わんこ有能すぎるです
森での素材集めはわんこが進化したお陰もあり順調に進んでいた。
森でとれる素材での錬成はあらかた試したのだが、成功しない組み合わせも何個かあった。
「先に進んでいいのかだめなのかの判断がつかんです。というか私が弱すぎです。」
生産職にも劣るスペックを誇る雫。
わんこ1匹でもいつまでも雫を守りきれるとは限らない。
現在、他の錬金術師がいないため、
雫のことなので、独力では情報があった所で調べることですら非常に難儀するだろう。
「DEX上げると錬成の成功確率が上る気するです。というか今さら他を上げてもです。」
雫の攻撃手段は爆発石のみ。
消耗品のため連戦に弱いという弱点がある。
「うーん。よし気分転換です。あんまり街中を回ってなかったです。散歩するです。いくですよわんこ。」
「わん わん」
大きくなったわんこを連れた雫はとても目立つ。
しかも他のプレイヤーがいくらフィールドを
散策してもクエストすら見つけられなかった。
そんなプレイヤー達が雫を嫉妬と羨望の混じった眼差しで見ているのだが。
雫は気にしていないというか視線の意味を誤解していた。
「わんこが可愛いから見てるですかね?
きっとそうですよねわんこ。」
「わん?」
まあ間違いではないのかもしれない。
「おっ図書館なんてものもあるですよ。
うーん わんこがいるですからね。いくだけいってみるです。」
もともと雫はゲームよりも本の方が
好きな女の子。
なのでこういった施設はかなり気になるのだ。
「ここです。おっきいですね。」
中に入っていく雫。途中で止められると思っていたが、受付の人は何もいってこない。
「わんこもいいってことですね。よかったですわんこ。静かにするですよ。」
「くぅん」
とはいってたものの図書館内にはプレイヤーがいない。それもそのはずである。
せっかく人気のゲームを買ったのに現実世界でもできることをやろうとするものは少ないだろう。
ただ雫はそういった意識が薄い。
「よし。わんこも好きにしてていいです。
でも騒いだらだめです。」
「わん」
雫は錬金術師関連の本を中心に何冊かをとってきて読んでいく。
先に習得した『集中』のお陰かいつもより早いペースで読み進めていく。
「素材一個だけで錬成をすると純度の高いものがえられるですか。なかなかいいこと聞いたです。」
今までただ素材を掛け合わせていただけたったのだがいろいろと試してみようと思う雫。
そろそろ図書館から出ようとわんこを探すが
周りにはいない。
図書館に来てからけっこうな時間が経っていたため飽きてしまったのだと思った雫は。
「しょうがないです。さがすです。」
と図書館内を探そうと席を立つその時
目の前にクエストクリアの文字が現れた。
内容を確認するとそこには
『図書館スタンプラリー 』
「図書館内に隠されたスタンプを見つけよ。」
と書いてあった。もちろん雫は本を読んでいただけなのでクエストをクリアしたのは、一匹しかいない。
「わんこ有能すぎるです。」