愛の定義
私、愛って顔で決まると思うの。
だって、カッコイイ人といたらドキドキするし、一目惚れって顔が好みだからするわけじゃない?
だから、私の今好きな人は、とってもカッコイイのよ!
で今日、告白して付き合うんだっ、絶対うまくいくよね?
だって私、こんなにかわいいもの!向こうも好みの顔に違いないわっ!
あっ、来たわ。
「顔が好みなので好きです、付き合ってくださいっ!」
私、愛って性格で決まると思うのよ。
やっぱり愛は顔じゃないわね、この前振られたのだって私の考えが間違っていたからに違いないわ!
だって顔が良くても性格がよくなきゃね、その後も一緒に生きていくんだから。
だから、私の今好きな人は、とっても優しいのよ!
この前まで好きだった人は、きっと勘違いだったの。愛を知らないから間違えたのね。
だから私の初恋は今から始まるのよ、そうに決まってるわ。
で今日、初恋の人に告白するの、そして付き合うのよ!次こそは上手くいくわ。
だって私、こんなに優しいもの!向こうも私を、優しそうだなぁって思っているに違いないわっ!
あっ、来たわ。
「あなたの優しい性格だけが好みです、優しい私となら上手くやっていけると思うの。付き合ってくださいっ!」
また振られたわ・・・
愛は性格じゃないって言われたわ。
顔でも性格でもないなら、何が愛だっていうのよっ!?
・・・分かったわっ!!
愛っていうのは多分、顔と性格の両方で決まるのよ、今度こそ間違いないわっ!
あっ、あの人っ!?
とってもかっこいいわ・・私の好みの顔してる。
しかも今、迷っているような人に道を教えているわ、優しい・・・
あの人が私の愛の相手に違いないっ、そうに違いないわっ!だから今まで振られてきたのね、私。
それなら・・今から告白してくるわね。
「ちょっといいですか・・・?」
「?・・なんでしょうか?」
「はい、今パッと見かけて顔が好みでした、しかも困っている人に親切にしてて優しそうです。顔と性格が好みなので付き合ってくださいっ!」
「・・・」
「・・・あのっ」
「すいません、何言ってるのか良く分かりません。そういうの・・やめていただけますか?」
「・・・えっ」
訳が分からないわ、また振られた・・・
いったい私の何が間違っているっていうの、顔でも性格でもその両方でもないなら、何が愛だっていうのよっ!!
・・・そういう事ね・・
間違っていたのは私じゃなかったのよ・・
今までの奴らが愛を知らな過ぎて、それで・・
はぁー・・やってらんないわね、もう愛なんてどうでもいいわよ。
「っ!?いたっ!」
最悪・・・・なんでこんなとこにビンが落ちてるのよっ、おかげで足、くじいちゃったじゃないの・・・
もうやってらんないわ・・
「あのーっ・・・大丈夫でしょうか」
「・・・何か?」
何よ、この冴えない男は。
「いえ、今ケガしたんじゃないかと・・・近くの病院まで運びますよ」
「・・・えっ」
「今日は早く帰れそうだよ」
「ほんとっ!嬉しい!!」
「じゃ、いってくるよ」
「はい、行ってらっしゃい、あなた」
あれからどれくらいたったかな?あの人と出会ってから。
あれから毎日がとても幸せで、この生活はとてもかけがえのないものになってるなぁ、って思ったりする。
ホントに幸せで、ホントに楽しいよ。
「さてと、じゃあ今日の夕飯は豪華にしちゃおうかなっ」
・・・ところで、昔は必死に何かを求めてたような気がするけど・・なんだったっけ?