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第3話 レベル10030

「え……真琴、お前今なんて言ったんだ? レベル10018って言ったのか?」


比呂さんが眉をひそめて訊き返してくる。


「はい。俺のレベルは――」

とそこまで言ったところでミノタウロスが完全に息絶えたのだろう、目の前から消失した。

すると、

《佐倉真琴のレベルが12上がりました》

機械音が頭の中に響く。


「あ、すいません。今レベルがまた上がったので今の俺のレベルは10030です」

「10030っ!?……な、なんだよそれ……ふざけてんのかっ!?」

馬鹿にされたとでも思ったのか声を荒らげる比呂さん。

「ぐあっ、いててててっ……!」


「とりあえずその傷、亜矢さんに治してもらった方がいいですよ」

「わ、わかってる、余計なお世話だっ」


口から血を吐くくらいだから一人では歩けないだろうと俺は手を差しだした。

だが比呂さんはその手を払いのけて亜矢さんたちのもとへと足を引きずりながらゆっくりと向かっていく。


まいったな……全然信じてもらえてない。

まあ、レベルの上限が99だということはプレイヤーなら誰もが知っている常識中の常識だからな。

レベル10030なんて頭がおかしいと思うか嘘をつかれたと思うかのどちらかだろう。


比呂さんの痛々しい後ろ姿をみつめながら思う。

だからレベルに関してはあまり話したくなかったのだ、と。



「スキル、回復魔法ランク4っ」

広い空間に亜矢さんの声が響いた。

と同時に青白い光が比呂さんの体を包み込む。

これで亜矢さんの回復魔法の効果によって無事比呂さんも元通り元気になるだろう。



さて、そうなると俺のお節介もここまでか。


「あ、あの……あ、ありがとうございましたっ」


気付くと比呂さんたちのチームメイトの女性が俺のそばまでやってきていて俺と目が合うなり頭を下げた。

たしかこの人は二人から結衣と呼ばれていたはずだ。


「結衣さんでしたっけ? 別に頭を下げる必要はないですよ。助けたのはたまたまというか気まぐれみたいなものですから」

口に出してちょっと感じ悪いかな、とも思ったがどうせもう会うことはないんだ、どう思われても構わない。


だが結衣さんはそんな俺の言葉に嫌な顔一つせず、

「あ、あなたがいなかったらわたしたちきっとここで全滅していました。だ、だから……ありがとうございましたっ」

さっきよりも深く頭を下げる。


「はあ……」

これまで生きてきて感謝されることは滅多になかったからこういう時どう対応したらいいかよくわからない。

俺は年上の女性が頭を下げている姿を前にしてただ小さくうんうんうなずくしか出来なかった。


とそこで回復が無事終わったのだろう、比呂さんと亜矢さんが近寄ってくる。

「おい、真琴っ。さっきの話の続きだっ……と言いたいとこだがな。まずは礼を言わせてくれ、ありがとうな」

「私からもありがとう。真琴くんがいなかったら比呂にぃは間違いなくあの魔物にやられていたわ」

「はあ……どうも」

こんなつまらない返事しかできない自分のコミュニケーション能力の低さが恨めしい。



「それと……こいつらの墓も作らないとな」

三人の遺体を見下ろしながら比呂さんがここまでに見せたことないようなとても悲しげな顔をした。


「そうだね……」

「う、うん……」

それだけ返すと亜矢さんも結衣さんも押し黙ってしまう。


仲間の死という現実を今にしてようやく実感しているのかもしれない。

『レベリング・マーダー ~一週間に一回人を殺さないと自分が死んでしまうのでそれならいっそ勧善懲悪したいと思います~』

という20万文字越えの小説もあります。

レベルアップで覚えた呪文を駆使しながら生き抜く主人公の話です。

よろしくお願いいたしますm(__)m

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[一言] いやまじ尚更なんで言うてん笑
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