第175話 硬い畝のダンジョン地下十八階
硬い畝のダンジョン地下十八階の大部屋にて。
俺は手を前に差し出し、
「スキル、電撃魔法ランク10っ」
と唱えた。
バリバリバリィィィーッ!!!
『『『グアアァッ……!』』』
『『『グオアアァァーッ……!』』』
オーガの上位種であるハイオーガとエンペラードラゴンの大群を超電撃が襲う。
ぷすぷすと焦げたにおいを部屋に充満させつつ次々と消滅していく魔物たち。
《佐倉真琴のレベルが1816上がりました》
「真琴さん、これハイオーガのドロップアイテムですっ」
「おお、サンキュー」
俺は高野から金属製のこん棒のようなものを受け取った。
「スキル、識別魔法ランク10っ」
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堕落の痛恨棒――呪われた武器。これを装備している間はちからが大幅に上がるが相手のHPを必ず1残してしまい絶対に相手を倒すことが出来なくなる。
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識別魔法で確認したところ呪われた武器だということなので俺は一も二もなく不思議な袋の中に突っ込んだ。
う~ん、それにしても……。
ここまでで手に入れたアイテムは隠し部屋とドロップアイテムを抜きにするとラストポーションと夕闇の小太刀とヒーリングシードだけ。
未踏破ダンジョンを十八階も探索しているのにみつけたアイテムはたったの三つ。
……さすがにあり得ない、と思う。
「アイテムなかなかみつかりませんね、真琴さん」
「ああ。やっぱり伊集院の奴が俺たちよりも先にみつけて拾ってるのかなぁ」
このダンジョンには伊集院も潜っているはずだから一足違いで全部伊集院に持っていかれているのかもしれない。
「伊集院さんって地下二階で会った背の低い男の人ですか?」
「ん、ああ」
「あの人どこかしら寂しそうでしたよね~」
「そうか?」
俺にはそんな風には感じなかったが。
むしろ高校を辞めてプレイヤーになって生き生きとしている感じだったと思うがな。
「今度会ったら一緒に行動してみたらどうですか?」
「伊集院と? 俺が? ないない。高野はあいつのこと知らないからそう言うことが言えるんだ。あいつには構わない方がいいんだよ、多分な」
いくらいじめられていたとはいえその相手の手足を表情一つ変えずに簡単に折ってしまえる危ない奴なんだ。
俺一人の時ならともかく高野が一緒の今あいつとは関わらないに越したことはないだろう。
「さてと、このフロアにももう用はないし下に行くか」
「はーい」
俺たちは部屋の隅にあった階段を下りて地下十九階へと進むのだった。
『ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~』
という小説も書いているのでとりあえずブクマだけでもよろしくお願いいたしますm(__)m