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落ちこぼれ農民が魔王討伐!?しちゃった件

作者: リル

短編にしたので少し話の展開が早いかもです!

おそらく誤字があると思いますがその時は教えてください!


では、落ちこぼれ農民をお楽しみください!


少しふざけてしまった…てへ☆

農民のレオこと俺は今とんでもないところにいる。右を見ても悪魔。左を見ても悪魔。


おぉい!!悪魔しかいねーじゃねーか!


俺は悪魔を見ながら落ち込んだ。そんな俺の様子を心配した右の悪魔が声をかける。


「大丈夫ですか?新魔王様」

「あっ、はい。ダイジョウブデス」


あまりの恐ろしさに最後の方はカタコトになってしまった。


いけない、いけない。にしてもここからにげれないだろうか?だってお化け屋敷より怖いもん。


ここに来てから数日、事あるごとに隙をみては脱走を試みたが見事に失敗した。何度も何度も繰り返すものの全てあっさり配下の悪魔に連れ戻されてしまった。


えっ?そんな恐ろしい場所はどこかって?それは決まってるじゃないか!魔王城。農民の俺が魔王城の玉座に座っているのさ☆


理由は…とても簡単!


魔王城見つける→ふざけて入る→なんか分からんけどすんなり玉座の間→魔王と戦う→魔王一撃で死ぬ


いや、魔王弱すぎんだろぉぉぉ!!

と大声で突っ込みたいものの、横の悪魔が怖くて出来ない。


こうなった原因は遡ること数日前。




「レオ、大丈夫なのか?」


村の長老が不安を隠しきれずに心配した様子で話しかける。まだ若い俺を1人で村の外に出すのが心配なのだろう。


しかし!長老は俺を村の外に出すほかない。何故なら村はここ最近不作が続いており、出稼ぎのために外に出ていかないといけないのだ。


他の奴らは昨日、出稼ぎに出たらしい。俺はその時、ぐっすり寝ていて………置いてかれた。


ワッハッハ!俺はそんなの気にしないぜ!


…本当だよ?ちょっと心が卵を使った後の殻みたいに粉々に砕けただけだもん!


「じゃあみんな、行ってくるわ…」

「頑張れよ」


村のみんなに見送られて俺は村を後にした。


以外に最後ってあっさりしてるものなんだな…。




(見送っている村人の気持ち)

いやそっち逆!!!!でも言いづらい…


「本当に大丈夫じゃろうか?」

「長老。奴は極度な方向オンチです」

「えっ?それ大丈夫なの?」


他の村人たちが真剣な表情で方向音痴だと言い、それを聞いた長老の顔色が悪くなる。


「無理ですよ…あいつ1回も1人で目的地に着いたことないんですもん!」


他の者達もあいつは無理だという顔を真剣に真顔でし、青ざめている。


「えぇぇぇぇぇ!!!!それダメじゃろ!今すぐ連れ戻せぇぇぇ!!」

「長老!レオを見失いました!」

「卍!?やばいじゃん!」

「はい。」


(長老以外の村人達の心の声)

卍!?何それ!?どこで覚えたんだよ!最近のJKか!



ここは荒れた土地に立地している村。周囲には時々凶悪な魔物が度々目撃されている。

一応王国の兵によって王都までの道が整備され、安全な道があることにはある。

だが、レオは極度の方向音痴のため、整備された道を通らずに向かってしまった。つまり、行きて帰る方が困難なのだ。


村人達はもうレオが死んだのだと全員が思い、皆涙した。



その頃俺はルンルンで王国に向かって…いたんだよ?


なぜか俺はいつまで歩いても王国につかなかった。ましてや馬車1台見かけることはなかった。どこまで歩いても荒れ狂う大地。本当なら3日でつくはずだがこの時すでに1週間が経過していた。


あれ?おかしいな?もうそろそろついてもいいはずなのにな。

そんなことを考えながら歩いていると遠くに城のような建物が見えてきた。


「やったぁ!王都が見えてきたぞ!」


でもおかしいな?城が黒いぞ?あっ、そっか。模様替えだな!マジ俺天才。

※魔王城です。


俺は大いに喜び城の方へと走り出した。



数十分後。


「ハァ、ハァ、ハァ」


いや、遠くね!?走ったのに全然つかないんですけど!?もしかして王都動いてんの!?てか見るからに王都小さいぞ?

※遠近法で小さく見えてます。


あっ、分かったぞ。最新型の王都なんだな!


