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剣と魔法とオームの法則  作者: なまぐさぼーず
第ニ章 奴隷を手に入れた!
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設計規則を守りましょう

所持金 金貨198枚 銅貨2枚


翌朝、俺はビビった。

何がってユリスにだ。

明らかに昨日より肌が綺麗なのだ。心なし肉付きもよくなり、目もパッチリしている。

なんていうか、端的に言うと可愛くなっているのだ。

俺の気のせいではないようで、ユリス自身がびっくりしていた。今までたりなかった栄養が行き渡り、体が頑張っちゃったんだろう。

若さってスゲ〜。

でも、ユリス。自分の顔を鏡で見て「ゲッ」とかいうのはどうなんだ。


朝食はいつも通り下の食堂で食べる。

汚さないようにサンドイッチにしてもらった。

早速、マナー教育(と呼ぶほどものではないが)として、食事に一つのルールを課した。それは、俺より早く食べてはいけない。と、いうものだ。

だから、俺が最初のサンドイッチを食べ終わるまで、ユリスは次のサンドイッチを手にとってはいけない。

俺が食べ終わるのをエサ待ちの雛のような目で見られて、少し食べずらかった。


食事を終えた俺たちは街に買い出しにでる。服を揃えるためだ。ユリスは全然持っていないのでもちろんだが、俺も服はあまりない。イリーのところで貰ったものを着まわしている。商人として、商談に来ていける服が無かったので、この間の契約は少し恥ずかしかったのだ。


取り敢えず広場に面した洋服店の前まできた。

ぱっと見だが、この辺で一番大きな服屋ではないだろうか。

日本の様に建物の外には陳列されていないのでどんな服があるかはわからない。

「この店でいいか?」

「え?」

「ユリスの服を買うんだ。この店でいいか?」

「ふ、服を買っていただけるんですか?で、でも間違ってます。ここ古着屋じゃ、ないです。」

「なんで古着屋なんだ。下着も買うのに古着なんて嫌だろう。」

「で…でも…、新品の服なんて…。」

そうか、奴隷にあまり新品の服などは与えないのか。言われてみれば、そうかもしれないが、下着にお古を買い与えるのも現代日本人としては抵抗がある。

「いいから。いくぞ。」

しぶるユリスの背中を押してお店に入ると、店員に声をかけた。

「彼女の服を上下揃えて3着分。あと下着と靴下を見繕ってもらえるか?」

「この奴隷の…でございますね?」

ん?なんか店員の対応にちょっと険があるかな?

「あまり奴隷に服は着せないものか?」

奴隷、に対する一般常識がないのでとりあえず聞いてみた。

「いえいえ、そんな事はございません。奴隷とはいえ、あまりにも見すぼらしい格好では主人の品格が疑われます。ですが…」

ちらりと店員はユリスを見る。ユリスは俯いている。

…彼女の顔の傷のことか。

傷のある顔で着飾っても…と言いたいんだろう。

…何故だろう、カチンきた。

「…すまない。邪魔をした。」

「あ、お、お客様っ?」

多分普通の事なのだろう。だが、買う気にはならなかった。

ユリスの手を引いて足早に店を出る。


「ご主人様、どうしたんですか?やっぱり服は買わないんですか?」

「馬鹿、そうじゃない。あんな事言う店でかえるかっ。」

「え?でも本当の事です…。」

ユリスがまた俯向く。

そんかユリスを立ち止まらせると、俺は彼女の両肩をつかんだ。

「いいかユリス。今日のお前は昨日より綺麗だ。」

「えぇっ⁈」

「明日は多分もっとキレイになる。だから、そんな私なんかなんて考えるな。」

……

ユリスがポカンとしている。

…しまった。やり過ぎた。

「と、兎に角。別の店で買おう。いいだろ?」

「は、はい。…はいっ」


次にはいった店は先ほどよりまこじんました店だ。15歳くらいの女の子が品物の整理をしている。少し奥に同じくらいの年の男の子が革細工に勤しんでいる。先ほどの店のような高級感はないが、素朴な衣服と革製品を商っているようだ。

