第133話 予選開始
「さあ、あちらに用意した大型のパンチングマシーン。皆さんには一人一回パンチングマシーンを殴るなり蹴るなり好きなように思いきり攻撃してもらってその出た数値の高い方、上位八名を本選出場者としたいと思います!」
司会進行役の川尻さんがマイクを通して俺たちに語りかけてくる。
「なお、今回用意したパンチングマシーンはレベル99のプレイヤーのちからを基準に作った特注品ですのでちょっとやそっとの攻撃では壊れることはありませんからご安心ください!」
それを聞いて、
「レベル99を基準だって!?」
「まだ99いってない奴はどうするんだよっ?」
「え~、そもそもわたし魔法タイプなのに~っ!」
「パワータイプが圧倒的に有利じゃないかっ」
集まっていたプレイヤーたちが騒ぎ出した。
ブーブーとヤジを飛ばす。
「えー、申し訳ありませんが我々といたしましてもですね、今回が初の試みですので至らぬ点はなにとぞご容赦ください! 今後は不平不満が出ないように改善していく所存ですので!」
川尻さんはひたいに汗して続ける。
「それから事前にお伝えしていた通り武器や魔法、スキルなどは自由に使っていただいて構いません! ですので――」
「じゃあパンチングマシーンに魔法で攻撃してもいいのかっ?」
「もちろんです! ご自由に攻撃してください!」
「でもなぁ、やっぱりパワータイプ――」
すると、
「ごちゃごちゃうるせぇなっ!!」
俺の隣にいた海道がプレイヤーを大声で制した。
俺はその声でちょっとだけびくっとなる。
「文句があるなら出なけりゃいいだろっ! 時間の無駄だ、自信のねぇ奴はさっさと帰れっ!!」
海道の怒号が響き渡り辺りは瞬時に静まり返った。
はぁ~……相変わらず空気を読まずに言いたいことを言う奴だな。
だが核心を突かれたのかその海道の一言で声を上げていたプレイヤーたちはお互いに顔を見合わせるとうつむき加減でぞろぞろと帰り始めてしまった。
「おい海道。お前のせいでどんどん人がいなくなっていくぞ」
「はっ、人数が減ってちょうどいいじゃねぇか。予選が早く終わるぜ」
悪びれた様子など一切なくそれどころかむしろ海道は褒めてくれと言わんばかりにどや顔を決め込む。
結局全体の四分の三くらいが予選を放棄して帰ってしまい残ったのは四十人ほど。
「え、えー、では今から予選を始めたいと思います! 皆さんパンチングマシーンの前に一列に並んでください!」
川尻さんがアナウンスした。
「佐倉、おれたちが一番だっ」
海道がパンチングマシーンを指差し駆け出す。
「はいはい」
俺も仕方なく海道に倣った。
「ちなみにですが我々の用意したレベル99のプレイヤーは105点でしたのでそのあたりが合否の基準になるかもしれません!」
と川尻さん。
それを耳にした海道は俄然やる気をみなぎらせる。
「おっしゃ、じゃあおれはそいつのトリプルスコア叩き出してやるぜっ」
腕をぐるぐると回しながらパンチングマシーンに近付いていく。
「佐倉、おれからいくぜ」
「好きにしろよ」
「見てろよっ」
そう言うと海道は持っていた大きな剣を地面に突き刺して「ふぅ」と軽く息を吐いた。
そして鋭い目つきでパンチングマシーンをにらみつけながら、
「スキル、ちから3倍化っ!」
海道は声を張り上げるのだった。
お読みいただいて誠にありがとうございます。
感想、ブクマ、評価などもとても嬉しいです。
これからもよろしくお願いいたしますm(__)m