「わーい!これでいっぱい稼いでいけるぞぉ!」


俺は喜んで期待を胸に王都に向かって歩き出した。数時間歩き、やっとつくことができたがついた頃にはバテバテだった。


「どうも、こんにちは!」


王都に入り、出会った人に挨拶をしながら王城を目指して歩いていった。

※魔族です。


俺は律儀だから!街のみんなに挨拶するのさ!

しかし、挨拶をすると街のみんなはざわつき始めた。

あれ?おかしいな。言葉通じてないのかな?あったま悪いなぁ。

※魔族です。


『ニンゲン?ナゼ?』

『ニンゲン、コロス』


え?殺す?物騒だなぁ。何?王都って出稼ぎに来た人をいじめる習性でもあるの!?あらやだ。迷惑しちゃうわ。

王都(魔王城城下町)の者達は近づいてくるやいなや、その凶悪な(・・・)爪や顎を使い襲って来た。


「いやぁぁぁぁ!新手のイジメだぁ!」

『ニンゲンコロセ、クイツクセ』


あまりの恐ろしさを前に無我夢中で走った。逃げ回っているうちに城の近くまで来ると何故か襲って来た連中は引き返していった。


もしかして王様が怖いのかな?やっぱ王様の威厳ってすごいんだな!

俺は感心しながら城へと足を運ぶ。門の数十メートル手前まで来ると立て札が立っていた。

#€÷〆○*(魔王城)


「これ、何て読むの?」

「まおうじょうと読みます」

「マアオウジョウ?ナニソレ?オイシイノ?」

「美味しくはありません。城です」

「あっ、そっかぁ!ありがとう」

「はい」

「………」


えっ!?誰!?

俺は見ていた立札の読み方が分からず、思わず口にしてしまったのだがその答えを何者かが答えた。

とっさに、誰なのかを確認するために声のする方へと振り向くがそこには誰もいなかった。


「あれ?」


も、もしかして…おばけ!?いやぁぁぁぁ!

今にもちびりそうだ。

無理無理無理無理無理。俺そういうの信じない系だけど…本当だよ?で、でもね?万が一があったらいけないじゃん?だから村へ帰るしかないんだと思うんだよね!


俺の頭の中で天使と悪魔の死闘が繰り広げられる。


「レオ、勇気を出しなさい。」


天使が俺に優しく、微笑む。だが怖い。帰りたい。寝たいのダァ!


「大丈夫だって。他の奴らもいるんだしさ。出稼ぎとかダリーじゃん?」


うんうん。俺も思うよう、悪魔ちゃん。めんどくさいしね。思わないし。行く必要ある?てか何!?勇気を出すって。マジウケるんですけどー!

ってあれ?なんか俺悪魔よりじゃね?じゃあ帰るで即決。


俺は村に帰ることを決心し、()に足を進める。村へ帰るつもりだったのだが、気のせいか城との距離が縮まっており、「これは入れってことかな?」なんてふざけたことを考え、面白がって城の中へと入っていった。


先程から道を歩いていると俺に反応するそぶりはない。

そういや俺、昔から影薄かったよな…


落ち込みながら歩く。しかし本当に誰も反応しない。まるでみんなで俺をいじめてるみたいに。


あら、嫌だわ。失礼しちゃう!

何てジョークを心の中で考えながら歩き回る。


「にしてもここは広いなぁ」


先程から進んでいるつもりなのだが何故かしばらく歩くともとの場所に帰って来てしまう。

なんでかなぁ?

俺は困った時は人に聞く!といくう最終奥義を使い、すれ違ったメイド服の女に道を聞いた。


「ねぇねぇ、そこの君」

「私ですか!?」

「うん、そだよー」

「はい!なんでございましょうか?」


いやぁ、しっかりとした口調だなぁ。さすが王城のメイドだなぁ。


「道に迷ってまして…とりあえず道案内してくんない?」

「はい、分かりました。大体あなた様が行きたい場所は見当がついております。それでは行きましょう」


優しいメイドは俺の行きたい場所まで察してくれたらしい。

なんていい人なんだ!

俺は軽く感動しているとメイドさんが沈黙はマズイと思ったのであろう。話題を出してきた。


「あの、お名前は何と言うのですか?」

「君は?」

「え!?私ですか!?私はミーラ・ヘルヴェツァンと言います」

「俺は…レオと覚えていてくれたらいい」

「そうですか…あっ、そろそろつきますよ」


いやぁ、楽しい時間はあっという間だな!

※実際に短時間です。


「あとは、そこの十字路を右に曲がっていただければ、出口となります」

「ありがとう!右だね!」


俺はお礼を言うと右に曲がった。

※本人は右だと思っていますが左に曲がりました。


(メイドの心の声)

いや、そっち左…


やっとこれで帰れる。そう思うと体が軽くなって来たな!

