逆転
あ〜あ、やっちまったなあ、こりゃ」
クボタは自らの過ちを悔いたがもう取り返しはつかない。
案の定リッチは全身傷だらけになりながらもその場に立っていた。
「邪悪な存在に対して聖なる力のこもったヒールは強大な驚異になる、ってことか。だが、私には効かなかったようだな」
「いや、オレのミスだよ。だから責任をもって倒させていただく」
「ほう、頼みの綱を使いきってもまだ闘うと。相方はもう駄目そうだが?」
クボタの目には疲れきってふらふらになっているアルビーの姿が映っていた。
「もう駄目か?」
「もう撃てません。あれで限界です」
「限界なんて自分で作るなよって言いたいけど……。まあいいや、もとはといえば俺のミスだし。ゆっくり休んでな」
「いいのですか? あなた一人で」
「いいも悪いも殺るしかないんだよ。生きている限りな。俺はまだ戦える」
「まだ戦おうと言うのか。ますます気に入った。必ず我が手中に収めるぞ。さあかかってこい」
「言われなくても」
だが攻撃を開始しようとした瞬間クボタに異変が起きる。
「警告、警告、体に深刻なダメージが発生、直ちに休息を……」
脳内に鳴り響く警告、苦しくなる呼吸
「くそがっ…、なおってなかったのか、こんな時に」
暴走した影響はまだ消えていなかった。そしてこの状況を見逃すリッチではなかった。
「なんか知らんが。しばらく苦しむがいい。苦しみの向こう側にある我の側に来るがいい」
そう言ってリッチはクボタに邪悪な気を打ち込む。
「いったい何を?」
「聖女か? だがソナタが何をしようともはや無駄。あやつは今頃思い出したくもない最も辛かったことや嫌な思いでのなかで苦しんでいるだろう。そしてその苦しみに耐えられなくなったとき我が手に堕ちることだろう」
「そんなこと……」
ピクリとも動かないクボタに駆け寄る聖女、なんとかしようと癒しの術を施すが硬貨は得られない。
「無駄だ無駄だ、いまだそこから無事抜け出したやつはいない。せいぜいあがくがいい」
「いま何て言った?」
「抜け出したやつはいないと言ったんだ」
「それだ!、それよ」
「何を言っているんだ?」
不振に思うリッチに対して笑みを浮かべる聖女
「残念ね。いや、私達にとっては渡りに船だわ」
「どういうことだ?」
「あなたはみずから勝ちを放棄したってことに気づかないの?」
「だからどういうことだ?」
「言ってはいけないことを言ったからよ」
「だからどういうことだと言っている」
イラつくリッチに向かって聖女はいい放つ。
「こういうことよ」
リッチの目に映ったのは全てを吹っ切ったように立っているクボタ。
「よくもやってくれたな!! 今から全力をもってお前を消す。覚悟しやがれ」




