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剣と魔法とオームの法則  作者: なまぐさぼーず
第ニ章 奴隷を手に入れた!
10/66

Phase locked loopな夜伽話し

所持金 金貨8枚 銀貨2枚 銅貨13枚


アレから一週間がたった。

その間は宿でゴロゴロと過ごしてしまった。

まぁ、正確にはラッセンさんとの契約前だから、まだ俺がマッサージ玉の販売をしてもいいような気はするのだが、間違いなくいい顔はされないのでやめておいた。

急にマッサージ玉の販売が止まり、少し混乱も生じているようだが、まぁ、仕方がないだろう。別に生活必需品ではないし、それも含めてラッセンさんになんとかしてもらおう。

ということで部屋でゴロゴロと魔法の研究をしていた。


そんな折、契約書が出来たので、正式に契約を結びに来て欲しいという連絡があったのでギルドに出向いた。

そこではニコニコフェイスのラッセンさんがいる。やっぱこの人胡散臭い…。

実務レベルの引き継ぎはすでに担当の魔法職人さんと済んでいる。

マルチバイブレータタイプと反転帰還タイプ、どちらも、少し振動の仕方が違うので両方教えておいた。勿論、今回教えた反転帰還タイプもリミッターとローパスフィルターは入れている。

今は書類の読み上げ、細かい擦り合わせを行っているが、正直抑えるべき勘所もよくわからないので、殆どラッセンさんに言われるがままになっている。

話も一段落し、お茶を飲んで休憩中していると、ラッセンさんがふと立ち上がった。

「そうそう、司法局からこれをあずかっていたんです。」

そういって、一つのカバンを渡してくれた。

お、俺のカバンをだ。

ベルーナの倉庫に置いてきた奴だ。

慌てて中を確認する。…よかった、お金以外は全部入っていた。

まぁ、大したものはないのだが、衣服類が無事なのは助かる。

「結局、ベルーナは犯罪奴隷になるようです。まぁ、彼の体力では鉱山奴隷にになったとて、半年も持たないでしょう。」

男の奴隷、しかも働き盛りを過ぎたような奴隷は鉱山なんかの危険な場所に送られて使い捨てられるのが基本らしい。

怖いねぇ。

「それでですね。ウィル君に司法局から渡してくれと言われたものがもう一つあるんです。」

「と、いうと?」

すると、トルテさんが女の子を連れて入ってきた。あの時の奴隷の女の子だ。

「あぁ、良かった、無事だったんだね。」

と、俺が言うと彼女は彼女は正座し三つ指をついて頭を下げた。

「この度は、我が主人の所業のせいで、尋常ならざるご負担をおかけいたしましたこと、主人に成り代わりましてお詫び申し上げます。斯くなる上は主人に成り代わりましてあなた様の罰を受ける所存。どうぞこの身をいかようにもお使いくださいませ。」

え…

なにこのシチュエーション。

俺、人生で女の子に正面切って土下座された事ないわけで、どうすればいいかわからないんだけど。

俺が困っていると、ラッセンさんが説明してくらる。

「司法局によると、今回のようなケースの場合。加害者の財産の半分があなたのものになるそうなんです。ですが、ベルーナの場合ほとんどが借金の返済で消えてしまい、財産と呼べるものがこの奴隷の娘くらいしかなかったのだそうです。また、慣例なのですが主人が罪をおかした場合、被害者の所に奴隷が赴き、代わりに被害者からの意趣返しを受けるというのごあります。これは殺される事もあります。また今回の場合、主人であるベルーナが奴隷になってしまいました。奴隷は奴隷を持てませんからこの娘も主人がいない状態になります。そこで、今回は被害にあったウィルさんの損害が大きすぎますので、弁済金としてこの奴隷をそのままウィルさんにあずけることになったのです。」

なったのです。…と、いってもなぁ。

奴隷をのユリスさんはまだ土下座のままだ。

と、よく見たら震えてる。

そうか、さっき意趣返しとか、殺されるとか言っていたもんな。

「な、なぁ」

安心させようと声をかけるとビクッと彼女の肩が動く。

「仕返しなんてしないから顔を上げてくれ。」

そういうと、彼女は少しほっとしたように顔を上げた。少し目に涙がにじんでいる。

「受け取らない場合はどうなるんですか?」

「その場合は、規定どおり彼女が奴隷を商人に売却され、その値段の半分がウィルさんに支払われます。ですのでいらないという場合でも、一度受け取ってからご自分で売却されたほうがよろしいかと思いますよ。」