俺は目の前にある大きな扉を開く。扉の先には城下町が………広がっているわけでもなく、どこかの広い部屋だった。


『何者だ?』

「えっ?小物です」

『何?小物だと?そんなやつ聞いたことないぞ』


広い部屋の奥に豪華な椅子にゴツい格好をした男?が座っている。様々な装飾品を身につけ、頭には王冠を被っている。そして何よりも全身が黒いことが凶々しさを出している。


ん?何言ってんの?このコスプレみたいな格好したおっさん。魔王のコスプレ?マジウケるんですけど〜!


「申し訳ありません。私も存じ上げません」


コスプレおっさんの横にいた、綺麗なお姉さんがペコペコしている。


『貴様、もしや勇者か!?』


ユウシャ?………あっ、優者?優しい人かってことかな?いやー、やっぱ俺天才。

まぁ、俺は超がつくほどの優男だしね!ここは「はい」と答えておこっと!


「はい、そうです」

『クックックッ、やはりか!さすがだ勇者よ!我の手前まで来るとは見上げたものだぞ』

「あっ、そりゃーどうもっす」


そういや、こいつどっかで………見たことないな。


『勇者よ!死ねぇぇぇぇぇ!!!』


おっさんは叫びながら炎で包まれた拳を俺の頭めがけて殴りかかって来る。

これ、魔法じゃん!てことは……魔王!?


「ま、まおう?」

『いかにも。我こそが十二代目魔王…』

『アルツァー・コルネロード!!』


なっげー名前だな。って、そんなん考えてる暇じゃないって。やばい、やばい。まさにヤバイよヤバイよ。


『次こそくたばれ!勇者ぁぁぁぁぁ!!!』

「うわぁぁぁぁ!!」


あまりの気迫と恐ろしさに腰を抜かし、目を瞑りながらその場に尻をついた。その時、何かが手にあたった。俺は死にたくない一心で手に当たった何かを振り回した。


『何!?聖剣か?』


握っていたものはなんと聖剣だったらしい。


何故こんなところに転がっていたか分からなかったが今はそんなことを考えている暇はない。

聖剣は魔王に少しかすり、傷から煙が出ている。


これなら魔王から逃げれるかもしれない!

そんな希望にすがりつくことしか今の俺にはできなかった。


「くらえ!魔王!!」


俺は持っていた剣を大きく振りかざす。


『………届いてないぞ?』


魔王は10〜2、3メートルくらい離れた場所で呆れた様子で言う。


べ、べつにお、俺が離れたわけじゃないよ?ちょっと念の為に危ないから離れてただけだよ?こ、こここここここここ怖いもの知らずの俺が魔王なんか恐るに足らずだ、だだだだだぜ?


何回も聖剣を振りかざしていると、すっぽりと手から聖剣が抜けた。


「あっ」

『ふん!これで貴様は終わったな。』


これで俺のバットエンドは確定したようなものだった。

だって、聖剣が勝手に飛んでいったんだもん!

まったく、勝手な聖剣なんだから!


『何!?』


ブシューーーーーーー


聖剣は魔王の胸部に直撃をし、凄い量の血吹雪をあげている。

俺は何が起きたのかが全く理解できない。


「えっ?なんで?」

『おい、エミュールー!!!!!!!!!貴様ぁぁぁぁぁ!!!裏切りおってぇぇぇぇ!!!』


魔王が先ほどとは打って変わって怒り狂ったように横にいた綺麗なお姉さんに襲いかかった。しかし、聖剣で受けたダメージによりお姉さんにたどり着くまでに力尽き、その場に倒れてしまった。


「あらあら、無様ですね魔王様。ふふふ」

『エミュール、きさ…』


魔王は灰となり、散っていった。


「あれ?力尽きて灰になっちゃいましたね」


………。

何が起こったんだろう。俺には到底理解できなかったが、魔王が死んだと言うことだけ理解できた。

まぁ、いっけんらくちゃくだな!


ドカン!


勢いよく大きな扉が開き、音が部屋一面に響き渡る。

ドカン!?いやもうそれ、扉の開く音じゃないから!扉は静かに開けましょうね!?てか何簡単に開けてくれてんの?俺あの扉開けるのにどんだけ時間かかったって言うんだよ!1時間だぞ!1時間!もう最後の方は魔王さんが呆れて魔法で開けてくれたよ!?


