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合流⑤

「助けてくれって、なんだ」

「私の手に追えなくて。この街には、いえ、これから必ず必要になる人なんです。でも私には……」

「わかった、やろう」

「ではこちらに」

アルビーに案内されて厳重に管理された病室にやって来たグルージン、患者を見て一言

「こりゃ助からん。こんな状態で今まで生きていたのが不思議なぐらいだ」

「無理矢理にでも生きてもらわなければ……、なんとかしてください。市長がいなければこの街は立ち直れません」

アルビーの懇願する声にグルージンは困惑する。

「そう言われてもなぁ、トリアージなら黒判定だぞ。まあ、やるだけのことはやるか」

意を決したグルージンが治療に取りかかろうとした瞬間

「心配停止」

聞きたくない言葉が聞こえてくる。

「今からやることは医療行為だからな。決してやましいことじゃないからな」

そう断ってからグルージンは心臓マッサージを行う。だが心臓は動かない。

「次の手を打つ。アルビー、これでだめならリザクション(蘇生魔法)だ。使えるだろう? 準備しておけ」

グルージンの両手から火花が飛び散る。

「離れろ」

そう叫ぶとグルージンは両手を市長の胸元に当てる。当てた

瞬間に市長の体はベッドの上で痙攣を起こしたようにのたうちまわる。

「一体何を?」

「電気ショックだよ。どうだ?」

一瞬動いたように思えた心臓はすぐに鼓動を止める。

「だめか、もう一回」

再び電気ショックで心臓を動かそうとしたがやはり動かない。

「仕方ない。アルビー、リザクションだ。それしかない。8分以内ならどうにかなる。あくまで目安だけどな」

「しかし、もし失敗したら……」

「まあ、寝たきりになるぐらいだ。命まではとられないだろう。現に俺は生きているからな」

「先輩、失敗したことあるんですか?」

「一回だけな。そう簡単に使えるものではないからな。これでも白服だからな、許可はとってある」

「一応聞きますけど、先輩、失敗した反動って?」

「1ヶ月ほど寝たきりになったぐらいかな。意識が朦朧としていてあんまり覚えていないんだけどな」

不安な表情を浮かべるアルビーに対し

「お前が助けろって言い出したんだろうが。さっさと手伝え。二人でやればなんとかなるだろうさ」

「いいえ、三人よ」

二人のもとに颯爽と現れた聖女

「さあ、始めましょう」

号令とともに三人はリザクションを発動させる。


「はじめから負けるつもりだったのか? だから俺らだけ逃がしたのか」

「オヌシと王女が生きていればどうにかなるじゃろう。援軍が来たのは想定外だっだかのう」

「残っていたらファイナルエクスプロージョンぶっぱなせばすぐに片付いただろうが!!」

「言っておくがオヌシ、人間相手にそれをすればオヌシは世界中を敵に回すぞ。そうなればオヌシがここに来た意味がなくなる。オヌシはこの世界を助けに来たのじゃろう」

「だけど……、俺が居なかったせいで……、そこのパン屋のおっちゃんや食堂のおばちゃんが死んじまった。まだ世話になった恩もなんも返してないのに……」

「オヌシ、冷静になれ、そんな一撃ですべてをひっくり返せることをすればどうなるか考えろ。そんな力を持つ奴をほっとくと思うか? 間違いなく真っ先にオヌシを排除しようとするだろうが」

「だったら……、だったらどうすればいい。俺はどうすれば……」

「反撃の機会を待て。悪いが今はそれしか言えん」

クボタは大賢者に喰ってかかる。が、大賢者は自らのミスを悔やみながらもクボタに冷静になるよう諭す。

「失礼、立て込んでいる最中に申し訳ないがここの代表者に取り次いでもらいたい」

そんな大賢者とクボタのやり取りに割ってはいってきた男がいた。

「あなた方は、名乗ってもらってもよろしいかな」

大賢者の問いに男は答える。

「度々の失礼をお詫びする。政府軍の宰相、アヴェインと申す」


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