「えっと、彼女はどうなるんでしょう?」

「どう…とは?」

「いえ、奴隷商人に売られた後は。」

「ふむ、そうですね。」

ラッセンさんがまじまじと彼女を観察する。

彼女は顔こそ上げたがまだ正座のままだ。

「顔に大きな傷もありますし、性奴隷というのも難しいでしょう。まぁ鉱山奴隷か、場末の奴隷娼館というところでしょうか。」

「お、女の子でも鉱山奴隷とかあるんですか?」

「えぇ、まあその場合はいろんな意味が出てきますが。なにせ男奴隷ばかりの所ですから」

うぅ…聞かなきゃ良かったったかも。

「奴隷の事でも気にやむんですね、ウィルさんは」

トルテさんがそういってにこりと微笑んだ。

「普通はこんなに悩まないものなんですかね?」

「そうですね。まぁ見慣れた光景ですから。知り合いが奴隷落ちしたとなればまた別ですけど。」

そうか…やっぱこの世界はそれが普通なんだな。

「でも、間違いなくウィルさんが引き取るのが、奴隷にとっても一番いいと思いますよ?」

「…はぁ」

「では、そういう事で。売るにしろ連れて帰るにしろ奴隷商人のところで正式な奴隷契約を結んでください。この書類を渡せば無料でできますから。」

そういって、封筒を渡された。

やけに重く感じる封筒だ。

「さて、では商売の話にもどりましょうか。トルテ、彼女を外に。」

トルテは言われるがままにユリスを連れて外に出た。

「さて、最後に支払いですね。いかがいたしましょう。金貨190枚ご用意できてはいますが、為替のほうがよろしいですか?」

「為替はどこのギルドでも換金できますか?」

「ええ、可能です。流石にこの金額をまとめて換金できるところは少ないですが一部ならばどこの支部でも可能です。」

「わかりました。では為替にしてください。」

「承知いたしました。少々お待ち下さい。」

ラッセンはサラサラと為替の証書をつくるとギルド長の印を押す。

続いて金庫から証書をだし、赤いビロードでしつらえた台の上に置くとそれを俺の目の前に置いた。

「では、これにて支払いです。ご確認下さい。」

証書には確かに金貨を190の文字。問題なしだ。

「確かにっ」

そういって俺は支払いを受け取り、サインをする。

それを、確認し、ラッセンは立ち上がりこちらに手を差し出す。

「今回は非常によい商売ができました。ありがとうございました。」


ニコニコ


いつもの鉄壁営業スマイルだ。俺も負けじと立ち上がり笑顔をみせる。

「こちらこそ、色々勉強になりました。ありがとうございました。」

そう言って俺はラッセンの手を力強く握り返す。


いや、本当に色々勉強になった。


-------



「ご主人様…」

商人ギルドを出ると後ろから声をかけられた。振り返るとユリスが立っている。あの時よりはきれいだがやはりワンピースというよりはずた袋を頭からかぶったような服装だ。靴は履いていない。手には小さな手提げを持っている。俺は本当に奴隷を持ってしまったのだ。

「その袋は?」

「はい、替えの下着が入っています。この服と一緒に新品の下着をラッセン様にいただきました。」

そういうと、かすかにユリスは嬉しそうだ。

って、持ち物これだけかよ。

とりあえず奴隷商人の館に向かう。ユリスとら俺はまだ仮契約状態で、奴隷商人の館で正式に契約をする必要あるのだとか。

ギルドを出る前にトルテから、契約だけは早くやったほうがいいと繰り返し言われた。そうでなければ奴隷とはいえかわいそうだと。

どういう事か聞いた所、主人なしの奴隷を状態というのは全くなんの保証も無いのだと言われた。奴隷の保証とはなんぞやと思ったが、それは主人の持ち物だというステータスだ。奴隷に人権はない。だが、奴隷の持ち主には当然様々な権利がある。つまり人の奴隷を傷つけたり殺したりしたら立派な財産権の侵害だし、勝手に連れ出せば泥棒となる。逆に主人なしの奴隷はひどい話だが何をしてもいいという事になる。だから、奴隷は主人なしの状態になったら誰かに見つかる前に街を逃げ出すか、奴隷商人の所に逃げ込むらしい。意外な事だが奴隷商人な館は奴隷にとっては唯一の安息の場なのだとか。

