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初めての出会い
男はふと立ち止まる、何か身の回りに違和感を感じたから。後方から感じる生暖かい空気、ふと振り向くと大きな犬のような生き物が二匹、こちらに向かって走り出してくる。ああこれは駄目だ、助かりようがないど覚悟を決め眼を閉じる、が、痛みの代わりに感じたのは柔らかな感触。眼を開けて見てみればその大きな体をこちらに預けるようにじゃれついている。
確かに昔から犬にはよく懐かれたなとしばし感傷に浸っていると、さらに後方からあら珍しいと声が聞こえる。
現れたのはまだ年端のいかぬ少女。何かへんなものをみるかのようにこちらを見つめている。
そういえばこっちに来てから初めて人に会うな、と男は思った。まずは挨拶でもと声をかけようとする前に少女の方から
「珍しいわね。この子たちが私以外の人間に懐くなんて。あなた、何者なの?さぞかし強いでしょうね」と
それを聞いた男は警戒心を強めながら答える。
「弱くはないと思うがどれくらい強いかはわからん。それよりも何者かと問う前に先にじぶんが何者か名のってもいいのではないか?」