「おい、エミュール!これはいったいどういうことだ!?」

「どういうこともこういうことないですよ?見ての通りこのものが魔王様を倒したのですから」

「ふざけるな!こんな農民に魔王様が倒せるはずがないだろ!もしや、謀反か!?」

「だったら何なのです?ガゼル」


いやいやいや、ちょっとお二人さんだけで話し進むのやめてもらえませんかねー?話しについてけないんだけどー。


「貴様、殺してやる!」

「黙りなさい、Lv73の分際で」


エミュールと呼ばれていた女が今、急に入ってきた男の頭を黒い斬撃によって吹き飛ばした。


そしてエミュールと呼ばれていた女は近づいてくるなり膝まづく。


「今日から貴方様が魔王でございます。何なりとお申し付けください」

「………え?」


俺が30分くらい、この言葉によりフリーズしていると、いつのまにか事の次第は進んでいた。


「今すぐここの近くにいる悪魔、魔物達を広場に集めろ!」

「はっ!かしこまりました」


エミュールと言う女の掛け声により、メイド達が魔物達に伝達するためにすぐさま部屋を出て行く。


「魔王様、魔王様!」

「えっ?あっ、はい。何でございましょうか?」

「ご紹介が遅れました。私はエミュール・アリシアンと言います」

「お、俺はレオだ」

「レオ様ですか。ではまず、レオ様の家名を考えましょう。十二代目から名前を引っ張ってきて、レオ・コルネロードなんていかがでしょうか?」

「あっ、ナンデモカマイマセン」


ちょっと、何だよ!この環境怖えーよ!てか、事の進め方早くないですか!?もうちょっとゆっくり、じっくり考えようよ!

あっさり決めるなんてやめてよ!


「その見た目では農民だとバレてしまうのでこれをおつけください」


エミュールが赤い宝石の入った腕輪を渡す。俺は貰った腕輪を腕につけてみる。


「お似合いでございます。では、さっそく鎧をまとってください」


まとう?どうやったらいいの?

適当に色々試してみたけど結果は鎧をまとうイメージをするだけで良かった。


「それでは行きましょう」

「えっ?どこに?」

「新たな魔王は自分だと言いに行くのです」


そっかぁ。ってえぇぇ!!!?なんでーーー。

俺は嫌だとだだをこねたが引きずられて連れていかれた。広場を城から見ると沢山の悪魔や魔物が魔王の登場をまだかまだかと期待を胸に目を輝かせて待っている。


「魔王様、あとはお任せ下さい」


はい。喜んで!全部任しちゃう!


「皆のもの聞け!このレオ・コルネロードが我らの王を討ち取った。よってこれより、アルツァー・コルネロードに変わり、レオ・コルネロードが新たな王となる!」

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」


集まっていた者達が叫ぶ。正直このことには驚いた。もっとこう、 仇討ちしてやるなどと言うかと考えていたからだ。


こいつら忠誠心とかないの?

あまりにも声援が大きいため俺も一応何か言っておこうと前へ出た。


「わ、我が新たな魔王だゃあー」


やべ、噛んだ。うわぁぁぁぁ、めっちゃ恥ずいんですけど…


「ウォォォォォォォ!!!」


良かった。みんなあまり気にしていないようだった。

こうして無事に終わり、俺はひと段落ついたので、玉座の間(魔王と戦った場所)に戻った。


これが今俺が置かれている状況になった原因だ。


現在に戻る。


「魔王様逃げようなどと考えない方がよろしいかと」


何!この子。エスパー!?心読まれちゃったよ!


「べ、べつに…」

「まぁ、逃げられるわけがないのは魔王様も十分理解されておりますよね?」


うわぁ、アレだよあの目だよ。獲物を見る目。俺食べられちゃうのかな?


「それよりも現在の魔王軍の状況についてお話しさせていただきます。魔王軍は全部で11師団に分けられております。各師団1万で構成されておりますが魔王直属3万、私の軍勢4万を合わせまして魔王直轄領には計7万となっております。」


な、7万!?そんだけいたら顔と名前が一致しないよ?うん。みんな顔似てたし。特にゴブリンみたいなのとかスケルトンとかさ。


「我らの各領土は守護者と呼ばれる者達によって守られております。守護者は全員で9人、私を含めると10人となります。」

「あれ?じゃあなんで君はここにいるの…ですか?」

「私は魔王城、兼魔王様の守護となります」


へー、そうなの…シュゴシャね。うん。シュゴシャ。アレだろアレ。そのアレだな。知ってる知ってる。美味しいやつね。


「守護者とは何かを守る者のことを言います」

「えっ?」

「いえ、守護者が何か分からないという顔をおられましたので」


別にそんな顔してないと思ったんだけどな。ちょっとポーカーフェイスの練習しといた方がいいかな?


