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覚醒⑥

「こういう時ってどうすればいい」

クボタがまいったねというような表情を浮かべながらカルストンに問う。

「とりあえず相手の言うとおりにしよう」

そう答えたカルストンもどうしようか悩んでいるようだった。

「いかに君たちが強者であろうとも人質がいればどうにも出来まい」

いかにも怪しい実験を行っていたであろうこの場所でクボタたちは人質をとって立て籠る敵に対し攻めあぐんでいた。

アルビーと聖女に任せて先を急いだクボタたちであったが生存者を発見して救出しようとしたところに敵が現れ人質にしたのだった。

「あんたは普通の人間のようたけど」

とりあえず説得を試みるがネゴシエートなどできるわけなく方向性がなんかズレていた。

「そうだ。確かに俺ただの人間だ。他の連中と違って死んだヤツには興味がない、というよりは死んだヤツにまで仕事をさせたくはない。俺がここにいるのは自分の研究の正しさを証明するためだ」

「そのためにこの人たちを実験台にするつもりだったのか。変わらないよ。あんたも」

「何を言っている。偉大な研究成果のためには多少の犠牲はやむを得まい」

「その成果が更なる犠牲を生むことをわかった上でか」

「そんなことは使い手の心根次第だ。少なくとも俺は成果が出せればそれでいい」

「話し合いは無駄だったか。残念だがあんたの研究成果は消させてもらうよ」

「させるか」

研究資料を燃やそうとするクボタを阻止しようと飛びかかるがクボタは難なくかわす。

「おふたりさん、今のうちに」

クボタがそう言う前にカルストンとアンブラスは人質を救出していた。

「案外簡単に引っ掛かったもんだね」

敵を組伏せながらクボタはしてやったりと薄ら笑いを浮かべた。

「くそ、最初からそれが目的だったのか」

「あんた、悪人には向いてないよ」

「そうかもしれんな、だがこれで終わりだと思うな」

敵は何らかのサインをどこかに向かって出した。するとどっからかブーンという耳障りの悪い羽音をたてながら何かの集団がやってきた。

「どうだ、俺の研究成果の一つを充分に味わうがいい」

敵はそう叫びながら高笑いをする。

「まずい、すぐに避難しろ」

カルストンはそう叫ぶ。

カルストンとアンブラスは救出した人々とともに頑丈そうな壁の向こう側に隠れ、クボタもそれに続く。

「あれって虫?」

やってきた集団を見てクボタが問う。

「そうだ。それもヤバいヤツ、オオスズメバチだ」

「それにしてもむちゃくちゃデカイ。この辺の虫はみんなああなのか」

「そんなわけあるか。おそらく何らかの方法で人為的に大きくしたのだろう」

「どうだ、これが俺の残した成果だ。たかが虫だがとてつもなく驚異だろう。さあ、あいつらを食べ尽くしてしまえ。っ、違う俺じゃない、あっちだ」

「何しているんだ。あいつ、自分で呼んでおいて喰われている。助けたほうがいいのか」

「駄目だ、もう間に合わない」

慌てるクボタを制するカルストン、彼らが見たのはスズメバチの集団に襲われ無惨な姿を晒しながら連れ去られていく敵の姿だった。




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