ユリスも気になるのだろう。首輪を、さっきから手で隠している。主人のいる奴隷首輪は宝石が青く、主人なしの奴隷の首輪が宝石が赤くなるらしい。そして、さっき見たユリスの首輪は赤く光っていた。

俺はユリスの手を引いて一目散に奴隷商人の館に向かった。


奴隷商人の館はもっと陰鬱な感じかと思ったが意外と明るい建物だった。すこしケバケバしいと言ってもいい。

建物に入るとそこは高級サロンのような内装だった。そこの真ん中おいてあるソファーにサル顔の男が腰かけている。

「いよぉ、いらっしゃい。奴隷商人のゼンだ。今日はどんな奴隷をおさがしですかい?」

うん、見た目もそうだったけど、中身も軽そうなおとこだな。

俺はユリスの経緯を話して、預かっていた書類も渡す。

「なるほどね。じゃあ、とにかく正式に契約しちまいましょう。そうしないと何も始まりませんぜ?」

「登録料は?」

「今回は役所から出るので、お客さんは気にしなくて大丈夫ですぜ。では、これを…」

そういうと、ゼンは俺に針を取り出した。

「わるいんですけど。ちょっとだけ血をもらえますかね?」

おれは針を受取り、指先を軽くさす。すぐに血が出て赤いドーム状になる。

「そしたらその血を奴隷の首輪の赤い宝石につけてくだせぇ。」

言われた通りに血を付けた瞬間、身体のなにかが、赤い宝石に流れ込むような感覚がある,。

「よし。オーケーだ。そしたらいまから定着させますぜ。」

そういってゼンが首輪を、両手でもつとなにかのスペルを唱えた。

今まで赤々としていた首輪の宝石が青く光りだす。

「これで契約完了ですぜ。あと、奴隷の扱いについて何点か。

まず奴隷は人権がありやせん。正確には人権を他者、まぁ通常は所有者に売り払っていやす。ですので財産はもてません。腹の中に入れたもの以外はすべて所有者のものになりやす。あと所有者はその奴隷の人権をを掌握する代わりに、奴隷の衣食住は保証しなくてはいけません。最低限の食事と衣服、睡眠は与えてやってください。あと殺してもいけませんぜ。あまりにも奴隷を殺したり、餓死させたりという事が続くお客様には、我々も奴隷の販売をお断りする事がありやす。以上ですが、なにか質問とかはありますかい?」

「えと…彼女を奴隷をからか解放するにはどうすればいい?」

「…おや、本当に奴隷の扱いをご存知ないと見える。少々お待ちを。」

そういってゼンが2度手をたたく。すぐに中年の女性が出てきた。首輪をつけてる。彼女も奴隷か。

「お呼びですか?ご主人様。」

「ああ、彼女を隣の部屋に移せ。」

「かしこまりました。ご主人様。」

すると彼女はユリスを促し部屋を出た。

あとにはゼンと俺だけが残る。

2人が出て行ったの見送ったゼンはこちらを振り向く。

「旦那、まず基本だが、解放の方法云々を奴隷の前でするのはご法度だ。」

「そういうもんなのか?」

「余計な知識は、余計な妄想をうむんでさ。それはどっちにとってもハッピーじゃない。半端な希望は残酷なだけってもんです」

そういうものなのだろうか。

「さて、先ほどの質問の件ですが、まずシンプルなのは奴隷所持者が奴隷を解放を認める場合です。我々奴隷商人に手数料をはらっていただけらば解放されます。たまに奴隷に本気で懸想して、結婚しようとする人なんかが行いますね。あと長く勤めた奴隷に感謝して、なんてのも聞かない訳じゃないですが、まぁレアです。」

ちなみに、手数料は金貨を1枚だそうだ。結構高いな。

「あと、奴隷が自分の力で自分を解放する方法です。こらは自分の金額を、自分の所有者に支払えば解放されます。この自分の金額というのは、その主人が奴隷を買った時の値段ですね。あと通常の奴隷取引と違って、所有者もこの取引は拒否できません。まぁ、そうはいっても奴隷には財産権が認められていませんから中々難しい話です。たまに貰えるお小遣いをコツコツこっそりと貯めるか。旅をしてる戦闘奴隷なら魔物の素材をこっそり持ち帰って売りはらうとかですかね。ちなみにウィル様がお連れになった彼女の値段は…、金貨を17枚ですね。あぁ、でもこりゃダメだ。」

