町へ来たりて
町に入るため親子に偽装した二人、町に向かって歩き出す。その道中お約束のように野盗集団に出くわす。
「命が惜しければ金目のものはおいていけ」とのたまう。
「そういうものがあるように見えるか」といい返すクボタ。
「なければその娘おいていけ」と野盗が言った瞬間、野盗集団に襲いかかるフェンリル二頭、瞬く間に制圧する。
「どこがおとなしいんだ、けっこう狂暴じゃねえか」といえば
「敵意を向けたからね、こういうのにはあの子達敏感なの」とエリンが答える
「とりあえず身柄確保してつきだそう。もしかしから手配されているかもしれない。、おい、食うんじゃない」
クボタはあわてて捕まえた野盗を食べようとしたフェンリル二頭を止める。
「フェンリルにとっては人間はめったに食べれないご馳走なのよ」とエリンはがっかりしているフェンリル二頭を見ながら言う。
「あんたらなんなんだ、こんな獣つれているなんて。しかも二頭って、ちくしょう、こんなの相手にするんじゃなかった」と野盗連中はぼやくがクボタとエリンは気にせず、連中を引き連れ町に向かう。
やがて町の入り口にあたる門に到着したがそこには当然門番がいて人の出入りを管理していた。人の流れが途切れて一息ついている門番の一人がクボタ一行に気付き声をかける。
「旅の人かと見受けらるが、そいつらはなんなんだ」
「こいつら野盗だ。ここにくる途中で襲撃されたけど返り討ちにした。引き渡したいが頼まれてくれるか」
そうクボタが答えると門番は
「しばし待ってくれるか、担当者を呼んでくる」
とあわてて町の中へ駆けていった。
しばらくして担当者と思わしき人物を連れて門番が戻ってきた。その人物は野盗連中を見て
「こいつら手配されている野盗団の一味だ。直ちに逮捕して取り調べろ、一網打尽にするチャンスだ」
そう言うやいなや部下と思わしき集団が現れ野盗連中を引き連れて行く。
「ご協力に感謝する。あいつらは最近この辺りを荒らしている新手の野盗集団なんだ。一部とはいえ、捕まえたことは壊滅させる機会を得たに等しい」と担当者。
「相談があるんだが、俺たちは町に入りたいんだが事情があって身分を明かせないうえに、手持ちもない。どうにかならないだろうか」