新しい仲間②
山間部にあるとある大きな教会、そこの大聖堂である儀式が行われていた。
「アルビー 出でなされよ」
そう告げられ年若き女性が前に出る。
「アルビー、汝、この教会に師事し、この度、最難関とされる3つの修練(サウザラール 「千日間経を唱えながら野山を駆け巡る」 インナールー「堂に立て籠り七日間飲まず食わず不眠不休で経を唱え続ける」 ボダール 「三日間 密閉された暗闇の空間でひたすら瞑想する」)を見事修了した。これを称え一位神官に任命する。白の聖衣を受け取るがいい。」
演壇に立つ神官は告げる。
「謹んで承ります。これからもなお一層精進いたします」
深く頭をさげ女性は聖衣を受け取る。
「アルビーよ、よく今まで厳しい修練に耐えた。これからは自由だ。自らが思う道をいくがよい」
神官は優しく声をかける。
「ありがとうございます。これまでのご指導深く感謝いたします。」
アルビーと呼ばれた女性は自由の翼を掲げる兵団式の敬礼をしながら応える。
「自由にしろとはいったがくれぐれも神の道に反することはするな。それだけは覚えておけ」
「はっ、肝に命じておきます」
「それとな、旅立つそなたに頼みがあってな。聞いてくれるか?」
「何なりと、師の頼み、断る理由はありません」
「そうか、それでは言おう。実はここより遠く離れたとある町の教会に聖女と思わしきものの反応があったと報告があった。そしてもうひとつ大賢者と思わしきものの反応もあったそうだ」
「聖女に大賢者ですか」
「そうだ。おそらく、しばらく行方不明となっていた聖女アギレラと大賢者ソアルの二人のものと思われる」
「身を隠していた二人が出てきたと言うことは、何か不穏な事が」
「そなたにはそれを調べてきてもらいたい。さらに気になることがあってな、大賢者ソアルと思わしきものよりかなり大きな反応が分離したとの報告も上がってきておる。どういうことなのかそれも合わせて詳細に調べてほしい」
「承りまりました。直ちに出立し、調べて参ります」
アルビーはそう告げてその場を後にする。
「頼んだぞ、そなたに神のご加護があらんことを」
神官はアルビーの背中を見つめそう呟いた。
「グリフォンともどもよろしくね」
軽いノリで妖精は挨拶する。
「妖精を取り込むとは。オヌシは本当にワシらの創造を越えてくるな。この先どうなるか楽しみじゃな」
大賢者は特にどうってことなく対応する。
「で、こいつらをどうするつもりだ」
つれてきたグリフォンを見上げながら大賢者は問う。
「どうするたって面倒見るしかないだろう。婆さんが」
大賢者は自分を婆さん呼ばわりするクボタを特に咎めることはせず
「なぜワシが面倒を見なければならんのじゃ。頼まれたのはオヌシじゃろう」
「親グリフォンは婆さんを頼りにしてあるようだったからね」
「確かにあやつとは腐れ縁だからのぅ。だからといって面倒を見る義理はない。だいたい人間ごときがグリフォンを育てるなどと、いや、オヌシなら」
「あのぅ、お話中申し訳ありませんが」
シスターデルマが話に割り込んでくる。
「なんじゃ」
「何ですか」
二人同時に返事をする。
「そのグリフォン様ですがさっきエリンちゃんと聖女様を乗せて飛んで行きましたけど」