□出来る事と出来ない事の考察
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□出来る事と出来ない事の考察
何なら出来るだろうか。無謀とは、具体的に何がネックなのだろうか。それを一時的にでも解決ないし回避できる手段はないか。
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エルフは人族の街に入れるらしい。ギルドカードも持っていた。従魔契約とやらをして、ヒイラギの配下になってみれば、ヒイラギのギルドカードから、なんとスライムD君のパラメーターが見れるではないか!
スライム種:No name レベル16/max45
▽パラメーター(簡易)
最大生命力:24
最大魔力:28
攻撃力:15
守備力:15
魔攻力:17
精神力:42
敏捷性:16
▽スキル(詳細)
☆passiveスキル
・反骨心[rank.B-]
精神力のパラメータを大きく底上げし、敗北者や屈辱への抵抗意思を増大する。
・幻覚耐性[rank.C]
精神力のパラメータを底上げし、幻覚攻撃への耐性を大きく強化する。
・雷耐性[rank.D+]
精神力のパラメータを底上げし、雷攻撃への耐性を大きく強化する。
・火炎耐性[rank.E-]
精神力のパラメータを底上げし、火炎攻撃への耐性を大きく強化する。
☆activeスキル
・斬擊見切り[rank.D]
スキルによる尋常ならざる斬擊を見切り、回避を補助する能力。
・幻覚の霧[rank.E-]
幻覚を見せる霧を吐き出す。最大魔力に依存して、rankが上がる。
・雷の槍[rank.D]
雷の魔法攻撃を放つ。その一撃は槍の突きのように、重く鋭い。
・森ノ神徒の祈り[rank.C]
エルフ族専用の回復魔法。回復量は精神力依存。
……うん、やっぱ中々の精神力だわ。低級モンスターが相手なら、もう魔法系スキルの攻撃は恐くないかもだ。低級ならな。魔法系スキルならな。目の前のエルフに今ボコスカ殴られたら普通に死ぬけど。ぶるっ。スライムは身震いした。死の恐怖を思い出したのだ。
あの赤いスケイルメイルの戦士に、リセル様は勝てただろうか。心配だ。あの方はこの森の天皇様みたいな方だからな。もしもお隠れにでもなられたら、寂しいなんてもんじゃあ済まされない。並みの戦士なら相手にもならんだろうが、あの戦士は、魔剣の存在が異質だった。嫌だな。
何か、もっと強くなる手立てはないか。
そうだ。せっかく冒険者の従魔になったんだ、冒険を手伝って、レベルを上げさせてもらうとしようじゃないか。当然危険だが、エルフの魔法はそれを覆せる強さだ。
しかし、そんなエルフ達をあれほど追い詰めた存在が気にかかる。話を聞いてみるか。最近手に入ったの回復魔法とか色々、彼らの役に立つかもだ。
「え、まじで?スラさん手伝ってくれんの。マリエル、シエルどうする」
「異論ないですヒイラギ様、rankCの回復魔法が使えるならばヒーラーとしては即戦力になります」
「待てマリエル、攻撃はしなければ関係ないとして、耐久系が紙だぞ。スライムじゃ死んじゃうって」
「ぴゆ?(だめ?)」
スライムは目をうるうるさせてシエルを見つめる。
「ばっ……だっ誰がスライムに魅了されんだよ!このおバカ!あたいは、あー、スライム!お前の事を心配して言ってやってんだぞ!」
名前ないと呼びづらそう。
「シエル、名前がないと呼びづらいですね。まずはスライムさんに名前をつけましょうか」
ナイスマリエル。
「では、【青マル】とかどうだろう」
「ヒイラギ様、それちょっと渋いかっこよさがありますね。シエルは何かありますか」
「【スラさん】でよくねーか?あんまり凝ると痛々しくなると思うぞ」
スライム的にはどっちも却下かな。
「ぴゆー……」
「では【わかば】さんなんてどうでしょう。ほら、青いですし」
「ごめんマリエル。俺の前いた世界になんかそんな名前の……葉巻みてえなのがあったから、却下で」
前いた世界?