「いらっしゃいませ。」

女の子のほうが声をかけてきた。

「彼女の服を見繕ってほしいんだ。」

「こちらの方のですか?」

「あぁ、問題あるか?」

「いえ?喜んでお売りしますよ。」

そう言って、店員の子はにっこり笑った。

よかった。ここは大丈夫そうだ。

「そしたら肌着を4揃え、あとスカートとズボンを1着ずつ。あと上着になるものも二つ。取り敢えず今後の季節にあったものにしてくれ。あと旅着になるような丈夫なものがいいな。」

「わかりました。お色の好みとかはありますか?」

「ん〜、彼女と相談してもらいながら決めてもらえるか?銀貨5枚くらいで抑えてもらえると助かる。」

「かしこまりました。」

「ユリス」

「は、はい」

「店員さんに服を選んでもらってくれ。好きなの選んでいいから。」

「え…その…」

「いきましょっ。まずはスカートから。自慢の品があるんですよ」

と、とまどうユリスを店員さんは手を取って引っ張っていってくれた。空気の読める子だな。

奥で服を選んでいるユリスは戸惑いながらも、手を引かれるがまま店の奥に…。


そんな2人を見送り、俺も自分の物を物色する。

自分も肌着を何着かと、旅に備えて外套も必要だな。あ、ユリスに靴も買わなくては。

「なぁ、君。ここは靴なんかもあるのかい?」

奥で革細工をしてる男の子の方に声をける。

「ありますよ。そこの棚の下に並んでます。」

言われた所に靴はならんでるな。靴下になりそうなのもある。ユリスが来たらコレも合わせないといかないな。

「この店の品は君が全部?」

「いえ、洋服関係は妹のジーナが。俺は革製品を作ってます。」

「2人で全部?ご両親は?」

「両親は去年流行病で。元々父と母のお店だったんです。」

「そうか、それは悪い事をきいたな。」

「いえ…あの子、奴隷なんですよね?」

男の子が聞いてきた。

「そうだが?どうかしたかい?奴隷だと商品は売れない?」

「まさか。むしろ逆です。俺たちもいつ奴隷になるかわからないから、大切にされてる奴隷を見るとホッとするっていうか。」

…あぁ。そういうことか。

やはり子供2人でお店を切り盛りするというのは相当大変なんだろう。

「お店は苦しいのかい?」

「楽ではないです、正直。材料の卸も子供だと思ってふっかけてきますし。でも、技術は自信があるんです。親父たちに叩き込まれましたから。」

たしかに、並んでる製品はどらも素朴だがしっかりとした作りだ。使う人の事もよくかんがえられている。

「そうか。俺もここにいる間はご贔屓にさせてもらうよ。よろしくな。」

「は、はい。宜しくお願いします。

そう言って男の子は初めて笑った。年相応のあどけなさが残る笑顔だった。

しかし、材料の卸しか。

うまく仕入れられれば俺が卸せないか?

流通に下手に割り込むなとは言われているが、相手がぼったくっていると言うなら、適正価格に戻すだけだ。文句を言われる筋合いはない様に思う。

それとも、俺が商品を買い上げて売り歩くか。

でもさすがに運送費をプラスして売るのは苦しい。魔法をかけて魔法の服なりにすれば…


と、妄想に耽っていると、ユリスが服を抱えて帰ってきた。なんか興奮しているようだ。

「ご、ご主人様。ほ、本当にこんなに買っていいんですか?」

嬉しいというよりも、なんか不安そうだ。

「あぁ。それと靴を選ぼう。そこにあるからサイズを合わせて。」

「は、はい」

そう言って靴をえらびだす。

他に俺とユリスの外套と小さめの鞄を2つ買った。





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