ゼンが俺の持ってきた書類の見ながら頭を振った。

「結論から言いますとこの娘は解放は出来ません。」

「何故だ?申請すればいいんじゃないのか?」

「ええ、普通の奴隷はね。彼女の場合は犯罪奴隷ですので、刑期を終えるまでは解放できないんですよ。あと…刑期は5年残ってますね。」

「刑期って、なにか犯罪を犯したのか?」

ゼンが書類のパラパラとめくる。

「ええっと…、彼女が奴隷落ちしたのは5歳。ハハッ、筋金入りの奴隷ですね。犯罪といっても、彼女の場合は親か親戚のとばっちりってとこでしょう。細かい事は書いてないんでわかりやせんが、結構良いところのお嬢さんだったようです。まぁ。さしずめお家騒動に巻き込まれたってところでしょうね。」

そんな小さい頃から…

ちょっと想像が出来ない。

「話しを戻しまして、あとは戦争ですね。基本、奴隷に徴兵制はありませんが、本人が望めば参加できます。戦争で手柄を上げれば奴隷の身分から解放されることもありやす。」

ゼンの話しをなんとなく聞き流しながら、俺は考えていた。

ユリスは奴隷解放出来ない。

少なくともあと5年は。

売りはらうか…連れてくか。




奴隷商館を出た俺たちは、すぐに宿屋に帰った。部屋に着くなり俺は取り敢えずベットに倒れこむ。

ああ、このまま眠りたい。

と、いうわけにもいかないか。

部屋の入り口にユリスが所在無げに立っている。

歳は17らしい。実際より幼く見えるのは、多分まともに栄養を取ってこなかったせいで体が小さいからだろう。腕も足も異様に細い。顔を土気色で、頬も眼窩もくぼんでいる。肌はガサガサにだ。

服装は相変わらず裸足で貫頭衣だ。

…靴くらい買ってやればよかった。

髪を前に垂らして顔を隠すようにしている。

よく見ると、腕や足にも傷痕があるな。

「取り敢えず座りなよ。」

俺がユリスに声をかけると、はいと言ってその場に座る。

…いや、椅子にって意味だったんだけど。

……

……

間が持たん!

「ユリス、食事に行こう。」

「はい」

俺はとりあえず下の食堂に向かう。


席に着くとユリスは俺の左後ろに立った。

「って、ユリスも座ろうか。」

「ここに…ですか?」

て、また床に座るつもりかっ。

そんな所に座られたら邪魔だしょうがない。

それはユリスにもわかるのだろう。少し座るのをためらっている。

「違うよ。向かいの椅子に座るんだ。」

「はい、わかりました。」

やっと普通に座ってくれた。

と、店員のルーシアさんが注文を取りに来てくれた。

「ん?この子は?」

「いや、ちょっと故あって引き取ることになったんです。」

「奴隷だろ?この子。」

「ええ、…あ、まずいですか?」

「ハハッ、うちはそんなに気取った店じゃ無いからね。お金貰えるなら問題無いよ。」

「よかった、そしたらA定食二つで。」

「A定食は豚肉とキャベツのはさみ焼きだけどいいかい?」

「ええ、お願いします。」

と、ユリスが驚いた目でオレを見てる。

「二つも…」

「…いや、二つも食ないよ?一つはユリスのだ。」

「えっ?」

うん、まぁそうなんだろう。多分そうだと思ったからこっちで勝手に頼んだのだ。ユリスは自分の分があるなんて思っていなかったのだろう。あの囚われた時にみた様子から察するに相当酷い食生活だったはずだ。

