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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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龍使いとの激戦

休憩を終えて進んでいく。鉱山の山頂に近付いていくとその道はどんどん険しくなっていった。そして遂に雫たちはあの強敵に再び出会った。

「うわ火龍です。ついに出てきたです。面倒です。」

火龍は、空を悠々と飛んでおりしかもその後ろには見たこともないモンスターを数体引き連れていた。

「まあいいです。やるですよ。」

雫たちは火龍との戦闘を開始した。


火龍の後ろにいたモンスターが雫たちを攻めてくる。1体は岩のような体躯を持った竜「岩竜」であり自慢の硬い体を武器に突進を仕掛けてきたり、岩を飛ばしてきたりした。しかし自慢の体も鉄ちゃんよりも硬くなく鉄ちゃんとぶつかり合いボロボロになってしまった。

もう1体は、土の中を素早く進みそして奇襲を仕掛けてくる「土竜」であった。土魔法など色々な攻撃をしてくるためなかなか強いのだがいかんせんフォルムがもぐらのため迫力に欠けた。そして土に隠れていたのだがわんこの気配察知を誤魔化せず倒されてしまったのだった。

そのように初見のモンスターたちだったのだが戦力差の前に儚く散っていったのであった。

そうやって雫たちのパーティーの主戦力によって取り巻きを素早く倒している間、アンフィとシロで火龍をやり過ごす作戦だったのだが雫が気づかれないのをいいことに新作ボムの御披露目と称して不意討ち爆撃を決行してしまうのであった。

「ふふふ。いくです。」

「~♪…」

「コーンコン!」

不安そうに雫を見つめるアンフェとシロ。しかし雫はボムを取り出す。雫が取り出したボムは荊姫をフィールドごと焼け野原にしたビックボムを改良した「ヘビーボム」という物であった。部分部分に金属を用いたりと、雫自身の持てる錬成術や精製術をフルに使って作った作品であった。

結果は油断していたこともあり見事に吹き飛んでいった。さすがに一撃では倒せなかったが驚きもあってか火龍は、へろへろであった。そこに取り巻きを倒して戻ってきたわんこと鉄ちゃんが加わり火龍の顔は悲壮感に満ちていた。

満足に空を飛び続けることも厳しそうな火龍に鉄ちゃんの「鉄龍砲」が迫る。さすがにこれを食らってはかなわんと必死に回避を試みる火龍。しかし無慈悲にもわんこの「影縛り」によって火龍の動きを封じる。空中にいるため完全ではなく数秒で「影縛り」は解けるだろうが「鉄龍砲」は直撃する。

火龍もなんとか挽回しようとするが最初に受けたダメージが大きすぎたため主導権を握れないまま倒されてしまうのであった。


「運が良かったです。火龍の範囲攻撃があったらあんな狭いところじゃ逃げ場が無かったです。」

そんなことをいいながら鉱山を登っていく雫たちはその後も大量のモンスターたちを倒しながら進んでいった。しかし火龍クラスの敵はあれ以外出てこなかった。

そして遂に雫たちは鉱山の山頂に辿り着く。そこには今まで飽きるほどいたモンスターの姿はなくただ1人ローブを被った青年がいるのみであった。

「あれ?おかしいな。こんなに早くここに辿り着くプレイヤーがいるとは思わなかった。しかもプレイヤーなの1人じゃないか。もしかして途中で火龍に会わなかったのかい。それならまだ納得なんだけどな。」

「会ったです。まあ倒したですけど。」

「へー。君たち見かけによらず強いのかな?まあいいや。そろそろやろうかな。」

そういって青年は龍を模した笛を取り出す。それを徐に吹き出す。

「ピューーー」

そうすると何処からともなく龍が現れてくる。

「ふふ。僕が呼び出した龍たちは強いよ。僕は龍使いだからね。」

溶岩龍、巖龍、火龍、土龍そして鉄龍。これまで竜として出てきたモンスターたちの上位個体が次々出てくるのであった。それを見た雫は顔をしかめる。

「面倒です。もう素材とか取れなくていいですから早く倒したいです。」

そういってヘビーボムを構える雫。それを見たわんこたちは苦笑ぎみである。

「僕の龍たちに絶望すればいいよ。」

原因との戦闘が始まる。



始まって早々爆発音が鳴り響く。基本的に素材採取のためあまりモンスターに傷をつけない戦闘を好んでいるため作ったが放置してしまっている強化版ボムの在庫処理も兼ねて徹底的にボムを投擲していた。

雫のボムの驚くべき威力に恐怖しながら各々の龍はボムを防いでいた。しかし防ぎきれずダメージが蓄積していった。

見かねた龍使いは、またしても笛を吹く。すると龍たちの眼に力が戻る。

そして苦戦を強いられた龍たちは雫たちを攻め立てる。

土龍の「土魔法」でフィールドの雫たち側だけ盛り上がり始める。そのため回避行動がとりづらくなる。しかも下から攻撃を繰り出してくる。また下ばかりに目を向けていると上から炎と溶岩が飛んでくる。しかも範囲が広い。避けるにはやはりわんこの影魔法が必須であった。それらの龍を攻撃しようとすると鉄龍と巖龍が他の龍を自慢の防御力で守る。なかなか見事なコンビネーションであった。しかも龍使いの笛によってパワーアップした龍たちによって徐々に追い詰められ始める雫たち。

