偵察?
「ほれ、これ報告書、しっかりと読んどけよ」
グルージンはクボタに調べ上げた資料をわたす。
「もう調べてきた!」
クボタはグルージンの仕事が早い事を売りにしている某工務店よりも早い仕事ぶりに驚いていた。
「こういうのは早いほうがいいだろう。で、どうだ」
「どうとは?」
「やれそうか、人質救出作戦は」
「やけにノリノリだけど」
「久しぶりなんだよ。久々に実戦参加するんだから」
「裏方なんでしょ」
「あくまで本業はな。戦えないわけではない」
「残念ながらあなたの期待するようなことにはならないと思いますよ。戦闘はできるだけ避けたいんで」
「どうして?」
「こんなことで戦力減らすわけにはいかないでしょう。もとは同士だし、出来ればまるごと取り込みたい。数は多いほうがいい」
「そうか、そうだよな」
がっかりした表情でうなだれるグルージン。
「何なんだ。ただ単に戦闘に飢えているだけではないだろうに。脳筋に医者ができるわけない。まったくもってわからない」
クボタはグルージンの思考について考えてみるが答えは出ない。
「まあ、いいや。それよりもこっちだ」
再び報告書に目を通しながら自分がやろうとしていることに間違いがないか考えてみる。
「カネダさん、ちょっといい?」
「なんだ?」
「これどう思う?」
「正直にいえば実際に見てみないとなんとも言えん。単なる戦闘じゃないし。救出なんてやったことないしな」
「そうですよね」
資料を見ながら話し合う二人。だが結論は出ない。
「実際に見てみますか」
「見るって?」
「威力偵察をやってきます。できれば中を見てみたい。動線とか考えないと」
「一人で行く気か?」
「偵察ですよ。一人で十分でしょう」
「威力偵察だろ。やり合う気だろうが」
「あくまで偵察です。不幸な事故は起きるかもしれませんがあくまで犠牲は必要最小限ということで」
「あのさ、一人で何もかも抱え込まなくていいんだぞ」
「言っている意味がわかりませんが」
「もういいや、どうせ今から行くんだろう。だったら俺も行く。嫌とは言わせん」
「空からか、これなら大丈夫か? しかし中はわからんだろう」
グリフォンに乗った二人は上空から人質が収容されている施設を観察する。
「ここまでは報告書通り、ただ問題は……」
「どう人質を誘導するか、それも相手方を誰一人殺すことなく」
「我々は威力偵察にきているです。試しに殴り込みますか?」
「それだと偵察とは言わんだろう。まあ、試してみるか。ライフルがあっただろう。貸してみな」
クボタは空間収納からエラライフルを取り出しカネダに渡す。
「どうするんです?」
「軽く当てるだけさ。死なない程度にな。攻撃を受けた際にどう動くかをみるんだ」
カネダはライフルを構え弾丸を発射する。その弾丸は見張りの兵士の肩口に当たる。