第173話 宝箱
《佐倉真琴のレベルが61上がりました》
宝箱に扮したキラーボックスを倒したことで俺のレベルがまたも上がる。
「あっ、真琴さん見てくださいっ」
と高野が俺を見た。
「さっきのキラーボックスがアイテムをドロップしていきましたよっ」
「お、本当だっ」
キラーボックスは倒すと必ずアイテムをドロップするという性質があるらしく地面に見たことのないコインを残していった。
泥水が浸水しているので俺はそのコインを水の中からばしゃっと拾い上げる。
ちなみに俺と高野の服の膝下部分は泥水でだいぶ汚れてしまっていた。
あとで着替えるなり乾かすなりする必要がありそうだ。
「スキル、識別魔法ランク10っ」
俺は手にした金色のコインに識別魔法をかけた。
すると、
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レアメダル――ただの金貨。特別な効果などは特にない。
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目の前にアイテム名とその説明文が表示される。
「なぁんだ。高野、これただの金貨みたいだぞ」
「金貨ですか。売ったらいくらくらいするんでしょうかね」
「さあな。十万円くらいじゃないか……勘だけど」
金の値段など俺にはまるでわからない。
自慢じゃないが俺は高校中退なんだからな。
俺はとりあえずレアメダルとやらを不思議な袋の中にしまうとほかの三つの宝箱に目を向けた。
「また高野が試してみるか?」
「もういいですよ。どうせわたしには開けられないですもん。ほかの三つも真琴さんが開けちゃってください」
高野が投げ槍に言う。
「そうか」
俺は高野に言われるまま残りの三つの宝箱を順にこじ開けていった。
☆ ☆ ☆
一つ目の宝箱。
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サウザンドドラゴンのうろこ――生成魔法で武器や防具を作る際の素材として用いられる。非常に硬く、炎に強い耐性がある。
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二つ目の宝箱。
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フレックスチョコレート――摂取すると一定時間体がゴムのようになり物理攻撃を受け付けなくなる。
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三つ目の宝箱。
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悪魔の砂時計――呪われたアイテム。この砂時計をひっくり返して一時間放置しておくと使用者のレベルが1に戻る。
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☆ ☆ ☆
「特にめぼしいものはなかったな」
「ですね~。せっかく隠し通路をみつけて探し当てたアイテムの割にはたいしたことなかったですね」
残念そうな顔をする高野。
俺たちは隠し部屋を出てもとの細長い通路まで戻ってきていた。
「服も泥水で汚れたしな」
「そうですよ。靴下までびしょびしょですからねっ」
と高野は足踏みをしてみせる。
そのたびに高野の靴からは水がぱしゃぱしゃと出てくる。
「じゃあ全部売るってことでいいか?」
「オッケーです」
俺は三つのアイテムをすべて不思議な袋の中にしまうと高野とともにフロアの探索を再開した。
『ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~』
という小説も書いているのでとりあえずブクマだけでもよろしくお願いいたしますm(__)m




