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あの頃の空は群青だった

作者: 那珂さん

 あの夏もこんな感じだっただろうか、もっと色鮮やかで耳に入る音だってもっと澄んでいた気がする。あの夏はどうだったとか、そんなもの全部記憶補正がかかって素晴らしくてまぶしい、限りなく本物に近くて、それでも本物ではない過去を創ってしまっているだけかもしれない。

 記憶の片隅に残る「君」との夏の思い出だって本当は創られたものであって実際はまったく違う夏をすごしていたのかもしれない。おぼろげに思い出せはするものの、大事な記憶の登場人物をそう簡単に忘れるものか。暑さで茹で上がってしまった頭の中をグルグル巡っている思考に耳を傾けていたらまたひとつ「思い出の場所」に着いてしまった。4箇所目のここでも何かを掴むことはできなかった、もちろん君がいるわけでもない。

「ひとつまみの幸福ってプチ幸福じゃなくてほんの一瞬しか味わえないような幸せのことだったり」

 もやのかかったような不鮮明な君が言う、それならもうひとつまみ、いや、つまみ損ねたひとつまみにも満たないぐらいでもいいからもう一度その幸せを味あわせてほしい。

 あのときよりどこかくすんでいて輝いていないこの夏で、あの夏の君の影を探している。

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