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戦う錬金術師です(涙目)  作者: 和ふー
第1章 王国編
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雪原の戦い

「それでは私の得意なフィールドで悪いが始めようか。えーとわんこ君だったっけ?」

「わんわん」

雪原の侍とわんこの戦いが始まろうとしていた。

「じゃあリッスンは離れていてくれ。」

白リスのリッスンを肩から降ろし臨戦態勢になる。

「ふふ。じゃあいかせてもらおう。」

雪原の侍が白い地面を驚くほど早く移動してわんこに迫ってくる。雪で行動が制限されている中で驚異的なスピードであった。しかしそれでもわんこには通用しない。

「む?消えたか。雪の中…にはいないな。」

侍は雫が持っている「樹妖精の加護」と同じように「雪精の加護」を持っており、雪によって相手の居場所を感知することができるのであった。そのためわんこがいきなり影から飛び出してきても通用しないのであった。

「はっ。雪の中で私に不意打ちは、効かんよ。」

そして侍としての刀さばきは、さすがの一言であった。剣や刀を使うプレイヤーは多い。最強決定戦で戦ったアックスやベルもそういった戦い方をするが次元が違う。

「くぅん」

わんこが影の剣を数本用意してなんとか対抗できるほどであった。

「凄いな。私の刀のスピードについてこれるとは、確かにこの戦いに他のメンバーが入ってきたらさすがに勝てなかっただろう。まあだが君だけならね。ふん!」

侍は一閃。わんこを吹き飛ばす。

「わん!」

わんこもいきなりの力技に驚く。すると侍は白い地面に刀を突き刺す。

「さすがに刀だけじゃ君には勝つのは時間がかかるかもしれないからね。そろそろ私も本気でいかせてもらおう。」

侍がそう言うと地面に積もっていた雪が侍を包み込み始めた。

「覚悟してもらおう。」

侍の猛攻が始まる。



影を操るわんこにとって地面は戦いの重要なポイントである。しかし侍はその地面を支配しているといっても過言ではない。相性はよくない。さらに侍はわんこの『影移動』と同じように侍も雪に隠れながら移動することができた。

「君と私の戦闘スタイルは似ているのかもしれない。だがこのフィールドでは私の方が上だ。」

侍にとってこのフィールドは自分のホームである。このフィールドで相手に負けることは有り得なかった。

「わんわん」

それでもわんこも負けていない。影による移動をすれば雪によって邪魔される状態でもほとんど互角に戦っていたのだ。

「ふふふ。本当に君は強いな。この雪原で、雪原の侍と呼ばれた私が負けるはずがない。それを今から見せてあげよう。「雪斬」」

侍がそう言うと雪の中から斬撃が無数に飛び出してきた。

「わんわん」

それを懸命に避けるわんこ。だが斬撃は徐々にわんこを追い詰めてくる。

「そろそろ終わりかな?」

そしてついにわんこに斬撃が直撃してしまう。だがその瞬間わんこが消える。わんこの十八番「影分身」である。

「わん」

わんこが突然侍の後ろから攻撃を繰り出す。侍にわんこの攻撃を直撃すると侍が崩れる。

「わん?」

「だから、私に不意打ちは効かないと言わなかったか?今のは「雪分身」だよ。分身を操れるのは君だけじゃないんだよ。勉強になったかね。じゃあサヨナラ。『雪一閃』」

わんこに雪原の侍の最大の攻撃を繰り出す。ついに決着かと思われたのだがその攻撃はわんこに当たった直後止まる。

「何?」

わんこを切り裂くことができなかった侍が最後に見たのは相手の狼が黒に染まっていく姿だけであった。



雪で積もった地面のフィールド。ということはその雪の下には影が存在するということであった。そしてその影を全て吸収したわんこの跳ね上がったステータス。そしてそれを一気に解放した「黒衣無双」を防ぐ術は侍にはなかったということであった。



「いやはやまさかこのフィールドで私が負けるとは思わなかったよ。私の方が勉強になった。ありがとう。今度までには君たち全員を相手に戦えるように修行しておくとするよ。」

「まあ今度があればですけど。でもあんたもなかなか強かったです。」

「ふふふ。ありがとう。これは礼だ。このフィールド限定かもしれないが役に立つだろう。」

侍がくれたのは「雪案内」というアイテムで、雪による移動阻害を軽減する効果があった。このフィールドでは大変ありがたいアイテムであった。

「後はこれを使ってくれ。中に「雪魔法」が入っている。興味があったら使ってくれ。」

そう言うと侍は相棒のリッスンと共に小屋に入っていった。

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