第127話 昼、神代からの電話
その後神代は言っていた通り昼頃に電話を掛け直してきた。
『先ほどは突然電話を切ったりして本当にすみませんでした』
「それはもういいけどさ、それよりお前今一人か?」
『はい。誰にも聞かれていませんので安心してください』
穏やかな声で神代が答える。
「でその格闘大会ってやつ、これは全然自慢とかじゃなくて俺が出たら圧勝しちゃうと思うんだけど……」
『ええ、そうでしょうね』
「わかってたならなんで海道を止めなかったんだよ。圧勝なんかしたら国に目をつけられるだろ、国主催の大会なんだから絶対お偉いさんたちが見てるだろうが」
『国主催だからこそそれを逆手に取ればいいんですよ』
と神代。
「どういうことだよ」
『いいですか? 佐倉さんはソロで五千万円を稼いでいる現時点でもうすでに政府に知られる存在となっているはずです』
「え、マジで……?」
『はい。ですからここはあえて格闘大会に出場して佐倉さんも一般のプレイヤーとそう変わりないのだということをアピールすべきだと思います』
神代は簡単に言うが、
「手加減したらバレるんじゃないか? 俺、はっきり言って人差し指一本だけでも勝つ自信あるぞ」
手加減がバレたら元も子もない。
『そこは問題ないです。佐倉さんにとって非常にラッキーなことにこの格闘大会は武器、防具、アイテム、魔法、スキルなんでもありの大会ですから』
「それのどこがラッキーなんだ?」
『ふふっ……佐倉さん今日はこのあとお暇ですか?』
電話の向こうで含み笑いを浮かべたのだろう、少し笑い声が聞こえたあと神代は話を逸らした。
「暇だよ。お前たちと違ってな」
『それはちょうどよかったです。今日は短縮授業で僕ももう家に帰るところだったので』
「短縮授業?」
初めて聞く言葉だ。
『すみませんが佐倉さん、今から出てこられますか?』
「どこに?」
『今僕がいる場所にです』
相変わらずもったいぶった喋り方だな。
「だからどこだよ? 行ってやるから場所を言え」
『入矢高校です』
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