「もうすぐ守護者達が魔王様の元へ来るかと…」

「は、はい」


お願いします。怖いから来ないでぇぇぇ!!

俺は念のために鎧をまとっておく。

扉が開き3人が玉座の間(俺のいる場所)に入ってきた。俺の前まで来ると膝まづいた。


「わたくしは第1守護者フューレ・ザクストと申します。横の者は私の従者でございます」


見た目は人間の女にしか見えなかった。しかし、守護者という立場であるのならば魔族なのだろう。


「魔王様、何かお言葉を」


エミュールが小声で言う。俺はその意思を組んで第1守護者フューレ・ザクストに言葉をかける。


「よろしくな」


俺はフューレの元へと行き、しゃがんで握手の為に手を出す。その行為に横にいるフューレの従者が驚き


『なっ!?』


と、思わず言葉を発してしまう。


「ありがたき、幸せ。このフューレ生涯をかけまして支えさせていただきます!」


そんな、大げさな。たかがあくしゅだろうに。

もともと挨拶をしに来たため、フューレは即座に退散してしまった。

その後、第2、第3、第5、第6、第8、守護者が挨拶をしに来た。


「第2守護者メイビス・マーリン」

「第3守護者キーラ・ロイヤル」

「第5守護者エルド・ウルファ」

「第6守護者イービルト・キャンベル」

「第8守護者アルファ・ムッシュ。我ら守護者、新魔王様に忠誠を誓います」


ちょっとなんか気まずいな。だんだん恥ずかしくなってきたし。いやぁぁ、ちょっと誰か助けてぇぇぇぇ!!!


「これからもよ、よよよよろしく頼むぞ」

「はい!これから全力を尽くさせていただきます」


やっべー、噛んじゃったよ。

無事に守護者たちの挨拶が終わり、守護者達は玉座の間から去っていった。第4、第7守護者は今戦争中のため来られないらしいが後に挨拶をしに来るらしい。

………じゃあ第9守護者は?

俺は疑問に思い、エミュールに聞いた。


「なあ、第9守護者はどうしてこない……のでしょうか?」


あー!ついつい敬語になっちまったよ。だってさ。だってだよ!?怖いもん。この人…この悪魔。いつでも目からビーム出るぞ!って雰囲気あるじゃん!?まぁ、これも俺だけが思ってるだけかもしれないかもしれないけどさ。


「魔王様。失礼ながら一言。」

「どうした……どうされたのでしょうか!?」

「先程考えておられたことなのですが少々言葉がおかしいかと…」


いや!なんで俺の心の声聞こえてんだよ!こえーよ。

魔族ってそんなもん!?


「あと、魔王様が配下に敬語を使われるのはどうかと…」


おい!お前一言だけって初めに言ったろ!約束破りやがって。怒っちゃうぞオラ。

あっ、心の声はさっきバレたんだった。まずいな………ごめんなさいごめんなさいなんでもありません。すみませんでしたーー!!!

エミュールの目を見た途端に怖気付き、聞こえてるかもしれない心の声で一応謝っておいた。


人間、悪いことしたら謝罪しなあきまへんでー。と、まぁジョークを交えつつ、俺は重要なことを考えていた。それは…勇者。いつ、乗り込んで来るか分からない。乗り込んできたら殺されるかもしれないと不安が俺を襲うばかりだ。


まっ、正直何も考えていないんだけどね。


「勇者っていつぐらいにくるー?」

「失礼ながら魔王様。そんな勇者も遊び感覚で来るわけがないではありませんか。もっと気を引き締めてください!」


失敬、失敬☆


「あと、どうして、第9守護者はこないんだ?」

「おそらく、もう少しで来るかと」


エミュールの言葉通り、すぐに扉が開き1人の女?が入ってきた。


「あなたが新しい魔王ね!許さない!よくも私のパパを!」


入って来るや否や俺に襲いかかってきた。それをエミュールが間一髪で止める。

全くもう!最近のお子ちゃまは礼儀がなってないのかしら?


「エミュール!あなた、パパを裏切ったの?」

「いえ、魔族とは強いものに従うのです」

「そういえばあなたパパと直接戦ったことないんじゃないの?」


どういうこと?全然理解できません。教えてドラえもん!


「あ、あのー」

「だからどうしたというのです?」

「初めから裏切ってたんじゃないの?」


ちょっとーー!!!俺を無視しないでぇぇぇ。


「私は従わないから!では御機嫌よう」


俺、1度も会話してないんだけど。完全フル無視だよね?もしかしてこれは今時の新手のイジメか!?

クッソー!!ゆるさねぇ、教育委員会に訴えてやるー!!