「ぴゆゆー?」
「あ、スラさん。俺、実はニホンっていう……遠い土地から来たんだ。普通にエルフとして生まれ育ち、もう124歳になるが、この人生とは別に、ニホンで生まれ育った記憶があるんだよ。30歳くらいの時に思い出してな」
ほほう。「ぴゆ」
「そこで覚えた事をイメージすると、魔法が凄く上手く使えるんだ。尋常じゃないくらいに」
その力、スライムも欲しい。「ぴゆゆ」
「お前はスライムにしては沢山のスキルを持っていた。まさかお前も、この文字が読めたりしないだろうな?」
…………。
なっとう、おしょうゆ、しろいごはん、げるにか。
何これ、どういう意味?「ぴゆ?」
「だよなあ、読めないよな。そうそう居るわけ……ッツ!?」
「ヒイラギ様、大丈夫ですか!【また、頭が痛い】のですか!!」
「大丈夫かよヒイラギ様!【あたいはここにいる!いるからな!!】」
頭が痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
なんじゃこりゃ。ぐはっ……
スライムとエルフの少年は倒れ伏す。
警告。スライム種:No oameは忌避に触れました。
警告。ハイエルフ種:柊 レツは忌避に触れました。
忌避に該当する記憶を抹消します。
警告、あなた方は忌避に触れました。
一部の記憶woマッショu
passiveスキルrank up:反骨心[rank.EX]
passiveスキル発動:反骨心[rank.EX]
精神力のパラメータを大きく底上げし、敗北者や屈辱への抵抗意思を増大する。
邪なる者よ。魔なる者よ。復讐を望む小さき者よ。
我が手を取れ。力を与えよう。我が眷属になれ。
名もなきスライムよ。
「ぴゆ」力。
「ぴゆゆ」下さい。
「ぴゆー」許さない。
「ぴゆゆー!」あの戦士を絶対に倒す!
介入スキル【天の声】レジスト完了。以後、邪魔な天界のクソどもに代わり、私めが貴方のサポートを致します。エルダーヴァンパイア種ノワールです。いつか我が主の御城でお会い致しましょう。
赤いスケイルメイルに魔剣の戦士、個体名〈勇者レクス〉の討伐に、どうかご助力させて頂きたく存じます。
「ぴゆ……ぴゆゆー?」俺は邪魔されていたのか?
はい。
「おい、マリエル!スライムもぐったりしてる!しっかりしろ!」
「わあスライムさん!大丈夫ですか!ポーション、ポーション……ありました、どうぞ飲んで下さいっ」
ではまた。暫しの別れです。スライムさん。そちらの面白そうなエルフの少年にも、レジストはしてあげましたので。
「……ぴゆ」なんか、ありがとな。
「目を覚ましましたか!」
「ヒイラギ様も目を覚ましたぞ!」
加護スキル付与:念話[rank.C-]
念話できる能力を得る。継続可能時間や精度は、精神力と魔攻力の値によって増加する。
「ぴゆ。ぴゆゆ。ぴゆー。ぴゆゆゆ。(なっとう、おしょうゆ、しろいごはん、げるにか)」
読めたぞアピール。念話で伝われー!
「スライムさんもこのニホンゴが読めるみたいですね!」
「…………やはりか。お前もこの先で、沢山のスキルを覚えて行く機会に恵まれるのだろう。そして、その力でいつか、勇者や魔王になるのだろうな。危険な魔物だ。正直言うと倒しておきたい。しかし命を救われた恩がある。そこで」
「名前をつけて一緒に冒険するんですよね!ヒイラギ様!」
「監視がてらって所か。ヒイラギ様なら、そう言うだろうと思ってたさ」
「まだ何も言ってねえよ!?」
まだね。そして、スライムDは【青マル】と命名される事となった。命名式に協会で500goldかかった。
スライム種:青マル レベル16/max45
☆ネームドモンスター 名付け親:柊 レツ
▽パラメーター(簡易)
最大生命力:24 +4
最大魔力:28 +4
攻撃力:15 +3
守備力:15 +3
魔攻力:17 +3
精神力:42 +6
敏捷性:16 +3
ネームド補正:全パラメーター+10%+2
▽スキル(非表示)
うん、スゲー強くなってる。
ヒイラギ達助けて良かったー。
ところでお前ら、何にやられたんだ?
瀕死のズダボロ状態で倒れてた訳だけど。
「ぴゆーゆ。ぴゆゆ?」念話行けー!
「……ベヒーモスだ。兄と父の仇」
「ベヒーモスですよ。青マルさん」
「でかい魔獣だぜ。エルフが好物らしいぜ、青マル」
あ、スライムが手伝って勝てる相手じゃなかった。
かのクイーンワイバーンであるリセル様ですら「いやぁ手強い相手だったよナッハハハ!」くらいに自慢してくるレベルの強者だ。それにスライムが挑もうとしていたとは、何たる無謀。しかし手詰まりではないのだ。スライムには作戦があった。
passiveスキル発動:反骨心[rank.EX]
精神力のパラメータを大きく底上げし、敗北者や屈辱への抵抗意思を増大する。
さあ、復讐の刃は今、ゆっくりと磨がれてゆく。