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ある土曜日  作者: hyo
6/7

06

夏だった、と思う。

彼はすごく汗をかいていた。

いや、汗っかきの彼なら、厚着をしすぎた冬の日でもこれくらいの汗をかくかもしれないけれど。


去年か、それとも一昨年だったか、あの日もこうやって並んで歩いていた。

映画を観た帰りだった。

何を観たかはもうよく覚えていない、いつものありふれた1日だった。


そう思って油断していた所に、思い返せばこっちも少し恥ずかしくなるような軽快なステップで、彼は私の前に躍り出た。


誕生日プレゼントといって手渡されたものは、綺麗に装飾された長細い箱だった。

毎年誕生日はお互いを祝い合っているからプレゼントが出てくることには驚かなかったけれど、お菓子以外のものをもらったことなんてあったっけ。

そんなことを考えながらその場で包装を解くと、それはシンプルながら可愛らしい、ハート型のネックレスだった。


ちらりと彼を盗み見てみると、彼の緊張状態はまだ続いている。

私は早速ネックレスを取り出すと、彼に手渡してくるっと背中を向けた。

動揺する彼に早くとねだる。

彼はいかにも慣れていない手つきでなんとか付け終えると、私の肩をポンッと叩いた。


「うん、似合ってる」


私がくるっと振り向くと、彼は確かめるように呟いた。


今の彼の顔は、あの時の顔にそっくりだった。

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