第76話 【物理攻撃無効化】と【魔法無効化】
「えっ!? 【物理攻撃無効化】と【魔法無効化】……!?」
「はい」
磯さんはにこにこ顔で返す。
「だからわたしには魔物さんの攻撃は一切効かないんです。えへへ~」
「そんなむちゃくちゃな……本当ですか?」
本当にそんなスキルがあるのか?
……だとしたら無敵じゃないか。
「本当ですよ。あ、そうだっ。だったら試しにわたしのこと思いっきり殴ってみてください」
俺が信じていないと思ったのだろう磯さんはとんでもないことを申し出た。
「いや、無理ですよ。殴れるわけないでしょう」
「わたしなら全然大丈夫ですからどうぞ殴ってください」
そう言うと磯さんはキスを待つかのように目を閉じて顔を俺の方に向ける。
「怖いので目はつぶってますからどうぞ思いっきり殴ってみてください」
「だから無理ですって。女性を殴れるわけないでしょうが」
「ん~」
「いやいや……」
「ん~」
磯さんは目を開こうとしない。
こうなったらデコピンくらいしてやろうか。そう思いかけるもいや、駄目だ駄目だと考え直す。
デコピンでもレベル22の女性相手では致命的なダメージを与えてしまいそうな気がする。
「あの、もうやめませんか。磯さんの言うこと全面的に信じるんで」
「んん~」
しかし磯さんは目をつぶりながらふるふると首を横に振る。
見た目のぽわ~んとした感じとは裏腹に意外と頑固な人だな。
「磯さん勘弁してください。マジで信じるんでもうやめましょう」
「……むぅ~。本当ですかぁ?」
「はい、本当です」
「なんか信じていないような気がしますけどぉ~……」
と磯さんは訝しげにじぃ~っと俺の顔を見上げてきた。
俺は磯さんの吸い込まれそうな無垢な瞳にみつめられて思わず視線をそらす。
「あっ、目をそらしましたねっ。やっぱり怪しいですぅ」
と俺を指差して糾弾する磯さん。
いやいや磯さん、それはいくらなんでも卑怯ですよ。
というか何回このラリーを繰り返すつもりなんですか。
「じゃあ、わたしのステータスボードを見れば信じてくれますよね?」
そう言った磯さんは「ステータスオープン」と口にすると表示された画面を俺に見るようにうながした。
俺は磯さんの大きな胸に目がいくのをぐっとこらえステータスボードを覗き見る。
「……げっ!? ほ、本当だっ」
「ほらほらっ。だから言ったじゃないですかぁ」
磯さんのステータスボードのスキルの欄にはたしかに【物理攻撃無効化】と【魔法無効化】の文字がはっきりと表示されていた。
『ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~』
という小説も書いているのでとりあえずブクマだけでもよろしくお願いいたしますm(__)m




