第89話 亜空間へのいざない
『オオォォォォーン!!』
俺が氷結魔法を唱えると同時にダークライガーの咆哮が部屋中に響いた。
……。
するとどういうわけか唱えたはずの俺の氷結魔法が発動しない。
「ど、どうしたんですかぁ? ダークライガーさん凍ってませんけど……」
磯さんが不思議そうに俺を見上げるが俺にもなぜかわからない。
もう一度っ。
「スキル、氷結魔法ランク10っ」
『オオォォォォーン!!』
俺の声に合わせるようにダークライガーが咆哮を上げる。
すると、
……。
また魔法が発動しない。
「あ、あのぅ、もしかしてですけどダークライガーさんが何かやっているんじゃ……」
「もしかしなくてもそのようですね」
どういう原理かはわからないがダークライガーがほえると魔法がかき消されてしまうようだった。
「すいません磯さん。魔法攻撃ができない以上やっぱりあいつは俺が直接倒します」
「わ、わかりましたぁ」
俺は地面を蹴ると次の瞬間ダークライガーの目の前に姿を見せた。
漆黒なのでわからないがおそらく驚いているであろうダークライガーの顔面めがけて俺は右ストレートを――
『オオォォォォーン!!』
「っ!?」
打ち込もうとした矢先ダークライガーの口がアメーバのように突如として大きく伸び広がって、それに虚を突かれた俺はあろうことか丸ごと呑みこまれてしまったのだった。
「さ、佐倉さぁんっ!?」
☆ ☆ ☆
気付くとダークライガーに丸呑みにされたはずの俺は薄暗くとても広い空間にいた。
「なんだここは……?」
ダークライガーの腹の中にしては異様に広すぎる。それに何もない。
「まるでアニメで見た亜空間みたいだな……」
すると、
「佐倉さぁんっ!」
俺を呼ぶ声が聞こえた。
磯さんだ。
振り返り見ると磯さんが目を潤ませながら俺の名を叫んでいた。
「磯さんっ」
俺は空間の壁をドンドンと強く叩くが磯さんからは俺の姿が見えていないようで「佐倉さんっ! 佐倉さぁんっ!」と何度も俺の名前を呼び続けている。
そこで、
「スキル、火炎魔法ランク10っ」
俺は最大火力の巨大な炎の玉を壁に向かって撃ち込んでみた。
ドゴォォーン!!!
だが炎の玉は仄暗い壁に直撃するも吸収されるようにして消えていってしまう。
「マジかよ……だったらこれならどうだっ。スキル、電撃魔法ランク10っ!」
バリバリバリィィィ!!!
雷を超えた超電撃が壁にぶち当たる……がしかしこれもまた壁に吸い込まれていってしまった。
「おいおい嘘だろ……まさか俺、閉じ込められた……?」
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