「魔王様!一通り説明しましたがご理解いただけたでしょうか?」


やっべー、色々考えてて、なんも聞いてなかった。

俺は鎧を解いてエミュールに向かって聞いていなかったことを誤魔化す。


「魔王様ってなんか恥ずかしいからレオで頼むよ」

「なんと!?かしこまりました。ではこれからはレオ様と呼ばせていただきます」


やっぱ、様は消えないんだ。


「あのさ、ちょっと歴史のこと知りたいんだけど本とかないの?」

「では持ってこさせます」


メイドが一冊の本を持ってきた。俺はその本を手に取り開いた。しかし、全く字が読めない。

いやぁ〜忘れてたな。俺字読めないんだった。


「レオ様、翻訳の指輪というこの指輪をおつけください。…ゔゔん、おそらく字が読めないかと思いまして…」


絶対こいつ今バカにしたよなぁ。絶対したぞこいつー!!今の咳払いとか怪しすぎんだよ!口が半笑いだし!


と、まぁこの件は置いておいて、一応渡された翻訳の指輪をつけて本を読んでみる。



本を読み続けて3日。


ダラダラとよんで分かったことはただ一つ!魔族は人間に先に攻撃をされたから仕返しているだけだということ。それだけ。

えっ?他にもっとないのかって?あるにはあるけどよく分かんなかったんだよね!


玉座の間の扉が勢いよく開く。

いや、だからなんでみんな簡単に開けんのよ!

急いで鎧をまとう。


「謀反です!第9守護者ミラ・コルネロード様が1万の兵を率いて攻め込んできました!」


エミュールが前に出てきて、冷静に命令する。


「全ての門を閉じて!ゲルに1万の兵を率いて足止めするように伝えなさい」

「かしこまりました」


あわわわわ。どうしよ、俺戦いとか分かんないよ。

鎧の下で涙目になりながらエミュールを見る。


「安心してください。全兵の支度が済み次第あのバカな裏切り者の首をとってまいります。時間稼ぎに私の配下のゲルが向かっておりますので大丈夫かと」

「それなら良かったよ。じゃあ俺はお留守…」

「何を仰いますか。レオ様も出陣されるのですよ?」


えっ?うそーん。やだよ。行きたくない。…サボろっかな?

執事が玉座の間に来るなり報告する。


「準備が整いました。では向かいましょう」


俺とエミュールは出陣するべく門の前まで行く。そこには第1守護者のフューレがいた。


「わたくしもお供いたします」


ありがたやー。

今の現状。先陣の1万に、本体4万、援軍5千。城に2万を残して出陣する。

なんか、楽しくなってきたな!


「いくぞぉぉぉ!敵は第9守護者ミラ・コルネロード!!」


俺たち本体は勢いよく出陣する。1時間くらい進むとエミュールが本体を止めた。


「レオ様。ここで作戦を考えましょう。」

「わ、分かった」

「では私が1万を率いて………」


エミュールが何か作戦を言っているが俺はあまり聞いていなかった。何故ならそれよりも俺の作戦が1番良さそうな気がするのだ。


「なあ。エミュール。俺が2万の兵を率いて倒して来るよ」

「しかし、レオ様!」


エミュールは反対する。だがそこにフューレの助け舟が入った。


「よいではありませんか。わたくしが5千を率いて命にかえましてもお守りいたしますので」

「いや、ですがレオ様!いくらフューレがいようとも」


エミュールがなかなか承諾しない。


「大丈夫だってば」


俺はそう言い残すとフューレの5千と俺の1万5千を率いてゲルの元へと向かった。


「こ、これは魔王様!」

「今の戦況を教えてくれないか?」

「はっ!今我々は進軍するミラ様の軍勢に一度応戦し、敵方の兵は8千も満たない事でしょう。」


相手は8千。対して俺たちは合計3万。戦力の差は十分だが、強力な魔族でもいれば一気にひっくり返されてしまう。だからこそ慎重にと行きたいところだが俺は違う。


作戦内容はフューレ率いる5千がまず正面からぶつかる。そしてわざと敗走させる。敗走といっても少し小競り合いをしてからすぐに逃げるということだ。


「あら?ミラ・コルネロードついにおかしくなったのですか?」

「うるさい!黙れ!この裏切り者が」

「裏切り者はどっちでしょうか?」


フューレの軍勢がミラの軍勢に襲いかかる。そして少し戦ったあと、フューレは10分もしないうちに逃げ出す。


「あれあれ?フューレ、怖気付いたの?でも逃がさない」


ミラの軍勢が逃すまいとフューレの軍勢に追い討ちをかけてくる。フューレの軍勢は谷へと逃げ込む。


これは作戦の一部である。狭い谷へとわざと追い込み、飛行、魔法、大軍の攻撃を防ぐことができる。

そして上から2万の軍勢が一気に魔法で襲いかかる。

前へ進もうにもフューレの軍勢。退却しようにも退路も5千の兵にすでに塞がれていた。

ワッハッハ!これぞ俺の一方的作戦!


