実は私の作品も漱石先生にご登場いただいたのですが タイトルの選択次第で、幅もぐっと広がるなと 大変勉強になり…
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