第43話 ホブゴブリンの群れ
赤い影のダンジョンの地下八階の通路で俺とマリアはホブゴブリンの群れを相手にしていた。
マリアは短剣を器用に操り続々と現れるホブゴブリンの首をはね飛ばしていく。
一方の俺はというと襲い来るホブゴブリンたちの頭部を素手で次々と殴りつけてはこれらを粉砕、消滅させていた。
だが――
「キリがありませんわねっ」
ホブゴブリンの群れはとどまることを知らず通路の向こうからわらわらと無尽蔵に湧いて出てきている。
そこで、
「マリア、ちょっと後ろに下がっててくれ」
俺はマリアを後ろに退かせると、
「スキル、火炎魔法ランク10っ」
ホブゴブリンたちに向け最大火力の火炎魔法を放った。
直後俺の手のひらから発射された通路目一杯の大きな炎の玉はホブゴブリンの群れを飲み込みながら通路の向こう端まで飛んでいく。
『ギャアァァァ……』
『ギャアァァァ……』
『ギャアァァァ……』
・
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通路を塞いでいたホブゴブリンたちは一瞬で灰と化しこの世から消滅した。
「さすが真琴様ですわっ。いつ見ても惚れ惚れいたしましてよっ」
《佐倉真琴のレベルが7上がりました》
機械音が頭の中で響く。
お、また上がったか。
俺はこのダンジョンに入ってからここまでですでにレベルが9上がっていた。
今ので合計16レベル上がったことになる。
「でもランク10の魔法をそんな何発も撃ってMPは大丈夫ですの?」
マリアが訊ねてくる。
「わたくしの最大MPは406ですが真琴様はおいくつなのです?」
「ん? 俺か? あ、あー俺もそれくらいだよ。うんそうだな、MPはなるべく節約しないとな。気をつけるよ」
マリアの言うように今の火炎魔法は今日四発目だ。
マリアは俺のレベルを99だと思い込んでいるから俺のMPのことを気にかけてくれたようだった。
火炎魔法ランク10の消費MPは100。
それに比べて現在の俺の最大MPは110309。
俺の最大MPからしたらたかだか100くらい微々たるものなのだがそれを知らないマリアに不審に思われないように魔法は当分の間控えておくことにしよう。
『ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~』
という小説も書いているのでとりあえずブクマだけでもよろしくお願いいたしますm(__)m




