第82話 簡単レベル上げ
俺は磯さんが用を足して戻ってくるのを大部屋で一人ただじっと待っていた。
「はぁ~、馬鹿か俺は……女性にあんなこと言わせるなんて」
「おトイレに行きたいんですぅ~っ!」と言った時の磯さんの恥ずかしそうな顔が今でも目に浮かんでくる。
空気を読めなかったことに反省しつつ俺は足元の赤いボタンを見下ろしていた。
どれくらいの時間だろう、なんとはなしにじーっとボタンをみつめていると、
「……これ、もしかしてもう一回押したらまたゾンビがうじゃうじゃ出てきたりするのかなぁ……」
ふと、
「だとしたらっ……!」
そこで俺はあることをひらめいた。
☆ ☆ ☆
『『『ガアアアァァァァ……!!』』』
「スキル、電撃魔法ランク10っ」
バリバリバリィィィーッ!!!
《佐倉真琴のレベルが108上がりました》
ポチッ。
『『『ガアアアァァァァ……!!』』』
「スキル、電撃魔法ランク10っ」
バリバリバリィィィーッ!!!
《佐倉真琴のレベルが107上がりました》
ポチッ。
『『『ガアアアァァァァ……!!』』』
「スキル、電撃魔法ランク10っ」
バリバリバリィィィーッ!!!
《佐倉真琴のレベルが104上がりました》
ポチッ。
『『『ガアアアァァァァ……!!』』』
「スキル、電撃魔法ランク10っ」
バリバリバリィィィーッ!!!
《佐倉真琴のレベルが103上がりました》
ポチッ。
『『『ガアアアァァァァ……!!』』』
「スキル、電撃魔法ランク10っ」
バリバリバリィィィーッ!!!
《佐倉真琴のレベルが101上がりました》
・
・
・
「よしよし、どんどん上がるぞ」
俺は磯さんがいないのをいいことにトラップボタンを利用してひたすらレベル上げに興じていた。
はたから見たら意味不明な行動だろうが俺は【レベルフリー】があるので魔物を倒せば倒すだけレベルが上がり続ける。
俺のレベルが99だと思っている磯さんの前では出来ない行動だ。
「でもそろそろ戻ってきちゃうかなぁ……」
女性のトイレがどの程度時間がかかるのかさっぱりわからないがそこそこ時間が経ったしこのへんでやめておこう。
そう考え通路を眺めてまだ磯さんの姿が見えないことを確認すると、
「どれだけレベルが上がったかステータスだけ見ておくか。ステータスオープン」
俺はステータスボードを目の前に表示させた。
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名前:佐倉真琴
レベル:24912
HP:155739/164829 MP:124571/133671
ちから:145754
みのまもり:128903
すばやさ:121440
スキル:経験値1000倍
:レベルフリー
:魔法耐性(強)
:魔法効果5倍
:火炎魔法ランク10
:氷結魔法ランク10
:電撃魔法ランク10
:飛翔魔法ランク6
:転移魔法ランク1
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「おお、上がってる上がってる。スキルのランクも上がってるぞ」
俺のレベルは2000以上も上がっていた。
磯さんさえいなければここで半永久的にレベルが上げられるというものだ。
「転移魔法か……面白そうだな、これもあとで試してみ――」
「レベル24912ってどういうことですかぁ?」
「うわあぁっ、磯さんっ!?」
振り向くと磯さんが俺の背後から顔を覗かせて俺のステータスボードを興味深そうにじろじろと眺めていた。
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