「あんなでかいのがチマチマとなんか見てるだけで疲れてくるです。」

雫は溜め息を吐きながら龍たちを見る。その先には雫のボムに完全にびびっている龍使いの姿があった。

「なんか頑張って龍たちと戦ってたですけど別にあいつ倒してお香を壊せばいいんじゃないです。」

その呟きが龍使いに聞こえたのか

「使い魔を倒さずに僕に攻撃なんてマナー違反だ。」

そんな子供じみた反論に面倒臭そうにしながらも律儀に龍に攻撃対象を戻す。ゲームのことを知らないためマナーとかルールの話をされるとよくわからないため大体従ってしまう雫であった。

「面倒ですけどやるですよ。えーとまず防御を崩すです。そうすれば自然とあのコンビネーションが崩れるです。」


パワーアップした龍たち。特に鉄龍と巖龍には、ヘビーボムは大したダメージが与えられないほど防御力が上がっているのが分かっているが、今までの経験則で口の中など鱗がないところに攻撃を当てれば大ダメージが与えられることを知っているため悲観はしていない。

「まずはてい。」

雫は地面の中から出てきていた土龍に向かってボムを投下する。しかし案の定巖龍が間に入ろうとする。するとすかさず雫は「泥沼」を発動する。この魔法では巨大な体躯の巖龍を沈めることは全く出来ないが足1本のみならば沈めることができた。足をとられバランスを崩す巖龍。そして巖龍の防御がないことを悟り土龍が自身の土魔法で守ろうとするが完全には衝撃をなくすことが出来ず態勢を崩しかける。その隙をつき鉄ちゃんの攻撃が直撃する。これにより一時的に下からの攻撃が止む。

「今です。アンフェ、シロ。」

今まで攻撃を警戒して発動できていなかったアンフェとシロだったが、両者この隙にフィールド全体に魔法を展開する。すると立ってるのがやっとの激しい吹雪が吹き荒れ始めフィールドが真っ白に染まりだす。しかしシロが使用した魔法は「吹雪」でなく「雪降らし」。激しい吹雪が降っているのはアンフェが見せている幻覚であった。

「そしてさらにわんこ。」

雪によって出来た影を瞬時に纏ったわんこは火龍の上に出来た影を利用して火龍の上に移動し、「黒衣無双」を発動する。序盤にかなりのダメージを受けていた火龍にこの一撃を耐えることはできなかったようだ。そのまま地面に落下していった。

一番の広範囲攻撃を誇った火龍を倒したのを確認し、鉄ちゃんが『眷属召喚』により小鉄たちを呼び出し土龍の攻撃を任せ、自分は鉄龍を抑えにいく。個体名は同じでも戦闘経験が雲泥の差である鉄龍と鉄ちゃん。抑えるくらい楽なものである。

「これで防げないです。てい。」

雫は残りのヘビーボム全弾投下する。空を飛んでいる溶岩龍は吹雪で見えにくいが落ち着いて対処しようとするがそんな努力も虚しく突然ボムの数が増える。

「ご、が?」

突然の緊急事態に思考が停止しかける溶岩龍。そうこうしてるうちにボムはどんどん増えていく。当然のごとくこれは吹雪同様アンフェの幻覚である。そして無数のボムの中から本物のボムが溶岩龍に当たる。

「ドッカーーーーーン」

火龍であれば無数のボムごと焼き付くそうとしたかもしれないが溶岩龍には、そんな範囲攻撃は存在しなかったのである。

「これで空が死んだです。」

空飛ぶ龍を倒している時間で泥沼の効果時間が切れる。しかし上からの援護がなくり戦況は雫たち優勢であった。

「な、何をしているんだ。お前たちは誇り高き絶対者、龍だろ。土龍、巖龍、鉄龍。お前たちの実力はこの程度か!」

龍使いの激昂。それが効いたのか龍の動きに焦りが消える。そして土龍が小鉄たちを牽制しつつ地面の中に入り下からの攻撃を狙う。

「確かに地面の中からの奇襲は強いです。でももう遅いです。」

その言葉通り土魔法による奇襲は全て見破られてしまう。

「コーンコン。」

下からの攻撃を感知できる理由。それは降り積もった雪にあった。「雪降らし」により降る雪はシロの体の一部のように辺りを感知するのだ。そして地面から出てくる瞬間を捉えられた土龍もボムの餌食となった。

上からも下からも援護がなくなってしまった龍たち。しかもちょうど良いタイミングでパワーアップ効果も切れてしまったようであり、龍使いにもう次の1手はなかった。



「さすがに龍が多すぎです。」

龍がいなくなり成す術をなくした龍使いは、爆発で吹き飛んでいった。そして残ったのが黒いお香入れ等の報酬品。そして案外きれいな状態で残っている龍の素材であった。

原因を倒した雫。そのためすぐにでも街に戻った方が良いのだがそれが今出来ずにいた。それは雫のパーティーメンバーである雫とシロを除く3名。それらが戦闘が終わると同時に輝き出したのだ。そう進化である。ただアンフェはすぐに進化が終わり新しい姿で雫の回りを飛び回っている。しかしわんこと鉄ちゃんは、今までの進化よりも長くかかっているのだった。

「長いです。本当にこれ進化です?もしかしてなんかあの龍に変な攻撃を食らわされていたんじゃないです。」

雫がそんな心配をし始めるほど長い進化を終えそれぞれが新しい姿を手に入れた。そして雫が2人のスキル欄を確認するとそこには『人化』の文字が浮かんでいたのであった。




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