第209話 生成魔法一回二十万円
「俺の生成魔法でですか?」
「そうなんだ」
戸叶さんが真剣な顔で俺をみつめ続ける。
「私たちはみんなレベル99なんだけどダンジョン攻略がだんだんしんどくなってきてね。ランクFのダンジョンでも十一人がかりでやっとクリアできるかどうかって感じなんだよ。だからとてもじゃないけどそれより上の高ランクダンジョンには手も足も出なくてね……でもこれ以上レベルは上がらないし、新しいスキルを覚えるのもエクストラゲインがないと無理だし、だからどうしようかってみんなで話し合っていたんだよ」
「はあ、そうでしたか」
話を聞く限りやはり普通のプレイヤーにはよほど恵まれたスキルや仲間がいないとランクF以上のダンジョンクリアはなかなか厳しいみたいだな。
「そんな時SNSのその投稿をみつけてね。これだ! って思ったんだよ。特殊な効果のある優れた武器や防具があれば私たちでももっと上のランクのダンジョンに挑めるんじゃないかってね」
「なるほど……」
たしかに森久保夫妻にあげた黒極の鎧のように魔法を一切受け付けないなどの特殊効果のついた武器や防具を装備していれば高ランクダンジョンにも挑戦できるかもしれないな。
「もちろんただでとは言わないよ。生成魔法一回につき十万円でどうだろうか?」
戸叶さんが俺の顔色を見ながら訊いてくる。
「十万円ですかっ?」
「安いかな? だったら二十万円ではどうだろう? 私たちせっかくレベル99になったのに挑戦できるダンジョンが少なくてほとほと困っているんだよ」
「は、はあ……」
俺は別に十万円を安いと思ってリアクションしたわけではないのだが十万円から二十万円へと勝手に値がつり上がった。
「中にはSSTに入るって言って二人ほど抜けたメンバーもいるんだけどね、やっぱり私たちはダンジョン探索が好きなんだっ。この上なく好きなんだよっ」
「そうなんですか」
身振り手振りを交えてダンジョンへの想いを熱く語る戸叶さん。
六十近いだろうにそのバイタリティには感心させられる。
「だから佐倉くん、きみに是非私たち専用の武具を作ってもらいたいんだ。頼むよ、この通りだっ」
言うと戸叶さんは頭を深々と下げた。
そしてそれにならって後ろにいた十人のプレイヤーたちも俺に向かって頭を下げる。
「まあ、別にいいですよ。生成魔法を使うくらいなら」
「ほ、本当かいっ!? ありがとう佐倉くんっ。本当にありがとうっ」
俺の手をとって何度もお辞儀をする戸叶さん。
そして戸叶さんに続いて、
「佐倉さん、ありがとうございますっ」
「やったっ!」
「佐倉くんありがとうっ」
「よっしゃー! これでまだまだやれるぜっ。サンキュー佐倉くんっ!」
後ろのプレイヤーたちも感謝の言葉を口にした。
「あのでも、戸叶さん。生成魔法は素材になるアイテムがないと使えませんよ。あいにく俺は素材になるアイテムは一つも持っていませんから……」
「あ、それなら大丈夫だよ佐倉くん」
すると戸叶さんを含めた十一人のプレイヤーの人たちはみなそれぞれ持っていたバッグやカバンに手を入れるとその中から様々なアイテムを取り出してみせる。
「ほらっ、私たち素材アイテムなら沢山持っているからねっ」
「おわっ、すごい。みなさん準備がいいですね」
「素材アイテムは買い取り価格が安いからね。みんな売らずに持っていたんだよ」
「そうだったんですか」
「それがまさかこんな風に役に立つなんて……佐倉くん、本当にありがとうね」
戸叶さんは目を細めて俺に微笑みかけてきた。
「いえいえ、気にしないでください」
このあと数えてみると、戸叶さんたちは十一人で合計二十個もの素材アイテムを持っていたのだった。
『Sランクパーティーを追放された鍛冶職人、世界最強へと至る ~暇になったおっさんは気晴らしに作ったチート武器で無双する~』
という小説も書いているのでせめてブクマだけでもよろしくお願いいたしますm(__)m




