ある夢の話
俺は勇者だ。
勇者って知ってるかな?悪い奴らをぶっ倒して平和を守る、いうなれば正義の味方さ。
最近も王国の平和を脅かした魔人をぶっ倒したところなんだぜ!
そしたら、王様から莫大な報酬と、姫様をもらっちゃったよ、
まいっちゃうなー。
・・・で、そんな俺なんだけど、最近変な夢をみるんだ、
そこで俺は、全身黒くてビシッとした服を着て、四角い鞄を持って、動く箱に載ってるんだよ。ビックリしちゃうだろ。
今日の夢はそこまでだったな。
今日も王国の平和を守ってきたよ、疲れたなー。
でも帰ったら奥さんの笑顔があるとホントに癒されるよ、友人も俺の奥さん見ると驚くんだ。
そりゃそうか、この国の姫様だもんな!
王様からは近衛隊長をしてくれないかって頼まれたけど断っちゃったよ、
だってさ・・やっぱり民の平和を守ってこその勇者だもんな。
・・・で、やっぱり今日も夢を見たよ、この前の続きみたいだった。
この前の動く箱に乗ってたどり着いたのは、人がいっぱいいる大きな建物だった。
そこでいつも通り・・・いつも通り?
んー・・まぁいいや。
とりあえず、そこで俺は仕事をしてるみたいだった、
色々な情報をまとめる仕事みたいだ。
やっぱり敵をぶっ倒すのは全然違って、難しいなーって思ってたら目が覚めたよ。
あぁーっ腹立つな!!!
今日も夢を見たんだけど、なんかいきなり変なおっさんに怒られたんだよ、仕事中に何寝てるんだよってな感じでさ。
わけが分からないよね?
ま、夢だからしょーがないかなぁ・・と思って我慢したよ。
・・・でもまた怒られたら、俺ちょっと怒っちゃうだろうなー・・あーあ勘弁してほしいぜ、まったく・・
あ、もちろん、そのあとは大人しくたよ、今回の夢は長くてさ、夢の中で寝たら夢が覚めたんだ。
今日も夢を見たよ
またあの夢だった・・・
また今日もあの夢を見たんだけど・・・
また今日も・・・
あれから毎日毎日同じように仕事して同じように怒られる夢を見続けてる。
今も夢の中なんだ。
でさ、毎日変な夢を見るせいで勇者としての仕事でミスしちゃうことも増えてさ・・・ホントまいっちゃうよ。
だから今日は夢の中で毎日毎日怒鳴り散らしてくるあいつをぶん殴ってやったぜ!
あいつ、ポカーンとした間抜け面でさ。思わず笑っちゃったよ。
ま、殴ったっていっても、どうせ夢の中だからな・・・すぐまた目が覚めるでしょ。
あっ、なんか他の奴らも出てきたな!
「お前っ!何てことしてるんだっ!!」
あいつは、俺が怒られてる横でニヤニヤしてたやつかな、
「これじゃお前もタダで済まないぞっ!分かってるのか!!」
あいつは、あのおっさんと一緒に上から目線で説教してきたやつだったな、
どいつもこいつも分かってない、俺は勇者なんだぞ、って言っても夢の中じゃしょうがないか。
にしてもムカつくな、
そう思った時にはもう殴ってたね。
ま、ここでは何をしても大丈夫!だって夢の中だからねっ!
俺は今、夢の中で牢にいる。
夢の中とはいえ、人を殴っちゃったしな、しょうがないか。
どうせすぐに向こうが悪いんだって分かって解放してくれるでしょ、なんたって俺は勇者だからねっ。
・・・あっここでは違うのか、めんどくさいなぁ・・・
でも、どのみちもうすぐ目が覚めるでしょ。
なんか今回の夢はやたら長いけど・・どうせ覚めるんだから早くしてほしいよな。
あれから結構経ったけど、まだ俺の夢は覚めない、
もうそろそろ飽きてきたから早く覚めてほしい、じゃないと王様が乗り込んでくるぞ、俺の仲間も黙っちゃいないしなっ!
姫様も悲しんでるかなぁ、早く帰りたいなぁ・・
「囚人に異常はないかっ!」
「はっ!以上ありません。」
「よろしいっ!!では皆、持ち場に戻るようにっ!」
「はっ!了解しました!」
「あいつ、また独り言つぶやいてたのか?」
「あー、あいつか・・まただよ。勇者がどうたら、姫様がなんたら・・・とかな」
「あいつは、もうずっとあんなんだよ。暴行罪だったか?ショックですっかりイカレちまったんだろ」
「いや、あれはショックでイカレたっていうより・・そうだなぁ・・・」
「夢と現実の区別がついてない、か?」
「それだっ!」
「ハハハッ!!まぁ俺達には関係ないだろ」
「そうだな、じゃ行くか」