鉄竜の再来
その後もわんこの指示を受けた雫は面倒そうにしながらもボムを投げる場面が何回か存在した。そうしたこともあり第3のフィールドの攻略は順調であった。しかし鉱山の頂上付近になってくるとやはり今までに見たことのないモンスターが現れ始めていた。そしてその中には…
「………………」
鉄竜や小鉄たちも混じっていた。といってもこいつら単体ではそこまで脅威ではない。やはり脅威なのは数であった。
「わんわん」
わんこが三度雫を呼ぶ。
「またですか。っと鉄ちゃんがいっぱいです。でもなんだか若々しいというか懐かしさを感じるです。」
「………………」
「あれ?こっちにはいつもの鉄ちゃんです。ということはそいつらは敵ってことですね。」
雫が反射的に戦闘態勢をとる。それに応じてか相手のモンスターたちも構える。そして鉄竜たちが一斉に「鉄竜砲」を撃つ構えをとる。わんこが撃たせまいと阻止しようとするが間に合わず何体かの攻撃を阻止し損ねる。すると
「てい。」
雫は盾のような物体を鉄竜砲に向かって投げつける。その盾のお陰で鉄竜砲はどうにか防いだが盾が粉々になってしまった。もう修復は不可能てあろうと思われる。しかしその盾は、驚くべきことに元の形に戻っていくのであった。
「ふふん。これが私が作った「スライムシールド」です。私盾使わないのに頑張って作ったんです。」
この盾の効果は2つ。1つは見たとおり「自動修復」である。そしてもう1つは「衝撃吸収」であった。これのお陰で本来盾を投げつけるという無茶な使い方でも攻撃を防げた要因であった。またどちらもスライムの能力を上手く反映できた雫渾身の品である。問題があるとすれば雫たちのパーティーにこれを使う者がいないという点であったが雫が作りたくなったから作っただけであるからまあ大した問題ではない。
「わんわん」
「………………」
相手がスライムシールドに気をとられている間にわんこと鉄ちゃんによって敵を殲滅するのであった。
「うーん。折角スライムと鉄を錬成したり色々と頑張ったですけどなんか一発芸っぽくなっちゃったです。なんかもっと色々と使えそうです…」
鉄竜たちを倒した後雫は自分の世界に入ってしまっていた。ただそろそろ休憩しようと考えていたためアンフィやシロの手によって即席の休憩所を作りそこで休憩していた。
「わんわん」
「コンコン!」
「………………」
「~♪~♪~~♪」
わんこたちも話に夢中になっている。異常発生が起こっているフィールド内でこんなことをすれば普通のプレイヤーでは自殺行為であるのだが、アンフェとシロの合作魔法により不思議なほどにモンスターは雫たちに気付かないのであった。
緊急クエストのタイムリミットも刻々と少なくなってきておりプレイヤーたちも徐々に焦り始めてきた頃、第1のフィールドで原因まで辿り着いたプレイヤーのパーティーが現れた。そのパーティーは、第5の試練を突破出来ないパーティーの大体が第3のフィールドに行くなか第1のフィールドに来ていたのだった。
彼らがそれなりにダメージを負いながらもなんとか原因の所まで辿り着いた。原因は、大抵どこかに隠れているため見つけ出すのは困難なのだが第1のフィールドであったためまだ余裕があったことが幸いしたのだった。そんな原因を見つけ出したパーティーの目に飛び込んできた光景は回りを第1のフィールドボスである一撃熊で固め、自身は真っ赤な熊に乗り自身も真っ赤な鉞を担いだ少年であった。
そいつらの戦い方は一撃熊で牽制しながら隙をついて鉞でズドンであった。さすがに一撃熊が何体いようと問題ではないが結局そのパーティーは真っ赤なコンビの前に散っていったのであった。そのときの戦闘をそのパーティーはこう語っている。
「あんなに重そうな鎧着た少年なのにあんなに早く動けるとは思わないだろ。それにあの熊、俺らの攻撃が全く効いてないように感じるんだよな。」
原因を倒すまでの道のりは遠そうであった。
第2のフィールドの攻略もボスフィールド近くまで来ておりもう少しである。そのためやはり第5のフィールドの攻略が鍵となってくるようである。
プレイヤー数も徐々に増え、攻略スピードも上がってきているのだがやはり初めてのフィールドで慣れない部分が多く、凡ミスをするプレイヤーも少なくない。そして普通にモンスターの強さが他のフィールドとは違う。そういったこともありまだまだ時間がかかりそうであった。