「よくも、許さない!殺してやる!」


魔法がミラの軍勢にたくさん打ち込まれる。魔法がなりやむとミラの軍勢は残り2千も満たなかった。


「降伏しろ!もう勝ち目はない」

「いやよ!」

「じゃあ…逃がしてやる。フューレ!道を開けろ!そして絶対に攻撃するな。」


俺はフューレに道を開けさせ、ミラを逃すことにした。


逃した理由は…個人的に涙目になるミラを見てかわいそうに思えてきてしまったから。



無事に戦いが終わり、俺らは本陣へと戻る。


「レオ様!ご無事でしたか?」

「あっ、はい。ナントカ」


俺の一方的作戦がうまくいった。昔からズルは俺の得意分野だぜ!

では帰りますか。


俺は退却命令を出し、城へと帰ることにした。


「魔王様、裏切り者を逃してもよろしかったのですか?」


フューレが疑問を投げかけてくる。フューレの疑問も最もだ。裏切り者は潰すべきと考えるのが普通だろう。でも、俺は弱いから正直自分よりレベルの高い人殺したくない。

やっぱ、強い奴がいっぱいいた方がいいじゃん?


「いや、それは、えーと、そう!殺すのは簡単だが仲間にすることが大切…だろ?」


なんとなく誤魔化してみる。


「素晴らしいです!魔王様。そこまでお考えだったとは」

「あははは、当たり前だろ!」

「そんなことよりもレオ様」


えっ?ちょっとエミュール俺が褒められてんの無視!?ひどい!


「レオ様は今のままでは圧倒的に弱すぎます」

「………」

「レオ様」


ちょっとど直球すぎない!?心がボロボロなんだけど!?もっとマイルドに言えよ!


結局俺は雑魚ってことで訓練することになった。

1日目ボコられる。

2日目ボコられる。

3日目ボコられる。

いや!ボコられてばかりじゃねーかよ!


「もういやだぁ!」

「ダメです」

「やめてぇぇぇぇぇ!!!」


4日目ボコられる。

5日目ボコられる。

6日目ボコられる。

7日目ボコられる。

いや!1週間ボコられてるよ!虐待かよ!


そして、事件は起こった。それは突然のことだった。


「大変です!魔王様!」


配下の小悪魔が急ぎ、玉座の間に入ってくる。


「第5守護者のエルド様が勇者に討たれました!」


……えっ?


「勇者はまもなく、この魔王城に到着するとのことです!あと5日、いや3日あれば到着するかと」


えー。勇者…

俺には嫌な思い出がある。それは村に勇者が来た時の話だ。勇者は村で俺の晩飯だったはずの肉まで食っていきやがった。タダでだぞ!?久しぶりの肉だったというのに…。許さない!勇者殺すべし。


「皆に伝えろ!勇者をぶっ殺すぞぉぉぉぉぉ!!」

「かしこまりました」


肉の恨みここで晴らしてやる!



2日後


えっ?勇者?ナニソレ美味しいの?

そう、俺はすっかりと勇者が来ることを忘れていた。


「あぁ!忘れてた!」

「どうされました?勇者が来ることを思い出されましたか?」

「いや、マジなに言ってんのか分かんないんだけど、それよりも!農作業してなかったことに気がついたんだよ!」


エミュールが不思議そうな顔をする。


「農作業…ですか?」

「うん!じゃあやってくるー」

「は、はい。いってらっしゃいませ…」


エミュールはイマイチ分からないまま俺を見送った。

農作業1日目

 穴を掘った。その時にちゃっかり穴の中に剣を上向きに立てて穴を隠す。

農作業2日目

 めんどくさくなったからお肉を焼く。


「そこの君!何をしてるんだ!?」

「どちら様?」

「僕たちは勇者だ!もっとうやまえ!」


うやまえ?なんか難しい言葉使いやがって!だが勇者ってことは分かったぞ!肉の恨み!


そう、俺は今勇者を見て積年の恨みを思い出した。肉を奪われ続けた俺たち農民。奴ら、勇者一行は許さない。


「私の鑑定眼を使ったけどジョブは農民だったわ!」


魔法使いらしき女性が言う。とりあえず俺ら出来上がった肉をさらに置く。


「どうかされましたか?」

「どうしてそのようなところにいるのでしょうか?」


僧侶の女が質問する。だから俺はこう答えてやる。


「ある人に肉を取られた恨みを晴らすため…さ」


少しカッコつけて言ってみたのはいいけどみんなの顔が頭のおかしいやつを見る目になってるよ!なんか恥ずかしいわ!


