第166話 氷結魔法の使い道
「高野はそこにいろよっ」
「はーいっ」
俺は大部屋に高野を残して一人マジカル大王スライムを追う。
マジカル大王スライムは俺の姿を確認するとびゅんと逃げ出した。
俺が通路までたどり着くとマジカル大王スライムの逃げた方向から通路の幅いっぱいの大きな炎の玉がこっちに向かって飛んできている。
おそらくマジカル大王スライムが口から放出したであろうランク10程度の火炎魔法だった。
「うおっ!?」
ゴオォォーッと燃え盛りながら迫ってくる炎の玉に飲み込まれるも【魔法耐性(強)】のおかげでダメージはほとんどない。
ただ服は焦げた。
「このや――」
『フィギー!!!』
マジカル大王スライムは火炎魔法を連発して放ってくる。
「邪魔くさいなっ」
俺は走りながら連続して襲ってくる炎の玉を手ではじいて進んでいった。
『フィギーッ!??』
それを見たマジカル大王スライムはぼよんと体を揺らすとその場で方向転換、またも俺から距離を取って逃げ去ろうとする。
だが、
「逃がすかっ」
俺は一足早くマジカル大王スライムに追いつくとボゴンッと背中を殴り飛ばした。
ピンボールのように壁にぶつかりながら跳ねるマジカル大王スライム。
手ごたえあり。
俺は勝利を確信した。
だがしかし、
『フィギー!!!』
マジカル大王スライムは体勢を整えると俺に向かって火炎魔法を一発放ってから再度逃げ出すのだった。
俺は襲い来る炎の玉を手ではじきつつ、
「おいおい……マジかよ」
声をもらす。
全力で殴ったわけではないがそれでも俺のパンチを受けて倒れない魔物を見たのは初めてだった。
「ははっ……面白いじゃないか」
俺はより一層マジカル大王スライム退治に熱が入るのを感じていた。
☆ ☆ ☆
どこだ……?
マジカル大王スライムはどこにいる?
俺は硬い畝のダンジョン地下八階フロアを逃げたマジカル大王スライムを探して走り続けていた。
「あんなでかい体だからな。すぐ見つかると思ったんだけどな……」
ほかの魔物を返り討ちにしつつ五分ほど走り回ったのち俺は作戦を変えることにした。
辺りを確認してから、
「スキル、氷結魔法ランク10っ」
「スキル、氷結魔法ランク10っ」
通路を巨大な氷の塊で塞ぐ。
「スキル、氷結魔法ランク10っ……よし、これでもうここは通れないはずだ」
マジカル大王スライムの通り道を狭めていく。
「待ってろよ、絶対に倒してやるからな」
多くの獲得経験値が期待できる相手を打ちのめす瞬間を思い描きながら俺は自然と笑みを浮かべていた。
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