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剣と魔法とオームの法則  作者: なまぐさぼーず
第一章 異世界に来た!
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プロローグ

金曜の夜10時。とある工業団地の一角。

すでに他の社員がかえり薄暗くなったオフィスに、まるで常夜灯のように一つだけついたモニター。そして、そのモニターの明かりが、絶望を縫いあわせて出来たようなその男の顔面をシュールに照らし出している。


「定格オーバーしてる…」


それは字面だけみれば、あっさりとした内容だ。

しかし、それが表す現実に男は胃がせり上がってくるのを感じる。


開発中の装置の検証中に、彼が設計した基板が発煙したのた。発煙した素子、整流用のダイオードだったが、その端子間電圧をオシロスコープで計ると、約7.5ミリ秒素子の定格を超える電圧がかかっていた。既に最終確認フェーズになり量産ロットも走り出している。これを止めて、基板修正を入れるとなるとどれだけの工程損失になるか、いやそもそもリリース予定に間に合うのか?


事態の重さに男は咄嗟に三通りくらい、検証のミスを疑い、5種類くらいの誤魔化す言い訳を考える。

だが、結局素直に上司に報告するしかないのだ。検証は正しいし、下手に誤魔化せば、さらに悪い方にいきかねない。


そこまで考えて男は思考を止めた。こんな精神状態で、これ以上考えてもいい結果は出ない。家に帰って酒飲んでリセットしよう。対策は明日考えよう。

それは、休日出勤が確定した事を意味する。


今、確認した周辺回路の定数と測定した電圧、本来の定格をデスクトップのメモツールに書き込んだ所で、CADソフトを落とし、パソコンを終了させる。

おもむろに始まるOSのアップデートに舌打ちをしながらモニタを眺める。


最後に帰る人間は部署のパソコンや、明かりが消えているのを確認しなくてはならないが、アップデートが始まってしまっては、終わるまでパソコンが閉じられない。

まぁ、アップデートが終われば勝手にパソコンは落ちるはずだから、モニタだけ消して帰ってもいいかなと男は思ったが、結局アップデートが終わるまでボーッとパソコンの前に座って携帯を見ていた。


男はこの会社に入って10年目の電気系技術者だった。一言に電気技術者といってもその示す範囲は大きい。大きな会社ならもっと細かい専門分野に分かれるはずだ。アナログ、デジタル、電源系、FPGA、アートワーク…。しかし、彼が働いているのは100人規模の小さなさな機械メーカーだ。主に工場むけの工作機械を設計している。


こういう小さな会社の電気技術者の仕事はと言えば、電気が流れているものは全て…となる。

回路の設計、プログラム、アートワークから、はてはビルの電気設備点検までだ。


仕事のミスを減らして欲しいなら、仕事の種類を減らして、一つに集中させてくれと言いたいが、そんな人員がいないのは、末端社員からみても一目瞭然だった。


転職する勇気もなければ、この流れに身をまかせるしかない。


と、男がいつもの結論に達した所で、PCがシャットダウンされた。



---------

日々電気素子は進化している。

それは勿論、良いことなのだろうが、現場技術者、特に小ロット生産を行うような会社では悲鳴が上がる。


新しい部品が出来てくるなか、サプライヤーがもつ生産ラインが同じように増えるわけではない。つまり、新しい部品が出てくる、イコール、今まで使っていた部品が次々と生産中止となるのだ。単純に置き換えられる代替があればまだまし、なければ小さなコンデンサ一つの為に、メイン基盤を丸々作り直すという事もあり得る。生涯生産分の部品を全て在庫でもつわけにもいかず、現場の技術者は新しい開発ではなく、生産中止対応に追われていた。


男は所謂オタクだった。まぁ、電気系技術者など、みんなロボットアニメに憧れてその道に入るのが常だし、彼らの世代では珍しいものではない。


最近はファンタジーが好きだった。現実感のないライトなファンタジーがいい。深夜にビール飲みながら何も考えずに見られる。動画サイトのファンタジーアニメを見ながらついつい酒が進み次の日寝坊しそうになることもあったりする。

