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伸びる道の先で小さな子供が走り回っている。
私はそれを見つめ意地悪な笑みを浮かべて、ねぇと声をかけた。
「あのくらいの子供の時もそんなにおませだったの?」
急になんだよと首をかしげる彼を余所に、私はころころと笑う。
あの子供は一体何者だったのか、ありえないような考えが頭に浮かんでは消えていく。
彼の幼い頃の姿なんて、どんなに熱く語ったって証明できっこない。
わかっているのは、これが確かな現実だということだけだ。
「ありがとうって言い損ねたなぁ」
私はそう言って胸元に手を当てた。
勝手に賭けの対象にされていたネックレスはほのかに暖かい気がした。
「ありがとうって、誰に?」
不思議そうな彼の顔を盗み見て、私は笑みを零した。
彼にこの話をするのは、もう少し後でもいいだろう。