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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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雫の策略

わんこの不意打ちによりキノコ男爵を切り裂いたのを見た雫はというと

「やったですわんこ。でもこれで終わりですか。なんかあっけなかったです。」

そう言うと突然地面から声が聞こえだした。

「すごいですね。まったく反応できませんでしたよ。貴女方のどなたが放った攻撃か存じていませんが高い技量を感じましたよ。」

それを聞いた雫は驚きながら声が聞こえる方向に問いかける。

「誰です?」

すると声の主が地面からニョキニョキと生えてきた。それは、わんこによって切り裂かれたはずのキノコ男爵であった。

「それにしても酷いですね。もう少し会話を楽しむというか戦闘の過程を大事にしてもいいのではないですか。若い者はそういった忍耐力というものが足りてないと私、年長者からのささやかな助言ですよ。」

そうキノコ男爵は言っているが雫はというとなぜキノコ男爵が生き返ったのかを考えているのでキノコ男爵の話を聞いていなかった。

「どうして倒されてないです?」

「ふふ。別に大した能力でもないですよ。ただ生えてきただけですよ。」

口ではそう言いながら実際は自分の能力にかなりの自信を持っているのだろうことが見てとれた。

「まあそろそろいいでしょう。私もやりましょうか『眷属召喚』」

普通の眷属召喚は、召喚陣から眷属を呼び出すエフェクトなのだがキノコ男爵の眷属召喚は、頭のキノコから胞子を出しそれが地面に落ちるという独特なものであった。

それから生み出されたキノコ男爵の眷属は、巨大なキノコの大群であった。

「うわー。でけーです。」

キノコの大群は、自身は全く動かず毒々しい色の胞子を撒き散らし始めた。

「あれは当たったらまずいやつです。てい。」

雫はいつものボムではなくボムを作る前まで使っていた爆弾を数個投げつけた。目的は爆弾の爆風で胞子を吹き飛ばすことであった。胞子が無くなったらすぐにわんこによってキノコの大群は、倒されていった。

「ボムにも限りがあるですからね。時代はエコです。」

「なかなか考えますね。」

キノコ男爵は、そう言いながら次の手を繰り出してくる。

「貴女がそう来るなら私も同じやり方でやらしてもらいましょう。『爆発茸』」

そういってまた胞子を撒き散らす。今度はキノコ男爵の行動が早く胞子を吹き飛ばす時間がない。すると雫たちの周囲に無数のキノコが生えてきた。

「爆発って言ってたですね。ということはあれ全部爆発するですか。」

「ふふ。そうです。もう逃げられませんよ。『皆一斉に爆発せよ。』」

キノコ男爵の号令と同時に爆発茸が爆発していく。ただキノコ1個1個はそう大した威力の爆発ではない。しかし数えきれないほどのキノコの爆発により威力は大幅に向上していた。

「まあこれも貴女方にとってはいい経験でしょう。」

キノコ男爵は、雫たちが消し飛んだと考えていた。しかしさっきと反対のことが起こる。

「確かにびっくりしたです。でも甘いです。」

「なんと。どうやってあの爆発を防いだのですか。そんなことをしている様子は確認できませんでしたが。」

そうキノコ男爵が尋ねると雫は、

「別に大したことないです。ただ避けただけです。」

と答えた。

「これは1本取られましたかな。まあいいでしょう勝負はこれからということで。」



キノコ男爵の攻撃のほとんどは、胞子によって色々なキノコを生み出してそれを使い攻撃をするということであった。しかしその攻撃は鉄ちゃんには、そもそも通用せずわんこには当たらない。しかしかといって雫たちの攻撃はキノコ男爵を捉えてはいるが攻撃が当たってもすぐに地面から新しいキノコ男爵が生えてくるため意味がなかった。

戦闘は硬直状態になるかに思われたが突如キノコ男爵が笑みを浮かべた。

「そういうことだったんですね。その狼さんの攻撃方法は影。先程爆発を回避したのは影を利用したためですか。」

「よく分かったです。でもそれが分かったからなんかなるです?」

「そうですね。まあそれでも正直あの狼さんと鉄の龍を倒せる気はしませんね。私の本領は、状態異常攻撃による長期戦ですからね。まあただそちらのお二方を倒さなくても貴女を、お嬢さんを倒せば事足りそうだ。」

相手は雫たちのパーティーの弱点を見破っていた。それは、雫が倒されたらそれで終わりということであった。

「貴女を集中攻撃すればなんとか倒せると思いますよ。」

キノコ男爵は、勝ちを確信した。確かにわんこと鉄ちゃんは強い。まともにやったら倒すのに時間が掛かりすぎる、もしくは倒せないかもしれない。しかしその点雫が相手なら可能性が高まるのだ。

キノコ男爵が勝ちを確信したとき雫がか細い声で呟く。

「遅かったです。」

それを聞いたキノコ男爵は、

「遅い?いえいえまだまだ十分時間は…」

「お前にいってねぇーです。」

キノコ男爵の話を遮り雫が喋る

「最初に倒したとき生えただけだといったなです。なら倒されたけど生えてこれないならどうです?」

「なんですと。」

「アンフェもういいです。」

雫が合図を出すといきなり地面が真っ白に変わる。しかも今なお辺りは吹雪が吹き荒れていた。

地面の下は凍っているのだろう足踏みするとザクザクと音がする。

「長期戦は、こっちもドンとこいでしたよ。こうやって状況を整えれたです。」

最初の攻防を終えた雫はアンフェとシロにある指示を出していた。ここまで来るために貯まったレベルで強化された雪魔法による、「氷雪世界」でフィールドを氷付けにする。そしてそれをアンフェには幻惑魔法によってその事を隠してもらった。そして雫たちはアンフェとシロのことを気づかせないために厳しく攻撃を繰り出していたのだ。

「こんな環境で新たにお前が生えてこれるです?」

「ちょっと待ちたまえ、私の話を…」

そう言ったキノコ男爵は、わんこの影によって再び切り裂かれた。そして再び生えてくることはなかった。



雫たちがキノコ男爵を倒した瞬間第4の街のタイムリミットの数字が消え。各プレイヤーにアナウンスによって原因の1体が倒されたことが通達された。それにより特に第5の街攻略に乗り出していたプレイヤーたちは、自身の考えが間違っていたことをわかったのであった。



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