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プロローグ
遥か昔のこと。この世界は、とある姉妹の禁忌によって創られたと言い伝えられてきている。それは捻じ曲がった姉妹愛だとか。それは互いを恨んだ結果だとか。今となっては世界ができた本当の答えを知る術はなく、尾鰭が付いた空想の物語のような話となってしまった。
ここはそんな話が言い伝えられてきた世界。様々な種族が入り交じって暮らす、レヴリー・デ・スール。昔は一つの大きな国だったらしいが、今では主に三つの国に分かれそれぞれがこの世界の均衡を保っている。生命を司る者を君主とするグリシーヌ王国。時を司る者を君主とするフリュイ国。そしてこの世界で一番大きく、最も繁栄していると言ってもいい国がある。それが、死を司る者を君主とするサンティエ帝国。
これはその帝国に住む一人の少女が「女帝」と呼ばれ国民に慕われる前の話。種族の争いが絶えず、派閥も多くあったサンティエ帝国をまとめた少女。そんな彼女の物語である。