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ある土曜日  作者: hyo
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04

おもちゃ屋にでも行くのかと思いきや、連れられた先はアクセサリーショップだった。

ショッピングモールの3階、隅っこにひっそりと佇む小さなお店だ。

このショッピングモールには度々買い物に来る私も、少し若者向けなこの店には1度も入ったことが無かった。


少年は所狭しと立ち並ぶショーケースには目もくれず、戸惑う私もそっちのけに店員に話しかける。

店員は何を言われたのか、そそくさとカウンターの裏へ向かい何かを探し始めた。

何か取り置いているのだろうか。


「ねぇねぇ、わたしあんまりアクセサリーとか付けないんだけど。」


「だからこうして僕が選んでるんじゃない。自分じゃ絶対に買わないでしょ?」


確かに買わないけど。

そんなやり取りをしている間に、店員は白い箱を1つ手に持って戻ってきた。

蓋を開け少年に見せると、少年はわざとらしいくらいに大きく頷いてそれを私に見せてきた。


青の紐にシルバーの小さなハート、飾りっ気はないが十分に可愛らしいデザインだ。


「私、これどこかで……」


何となく見覚えがある気がした。

自分で買うはずか無いということは、以前誰かから貰ったのだろうか。


「今日のお姉さんに似合ってると思うよ!」


無邪気な少年の笑顔に押され、何故か見覚えのある不思議さも相まって、気付けば購入してしまっていた。

意外といいお値段で、完全に予定外の出費で財布が震えている。


少年は購入したばかりのそれを私から奪うと、付けてあげると顔で訴えてきた。

私は言われるがまま少年に背を向けて、背丈に合わせてその場にしゃがんだ。

するりと胸元にシルバーのハートが降りてくる。

留め金を止めるこそばゆい感覚もほんの一瞬で、少年が手を離しネックレスの重みが首にかかるのがわかった。


そして私は、次に少年がする行動も分かっていた。

全て思い出した。

この見覚えのあるネックレスは、あの人から。


ポンッと両手で背中を叩かれる。

付け終わった合図だ。

私は立ち上がり振り返ると、そこにいるはずの少年は忽然と姿を消していた。


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