第151話 気配
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ラストポーション
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夕闇の小太刀
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硬い畝のダンジョン地下一階を歩き回りラストポーションと夕闇の小太刀という二つのアイテムをゲットした俺は使い道もわからないまま不思議な袋の中にしまうと地下二階へと下りる。
☆ ☆ ☆
硬い畝のダンジョン地下二階。
パラライズバタフライとともに姿を見せた大きな角を頭に生やしたシロクマのような魔物の一角獣を一撃で地面に沈めるとパラライズバタフライに火炎魔法を放って燃やし尽くした。
《佐倉真琴のレベルが23上がりました》
レベルアップを告げる機械音を聞き流しつつ、
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一角獣のホルン
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一角獣のドロップアイテムである一角獣のホルンを拾い上げる。
「うーん、やっぱり識別魔法がほしいな」
用途の分からない一角獣のホルン片手につぶやくと俺はそれを不思議な袋の中にしまった。
そしてアイテム回収のためフロアを練り歩くのだった。
☆ ☆ ☆
「……」
「……」
「……」
?
さっきからなんとなくだが後方よりぼそぼそっと人の話し声が聞こえてきている気がする。
そう考えると人の気配もどこかしらするようなしないような……。
だが後ろを振り向いても誰一人としていない。
魔物の影すらない。
なんだ……?
奇妙な感覚に陥りながらも俺は歩を進めていた。
☆ ☆ ☆
しばらく進むと通路の向こう側から髪が蛇で出来た人型の魔物、メドューサが近付いてきた。
詳しくは知らないがメドューサは目を合わせると石になるという伝説上の生き物だといううろ覚えの知識はあったので俺は念のためメドューサの顔を見ないように努めて火炎魔法を放つ。
ゴオォォーッと通路を埋め尽くして突き進んでいく巨大な炎の塊にメドューサが飲み込まれた。
『ギィヤアァーッ……!』
これぞ断末魔の叫びと思わせる悲鳴を上げながら燃え尽きていくメドューサ。
《佐倉真琴のレベルが11上がりました》
ほっとして「ふぅ~」と一息つくと、
「……すっげ……」
「馬鹿、声出すなっ……」
「……ちょっ……」
今度は明らかに話し声が聞こえた。
「っ! おーい、誰かいるのかっ!」
俺は辺りを見回す。
……しかしやはり誰もいないし返事もない。
気配はなんとなく感じるのだが……。
くそっ、なんなんだ一体……?
俺が多少いら立ち始めていたその時だった。俺の肩を背後からとんとんと叩く者がいた。
俺は「なんだよっ」とにらみつけるつもりで後ろを振り返りみた。
するとそこには、
『フシュー……』
赤い瞳をきらりと光らせたメドューサが立っていた。
「ヤバっ……!?」
と目をそらしたが時すでに遅く俺の体はつま先からだんだんと石化していく。
「このヤロっ!」
俺はまだ自由が利くうちにメドューサの顔面を殴りつけ一撃で粉砕すると前のダンジョン探索で綾子さんに貰っていた万能薬を取り出そうと不思議な袋の中に手を突っ込んだ。
だがしかし――
「ぅげっ、嘘だろっ……!?」
……両腕が重い。
……思うように腕が……動かせない。
「……マジ、かよっ……」
……だ、駄目だ……固ま……る……。
――不思議な袋の中に手を突っ込んだ状態のまま俺の全身は石と化してしまったのだった。
『ダンジョン・ニート・ダンジョン ~ダンジョン攻略でお金が稼げるようになったニートは有り余る時間でダンジョンに潜る~』
という小説も書いているのでとりあえずブクマだけでもよろしくお願いいたしますm(__)m