こんな世界に行きたいな〜。なんて漫然と見るのがいいのだ。そこで、御都合主義だのなんだのと細かい事など考えたら負けだ。世界の男女比は男が1に女が3が黄金律なのだ。



ビール片手にそんな事を男は考えていた。明日は会社で今日わかった事の再確認と原因調査。出来れば対策案まで考えておきたい。月曜日には、上司に連絡説明、おそらくすぐに関係者が集まって対策の協議となる。

早く寝ておきたいところだが、早く寝たらはやく明日になってしまう。夏休み最終日の小学生のようなことを考えながら缶に残った最後のビールを飲み干した



-------

翌日、夜21時17分。

相変わらず暗いオフィスの中で一箇所だけ明かりのついた作業机。

そして悲鳴。


「あぁーっ、分からんっ?なんじゃこりゃぁっ!」


あまりの訳の分からなさに血を吐きそうだ。

昨日、素子への過電圧が原因なのは分かったが、何故そんな所に電圧が掛かるのかが分からなかったのだ。だいたい、ステップダウントランスの出力に何故直流成分が生まれてるんだ。


分からん。

ステップダウントランスの出力を外し、負荷をなくす。

負荷側から回り込んで来てる可能性を考えたからだ。

オシロをトランスの出力に直接繋ぐ。

それでも直流分が存在する。


オシロ壊れた?


ファンクションジェネレーターの出力を試しにオシロで測るが、そこでは正常。

トランスの正弦波を入力している発振回路をとめてみる。

直流成分だけはまだ残る。


残存磁束?


出力をショートさせ、トランスの放電をさせてから、再度測定。


変わらず。


完全にトランスの入力を、開放。


変わらず。


って、オイオイ、こいつ一体何処からエネルギー得てるんだ⁉︎

思わず立ち上がった時、オシロのグランド端子がトランス出力に接触した。

作業ミスだ。電圧のかかった所謂活線にGNDラインが不用意に接触したら、何が起こるかわからない。

通常なら、回路から香ばしいかほりが立ち上りるのを覚悟するが、今は電源をなにも入れてないから問題ない…はずなのだ。


……


でも出力はでてる。、あの測定が本当だとすると、今、結構な直流電流が流れてる事になる。

直流で2V出てたな。

直流抵抗は1Ωとして、2A 4Wかぁ。

問題のステップダウントランスは、商用電源から15VACを作るトランスで、定格を20Wの容量がある。



今インプットゼロだし…大丈夫だよな?

そう思いながら見ていると…

あ、あれ?

なんか接続分のハモニカ端子が赤くなってないか?赤色反応でるってことは1000度近い⁉︎


慌てた接触したGND端子を外すが、ドンドン端子は赤熱していく。


ちょ、ちょ、で、電源きらなきゃ。

って、ももう切れてる。


先ほど入力を切った時に合わせて電源もきったのだ。


本当に何処からエネルギーきてんだよっ、コレは。慌てて赤熱の原因を探すが、さっぱりわからないから止めようがない。

赤熱は進み、だんだんまぶしくなる。

そして、トランスの出力ケーブルが造る円の中心に光の点うまれる。


ぶ、プラズマ⁈

無から有が作り出されてるっ?

そんなんノーベル賞どころしゃねぇぞ。


状況に思考が追いつけず、下らない事をかんがえてしまっている間にも、見る間に光が大きくなっていく。

あ、これオレ死ぬかも…


第1話プロローグ


お読みいただき、ありがとうございます。

初投稿作品になります、本作。

拙い文章が目につくかとおもいますが、如何でしたでしょうか。

話は全然進んでいないのに、私はココを読むと胃がキリキリします。…色んな意味で。


昔から誤字脱字には自信があります。

優しく指摘して貰えたらうれしいです。

これからもよろしくお願いいたします。

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