これにて本日の打ち止め
アンクルホールドが極り苦悶の表情を浮かべるアンブラスではあったがなんとか逃れようとジタバタしているうちに技がかかっていないほうの足がクボタの顔面をとらえた。ちょうど鼻を蹴りあげるようになってクボタの鼻骨を粉砕した。
「もろに食らっちまった。これ治るのか?」
「自己修復機能を付与してるから大丈夫。だいぶん魔力を使うけど」
エレノアの言うとおり骨折自体は修復機能によりすぐに治ったが痛みは引くことなく大きなダメージを残し、クボタは思わずせっかく仕掛けた技をはずしてしまった。
一方のアンブラスもアンクルホールドからは逃れられたもののダメージは大きくつらそうな表情を浮かべる。それでもクボタよりも先に立ち上がりクボタに覆い被さりいわゆるマウントポジションをとる。その上でクボタの顔面を殴り付けようと腕をつきだすがクボタはそれを両手で掴むと同時に両足をアンブラスの首に巻き付ける。こうして圧倒的に不利な状況から三角絞めを極めたクボタはさらに締め付ける。苦痛に満ちた表情を浮かべるアンブラスだがあきらめる様子はない。クボタのほうはこれで勝負を決めようとしているがなかなかタップしないアンブラスに多少イラついていた。
「二回たたくんだよ。そうすれば終わるんだよ」
クボタはそうアンブラスにそう言ったがアンブラスは行動を起こさない。いや、何か考えているようである。
不意にクボタは違和感を覚えた。何か様子がおかしい。技は完全に決まっているはず、なのにこの感覚はなんだ、そしてその違和感は現実になる。
アンブラスは極められている腕にありったけの魔力をこめると腕をクボタごと持ち上げる。持ち上げられたクボタは唖然とした。こんなことがあるのかと、アンブラスは持ち上げたクボタをそのまま地面に叩きつける。
叩きつけられたクボタはそのときの衝撃で技を解いてしまった。なんとか脱出に成功したアンブラスであったがダメージは甚大で腕は傷だらけでもう動かすこともできなかったうえに息も絶え絶えであった。それでも動かすことのできたもう一方の腕で落としてしまっていた長槍を拾うといまだにダメージから抜け出せずに寝転んでいるクボタめがけて突き刺すのだった。
「これはまずい」クボタはそう思うが身体が動かない。
「これはもう終わったな」クボタはすべてをあきらめた。そして長槍が心臓に突き刺さった、
「どういうことなの、ヒールか効かないなんて」
アンブラスがクボタの心臓を突き刺すのが見えた瞬間、聖女とアルビーはクボタのもとに駆け寄り治療を施すが聖女の持つ癒しの効果がまったく通用しない。それでも必死になって治療にあたる。
「あなたのような人と戦えたことを感謝しなければ。まったくナイスな人ですね」
そう言いながらアンブラスは崩れるように倒れていく。
「ったく。全裸監督みたいなこと言いやがって」
そう言い残しクボタも意識を失っていく。
「損傷率が50%を越えました。意思に関係なく修復を行います。止血は既に完了、疑似心臓作成終了、バイパス接続、血液をそちらに回します。本心臓停止、これより修復作業を開始、完了予想時間は……」
頭のなかに響き渡るそんな声を聞きながら