「そ、そうか。にしてもいい匂いだな」


勇者が話題を変えて近づいてくる。


「うわぁぁ!」


勇者が俺の前にあった昨日作った落とし穴にはまった。

くくくくくく。いい気味だぜ!


何と都合のよい。


「カイト!!」


勇者の仲間たちが叫ぶ。


「あなた!何をしたの!?」

「な、何をしたも何も肉を焼いていただけなのですが?」

「ふざけるなぁぁぁ!!」


魔法使いが俺に向かって上級魔法を連発する。俺はとっさに魔王の鎧をまとう。


「う、うそ」


魔法使いは驚きを隠せない。なぜなら俺は魔法をもろに受けておきながらも平然としているからだ。

当然、俺何もしてないよ?ビビって動けなかっただけ。


「おい!冷静になれ。カイトには勇者の加護がある。そう簡単には死なないさ。たかが落とし穴だぜ?」


戦士らしき大男が魔法使いをなだめる。


「そんなの分かってるわよ!私が驚いてるのは何でこんなたかが農民が私の上級魔法を受けて平気なのかってこと!」


確かに。俺も不思議なんだよなぁ。魔王の鎧だからかな?後でエミュールに聞いてみよ。

俺は腰にある短剣を取り出す。この行為によって緊張感が俺たちの間では漂った。俺は大きく短剣を振りかざす。肉に。


「えっ?」


勇者一行は何が何だかわからないという顔をしている。そんなことを気にせずに肉を食べ始めた。その隙にと思ったのか戦士が俺の首に斬りかかる。が、その時俺は落ちた肉を拾おうとかがんだ。そのおかげか?偶然というべきか?戦士の剣は俺の真上を通る。


あれ?なんかあった?


「俺の剣が当たらないだと!?」


戦士が頭を真っ青にする。その時にちょうどエミュールが到着する。


「魔王様、私にお任せください」

「どうぞ、どうぞ」


俺は戦わない主義だからエミュールに任すのさ!別に怖いわけじゃないよ?


「いやぁぁぁぁ!」


まず初めに僧侶が首をはねられた。そしてすぐさま戦士の胴体を鎧ごとつらぬく。

あわあわあわあわあわあわ、怖すぎルゥー。

魔法使いは腰を抜かしその場にへたれこむ。


「一瞬でしたわね、もっと手応えのある奴はいないのかしら?」


エミュールが炎を放ち、魔法使いの顔を焼き尽くして殺す。

勇者一行全滅。

かろうじて穴から這い上がって来た勇者がその光景を見て絶望する。


「お、おい。みんな…!」


勇者は左腕がもう機能しておらず、お腹からは血がにじみ出ている。

それも当然!俺が落とし穴の中に剣を上向きに刺しておいたから!なんと素晴らしいのでしょう!

俺はゆっくりと近づいていき、首を掴んで勇者を持ち上げる。


「おい!勇者。今まで散々と好き勝手にしてくれたなぁ!今までに行った悪事(俺の肉を食べた)を悔やみながら死ねぇぇぇ!!!」


勇者は涙する。


「すまない。本当は俺たちが悪い(・・)のなんて分かってるんだ。だけど戦わないといけなかった。仕方がなかったんだ」


えっ?何言ってんの?こいつ。意味わかんねぇよ!

俺は持っていた肉用を食べるようの短剣で勇者の首をかっ切った。

その瞬間血吹雪が舞った。


ドサ。


勇者の死体が地面に転がる。俺はその死体を丁重に…丁重に…

って切ねぇよ!かてぇよ!


「エミュール後よろしく!」


やりなげになってエミュールに全部任す。するとエミュールが切り取った首を王国に送りつけてくれた。俺何も命令してないけど。




その日、世界に恐怖が走ったが…レオはそのことに気づいてはいなかった。




ーーここから後に100年後も1000年後も忘れられることなく語り継がれる大魔王が誕生したのであった。


読んでくださってありがとうございました!

ぜひ、ブックマーク、ポイント、レビュー等をよろしくお願いします!


……お願いします。どうか…どうか…。


連載のハイファンタジーも書きたいなぁ何て呑気に考えてます(°▽°)

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[良い点] テンポが良く読みきりやすい [気になる点] ギャグの場面は好みが別れるかも(私は好きです) [一言] テンポが良く読みやすかったです。
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