…なんかユリスがやたらソワソワしてる。

俺の言葉に喜んでいるのと、何かあるのではと疑っているのがまざりあっているみたいだ。

程なく料理が俺たちの前に並べられた。

「よし、じゃあ、いただこうか。」

「ほ、本当に食べていいんで…すか?」

ユリス…ヨダレが…

一瞬、やっぱ駄目〜とか言ってみようかと思ったが、あまりにも鬼畜な所業だと思い自重する。

「ああ、食べていいよ。いただき…」

ます…を言う前にユリスが食事にかぶりつく。

手づかみだ。

とりあえず、ナイフとフォークの扱いくらいは覚えてもらわないといかないな。

「う…くふ…」

ユリスがむせてる。

まったく…

とりあえず水を、差し出してやる。

それをユリスは一気飲みした。

奴隷商人もいっていたが、腹に入れたものだけは自分のものというのがあるのだろう。

一瞬の油断もなくこちらを見られてる気がする。

「…おかわりする?」

「ヒヒンレフは」

「口の中のもの飲み込んでからしゃべりなさい。」

「ん…ング、いいんですかっ⁈」

そんなに目をキラキラされたら断れないよ。

とりあえずサンドイッチを追加した。


ふぅ。食べた食べた。

食べ散らかした。

ユリスの前が戦場跡地の様だ。

「派手にやったねぇ。」

ルーシアさんも呆れ気味に笑う。

「…すみません。」

そう言って立ち上がり、片付けようとるすユリスをルーシアさんが手で止めた。

「金をもらってる以上あんたも客さ。でももう少し食べ方を覚えないと、ご主人様に恥をかかせちゃうかもね。」

「はい…」

しょぼくれるユリスの口元にはソースがついてる。


夕食を終えた俺たちは部屋にもどった。

ベットは二つある。ルーシアさんに頼んで2人部屋にしてもらったのだ。

ちなみに奴隷をベット寝かせるのを嫌がる宿もあるから注意するようにとルーシアさんからは言われた。

感覚的にはペットをベットにあげないで、というのと近いらしいが。うーむ。

とりあえず寝る前に体をふく。

最近買ったアクアのスペルで桶に水を出し、ヒートのスペルで温める。ヒートはマジカの上位互換みたいなもので、桶一杯くらいなら直ぐにお湯に出来る。


ゴシゴシと背中を拭いてあるとユリスはが近づいてきた。

「…お背中、拭ましょうか?」

おう、そうきたか。

「ん、そしたら頼めるかな。」

布を渡すとユリスが背中を拭いてくれる。

ゴシ…ゴシ…

な、なかなか気持ちいい。

「ご飯は美味しかった?」

「はい…。」

「よかった、でも明日からは食べ方を注意するからね。」

「え…、明日も?」

「うん、そのつもりだ。」

「あ、ありがとうございます。」


といったところで、行水をおえる。

最後に窓から顔をだして、残ったお湯で頭をらながす。

「ふう…風呂にはいりたいなぁ。」

「おふろ…ですか?」

「そう。お湯に身体を沈めるの。知らない?」

「昔。本当に昔。まだ奴隷になる前に入ったことがある気がします。もうよく覚えていませんけど。」

そういえば、元はいいところのお嬢さんだったって聞いたな。

「ユリスも体をふくだろ?」

「はい。水を汲んできますので、その桶をお借りしてもいですか?」

「あ、いいよちょっと待って」

俺が再び魔法でお湯を作って渡す。

「あ、ありがとうございます。これは…お湯?」

「じゃあ、俺は外に出てるよ。」

「?…お出かけですか?」

…そんなキョトンとした顔をされても。

「いや、俺がいたら気にならない?」

「いえ?…あ、すいまさせん。傷、見苦しい…ですね。私が外で…」

…っだぁもう。そんな事させるられるわかないだろ。

「あ〜、いや。お出かけ中止。お湯が冷める前にさっさと体を洗いな。」

「は、はい」

そういうと、ユリスが部屋の端で服を脱ぐ。

きっと、そんなの気にする世界ではなかったんだろうな。

不思議なもので、こういうのは恥じらいはがないとまったくエロさもないのだ。シチュエーションの大事さを深く感じだ。


夜も更けてきた。

さて、寝るか。

と、思ってユリスを見ると、やはり所在無げに棒立ちしている。

「ユリス、そろそろ寝よう。」

「はい…その。私はどうすれば…」

「どうすればって…」

「夜のお相手は…」

いや、わかってたけどね。

聖人ぶる気もない,

俺だって男だ。欲望はある。

さて、どうするべきか…

変な情はみせず、奴隷は奴隷として扱う。それがこの世界のルールだ。中途半端な情は、お互いが不幸になると奴隷商人は言っていた。奴隷制度の是非はともかく、俺は別にそれを積極的にどうこうしようとは思っていない。

ならば、流れで連れて行くことになったとはいえ、その文化に乗るべきなのだろう。うん、そうだ。

だから、俺は彼女になにをしてもいいのだ。俺はご主人様なのだから。

よ、よし、命令するぞっ。

「なにもしない。もう寝よう。」

…俺のヘタレめ…

「…それから君が寝るのは床じゃなくてこっちのベットで寝てくれ」

案の定、床で寝ようとしたユリスを俺は止めた。













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