第128話 入矢高校
青森県立入矢高等学校――神代や海道たちが通う高校だ。
俺は自宅から飛翔魔法で最寄りの公園まで移動してから徒歩で入矢高校へと向かっていた。
本当は高校まで直接飛んでいきたいところだったが時刻はまだ正午過ぎ。人目につく行動は極力控えた方がいいと判断して今に至っている。
☆ ☆ ☆
十分ほど歩いたのち高校にたどり着くと校門前には女子生徒たちの人だかりが出来ていた。
……なんだろう?
女子生徒たちを横目で見つつ回り込もうとした矢先、
「佐倉さんっ」
どこかから神代の声が聞こえた。
「神代……?」
「こっちです佐倉さん。わざわざ来ていただいてありがとうございます」
女子生徒たちの輪の中から神代が颯爽と姿を見せる。
どうやら神代目当ての女子生徒たちが神代の周りを取り囲んでいたようだった。
「あの人誰?」
「さあ? でも割とイケてない?」
「わたしは神代様の方が全然いいけど~」
「私知ってるっ。プロのプレイヤーの人だよ」
女子生徒たちの無遠慮な視線を浴びながら俺は神代に近付いていく。
「で、これからどうするんだ?」
「僕の家にご案内します」
神代がそう口にした瞬間それを聞いていた女子生徒たちがきゃあきゃあと色めき立った。
「神代さんの家だって!」
「うらやまし~っ」
「あの人、男の人だよねっ。女の人じゃないよねっ?」
耳に入ってくる声を無視して俺は神代に訊ねる。
「お前の家? 何企んでるんだ」
「ふふっ、企むだなんて人聞きの悪い……僕の家はすぐそこですからとりあえず僕についてきてください。あとは道道説明しますから」
そう言うと俺を置いて神代は歩き出した。
「はいはい、わかったよ」
俺は周りにいた女子生徒たちの好奇の目から逃れるように神代のあとを追うのだった。
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