第188話 易しい庭のダンジョン
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名前:佐倉真琴
レベル:1
HP:11/11 MP:0/0
ちから:8
みのまもり:6
すばやさ:4
スキル:経験値1000倍
:レベルフリー
:必要経験値1/1750
:魔法耐性(強)
:魔法効果10倍
:状態異常自然回復
:火炎魔法ランク10
:氷結魔法ランク10
:電撃魔法ランク10
:飛翔魔法ランク10
:転移魔法ランク10
:識別魔法ランク10
:レベル消費
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「我ながら情けないパラメータだなぁ……」
俺は青森県むつ市の映画館の横にあるランクZのダンジョン、通称易しい庭のダンジョンの出入り口に立っていた。
ここは最低ランクのダンジョンなのでスライムしか出てこない。
レベル1の俺にはもってこいのダンジョンなのだ。
「ステータスクローズ」
目の前に表示されていたステータスボードを閉じる。
『キュイイィィ~』
俺の右肩に乗りながら甘えるように俺の顔に体を寄せてくるキューン。
家に置いてこようかとも思ったがキューンは意地でも俺から離れようとしないため仕方なく連れてきた。
ちなみに父さんと義母さんにはキューンを家で飼うことを承諾してもらえている。
魔物を家で飼うなんて絶対嫌がると思っていたからこれに関してはありがたいというほかない。
「おい、キューン。ダンジョンに入っても勝手に飛び回ったりどっか行ったりしないでくれよ」
『キュイイィィー』
わかっているのかいないのかキューンは翼をぱたぱたとはためかせて俺の肩の上で宙がえりしてみせた。
「じゃあ行くぞ」
『キュイイィィ』
こうして俺はキューンを肩に乗せて易しい庭のダンジョンに足を踏み入れたのだった。
☆ ☆ ☆
易しい庭のダンジョン地下一階。
レベル1である以上俺は慎重にダンジョン内を進んでいく。
前のダンジョン探索で沢山の薬草と魔草を手に入れていたので多少傷付いても問題はないがそれでもやはり慎重であることに越したことはない。
俺はキューンとともに一本道の長い通路を歩いていた。
すると前から一匹のスライムがぴょんぴょんと跳びながら近付いてくる。
『フィキー!』
青い体のぷるんぷるんした小さな魔物であり全魔物の中で最も弱いスライムが俺の姿を見て鳴き声を上げた。
体を小刻みに振るわせて威嚇してくる。
「キューンは手を出すなよ」
『キュイイィィ』
キューンが返事をした時だった。
スライムがぴょ~んと跳ねて俺に体当たりしてきた。
「いてっ!」
ぷるんぷるんした体のくせになかなかの威力だ。
武器も防具も何も装備していない俺はまともにスライムの攻撃を受けてしまう。
『キュイイィィ?』
「大丈夫だ。スライムごときに負けてたまるかっ」
心配そうにみつめるキューンをよそに俺はスライムを蹴り上げた。
ぽーんと宙に浮くスライムだったがスライムは上手く着地すると効いてないぞと言わんばかりに体を揺らす。
「くそ……たかがスライム相手に何をしているんだ俺は」
一桁台に戻ってしまったパラメータが恨めしい。
するとそこへ、
『フィキー!』
『フィキー!』
『フィキー!』
向こう側からスライムが新たに三匹やってきた。
「なっ!? マ、マジかよっ」
合計四匹となったスライムたちが俺をまん丸い目で見上げている。
「くっ……仕方ない。ここは一時退却だっ」
俺は悔しい気持ちをぐっとこらえスライムたちに背中を向けると一目散に逃げだしたのだった。
『ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~』
という小説も書いているのでとりあえずブクマだけでもよろしくお願いいたしますm(__)m




