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戦いは数にあらず③

「そう、一対一でだ。これなら公平だろう。俺が負けたらエリンをそちらに引き渡す。勝ったらあんたらは俺らの軍門に下る。それでいいだろう」

「何を勝手なことを!」

「分かった。それでいい」

憤る部下を宥めるようにリシャールはクボタの言い分を受け止める。

「良いんですか。こちらに分があるあるとは思えませんが?」

「君は私が負けるとでも?」

「そうはもうしませんが……」

「だったら引きなさい。一騎打ちを申し込まれて引き下がるわけにはいかない」

「わかりました。ご武運を」

「話はまとまったかい」

リシャール部下との会話が終わったのを見繕ってクボタが声を掛ける。

「ああ、まとまった。すぐに始めよう」

「了解した。始めようか。お前らもさがれ、おい、エレノア、お前もだ」

「わたしがいないと魔力のってしまい調整が……」

「心配ない。今回魔力は使わない」

「でも、それじゃあ」

「大丈夫、勝てるさ。師匠から授かった奥義があるからな」

「わかった」

クボタの周りから人が離れていく。

「準備は整ったか?」

「こちらはいいが。貴殿、武器は?」

「俺自身が武器だ」

「貴殿、舐めているのか? 我は武装している上にミスリルのってしまいよろいを纏っているのだぞ」

「関係ない。俺はずっとこれで戦ってきた。下手に慣れない武器を使うぐらいならこのほうがよっぽど戦いやすい」

「そうか、それならもう何も言うまい。後で後悔しないようにな」

「ご忠告痛み入るがそれはこっちが言うことだと申し上げておこう」

「このごにおよんでまだ貴殿は……。まあいい。では参る」

「こちらもだ。参る」

両者とも戦闘態勢にはいる。が、その状態のまま二人は動かない。

「勝負は最初の一撃で決まるわね。エリン、よく見ておきなさい。これが己をかけた漢の戦いよ」

エレノワはエリンにそう告げた。黙ったままただ頷いたエリンだったが、彼女はクボタのってしまい体から湧き出してくるエレルギーを感じていた。

「あれは何? 魔力とは違う? 」


「なんだというんだ、武器も持たずにただ構えているだけだというのに。何という圧力だ」

リシャールはクボタから発せられる得体のしれないエレルギーに圧されていた。

「あの御人は何者なんだ? この私がこれほどまでに圧されるとは」

「流石にちがうねぇ。これまでの相手とは全然違う。これじゃあ全然足りない。まだだ、もっと力を」

その思いが強くなるほどにクボタからはさらにエレルギーがあふれだしてくる。 

「くっ、もう耐えられん」

やがてそのエレルギーから発せられる圧力に耐えられなくなったリシャールはクボタにむけて一撃を繰り出す。

それを受けてクボタはリシャールが繰り出す剣先を躱すように身をよじらすと渾身の力を篭めた右ストレートをリシャールのみぞおちにぶちこむ。

その瞬間、リシャールの体は凄まじい爆音とともにはるか後方へと吹っ飛んでいく。

「馬鹿な、素手でミスリルを貫通させるとは! いったい貴殿は……」

薄れゆく意識のなかでリシャールは自分の負けを悟ったのだった


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