第140話 時任士郎VS栗田信二
「どうだ、余裕で勝ったぜっ」
リングを下りた海道がドヤ顔で俺とマリアのもとに戻ってくる。
「怪我してるくせによく言いますわ」
「平気か? 海道。マリアに治してもらうか?」
「こんな傷たいした事ねぇって。それよりもう次の試合が始まるぜっ」
海道がリングを振り返って言った。
俺もマリアもリング上に視線を向ける。
そこには二人の男性の姿があった。
一人は四十歳前後の侍のような恰好をした男性でもう一人の男性は二十歳くらいの戦国武将のような恰好をしている。
「さあ、これより第二試合を始めたいと思います! 時任選手、栗田選手、準備はよろしいですねっ?」
「無論だ」
「構いません」
時任さんと栗田さんの返事を受けて、
「それではまいりましょう! 第二試合、始めっ!」
川尻さんが声を上げた。
その瞬間時任さんが駆け出し、
「はっ!」
高速で抜刀する。
だが、
キィィーン!
栗田さんは時任さんの動きに即座に反応しなぎなたのような長い刀でこれを防いだ。
キィン!
キィン!
キィン!
両者刀で牽制し合うが徐々に栗田さんがペースを掴んで時任さんを圧していく。
すると刀の勝負は分が悪いと思ったのか時任さんが刀を投げ捨てた。
そして、
「スキル、結界魔法ランク8っ」
自身の周りにピンク色の結界を張った。
「このっ」
栗田さんが刀を振るう。
だが結界がバリアの役目をはたして攻撃を通さない。
「くっ……」
それどころか結界はどんどん円状に広がっていきリングを埋め尽くしていく。
それによって栗田さんは結界に押し込まれてあとがなくなってしまった。
「悪いが場外に出させてもらうぞ」
時任さんが勝利を確信し笑みを浮かべる。
一方、絶体絶命の栗田さんだがこちらもにやりと笑った。
そして栗田さんも魔法を唱える。
「スキル、複写魔法ランク10っ!」
その途端栗田さんの周囲にピンク色の結界が出現した。
「な、なにっ!?」
驚く時任さんの結界を栗田さんの結界がぐぐぐっと押し込んでいく。
「なぜわたしと同じ魔法をっ!? し、しかもわたしより力が強いっ……」
「おれの複写魔法は直前に見たスキルや魔法をコピーすることが出来るんだっ。それもランク10の威力でなっ」
「な、なんだとっ……!」
同じ結界魔法だがランクにより威力の違いが歴然とあらわれたことにより時任さんは自身の持つ結界魔法であえなく場外に押し出されてしまった。
「場外ですっ! 勝者、栗田選手っ!」
「くっ……不覚っ」
時任さんが悔しがる中、
「よし、まず一勝だ」
栗田さんが準決勝進出を決めたのだった。
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